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最近好調「パ・リーグ」のマーケティング戦略分析 #マーケティングトレース

いよいよ東京オリンピックが約1年後に迫ってきました!
どんな大会になるのか、今から本当にワクワクします!

と同時に、やはりこのスポーツ領域においても、他領域同様にマーケティングの重要性が強く認識されてきていると感じています。

そこで今回は、スポーツリーグのマーケティング分析をテーマにマーケティングトレースを行なっていきたいと思います。

テーマリーグはこちら!

スポーツコンテンツの王者プロ野球、その中でもとりわけ最近勢いのあるパ・リーグです。

パ・リーグ概要

まずはパ・リーグの概要から見ていきます。

日本のプロ野球リーグの一つで、正式名称は「日本プロ野球組織 パシフィック・リーグ運営部」と言います。略称としてのパ・リーグが一般的ですね。現在は6球団が加盟しています。

現存加盟する6球団
北海道日本ハムファイターズ
東北楽天ゴールデンイーグルス
埼玉西武ライオンズ
千葉ロッテマリーンズ
オリックス・バッファローズ
福岡ソフトバンクホークス

ちなみに、もう一つセントラル・リーグがあり、こちらも現在6球団が加盟しています。昔から「人気のセ、実力のパ」と言われているくらい、パ・リーグは人気が低いと言われていました。


パ・リーグの観客動員数

そんなパ・リーグですが、実は観客動員数は右肩上がりなんです。下記の図はパ・リーグとセ・リーグの入場者数の推移なのですが、2005年に約340万人あったセ・リーグとの差が、2016年は約270万人にまで縮まっているんです。
引用元:https://d-marketing.yahoo.co.jp/entry/20170905473210.html


パ・リーグの現状分析

3C分析と4P分析のフレームワークを使って、パ・リーグの現状、取り巻く環境を簡単に分析してみたいと思います。

▼3C分析
customer(顧客):野球ファン / ライブ配信事業者(DAZN / 楽天など)
competitor(競合):他スポーツ / 他エンタメ / (セ・リーグ)
company(自社):プロ野球という圧倒的に強いコンテンツ
▼4P分析
product:プロ野球というエンタメコンテンツ
place:オフライン:球場での観戦
     オンライン:インターネット動画配信
price:オフライン:約2,000円〜10,000円 / 1試合
    オンライン視聴:950円 / 月 ※パ・リーグTV
promotion:球場、イベント、オンライン、選手露出など


マーケティング戦略の成功要因

上記の現状分析でわかる通り、パ・リーグは「プロ野球」という圧倒的に強いエンターテイメントコンテンツを有しています。それを生かせていることが、昨今のパ・リーグの好調さの要因であると考えます。具体的には、下記2点がポイントとして挙げられます。

①マーケティング組織構築によるコンテンツ力というUSP最大化

②コア層 / ライト層それぞれに対してのデジタルマーケティング施策展開

ここから、パ・リーグのマーケティング戦略について詳しく見ていきます。

①マーケティング組織構築によるコンテンツ力というUSP最大化

マーケティング戦略の中で非常に重要な役割を担うのが、組織戦略です。パ・リーグは、リーグの発展を目指し加盟6球団が出資した合弁会社として「パシフィックリーグマーケティング株式会社(以下、PLM)」を2007年に設立し、マーケティング組織の確立を図りました。

▼PLMのビジョン / ミッション
ビジョン:プロ野球界、スポーツ界の発展を通して、日本の社会全体を明るく元気にしていくこと。
ミッション:プロ野球の新しいファンを増やすこと。

メジャーリーグベースボール(MLB)のITや放映権を一括で管理・運用している「MLBアドバンスト・メディア」の日本版を作ろうという想いが設立の目的だったそうです。

PLMを設立した事で下記2点は間違いなく前進していると考えます。
各球団保有のコンテンツ権利を一元管理(全球団のネット配信権利保有)
マーケティングリソースの最適化(意思決定のスピード)

PLM代表取締役根岸友喜氏が言うように「6球団でやったほうがいいこと」「1球団ではできないこと」にフォーカスする事で、圧倒的にマーケティング戦略の精度が高まり施策の幅が広がったことは想像に難くありません。

当初は、セ・リーグ6球団を含めた12球団の出資で合弁会社設立を目指したそうですが、セ・リーグ各球団とは調整がつかず、パ・リーグ単体でのスタートになったそうです。

プロ野球はもともと、新聞社やテレビ局が親会社となっている関係で、そのコンテンツの権利関係はものすごくガチガチです。その反面パリーグは、旧来のマスメディアが親会社である球団は無く、それもPLM設立の推進力になったのではないかと考えられます。

②コア層 / ライト層それぞれに対してのデジタルマーケティング施策展開

(1)インターネット動画配信の強化【コア層へのアプローチ】
パ・リーグが特に注力しているのがインターネット動画配信サービス「パ・リーグTV」です。

▼パ・リーグTVの特徴
・パ・リーグ球団の主催試合全試合をライブ配信
・試合のダイジェスト映像のオンデマンド配信
・実況のON/OFF機能
・マルチアングル設定
・月額950円

月額950円の有料サービスではありますが、20代〜30代のコアファンに受け入れられ、2012年2万人だった会員は、2017年時点で約8万人規模まで拡大しています。球場に足を運ばない(運べない)コアファンをしっかりマネタイズする事で、現在ではパ・リーグTVがPLMの売上げの柱にとなっています。


(2)SNS活用の強化【ライト層へのアプローチ】
パ・リーグの新しいファンを増やす為に、野球低関与層に対してTwitter上で試合のハイライトや、野球ファンでなくても興味を持ってもらえそうな試合以外の映像コンテンツ(ビハインド・ザ・シーン)の配信を行なっています。

試合映像以外のコンテンツ制作ノウハウを蓄積する事で、オフシーズンでのコンテンツ発信ならびにそれに紐づくマネタイズの幅が広がり、まさに一石二鳥だと感じます。


自分がパ・リーグのCMOだったら...?

ここに関しては、7月13日に行われる第10回マーケティングトレースミートアップで追記したいと思っています!


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