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エンジニア採用・組織づくりのトレンド予測2025〜生成AI系プロダクト、大手年収UP、オフショア再開、SPACEからアウトカム〜

毎年、年末年始に書いているエンジニア採用・組織づくりのトレンドの2025年版を書いていきたいと思います!

ちなみに昨年は「エンジニア採用・組織づくりのトレンド予測2024〜PdM人気、オフィス回帰、大企業のエンジニア採用加速、SPACEなど〜」を書いたのですが、結構、当たっていた気がしております。いかがでしょうか?

ちなみに「年収が上昇または維持」のところについて、維持した職種も上昇した職種もあったという意味ではだいたい当たりではありますが、ここはもっと明確にスタンスを取っておくべきでしたw

■生成AI/AIエージェント関連の開発求人増加

エンジニアが取り組む開発テーマとしてはこれまではSaaSやメディア、FinTech領域の開発が中心でしたが、生成AIを活用したプロダクトやAIエージェントの実装機会が増えていきそうです。例えばSaaSを中心に展開しているLayerXさんが「Ai Workforce」という生成AIを活用した文書整理・業務効率化のサービスを開始したり、当社でも開発生産性SaaS「Findy Team+」で改善点と解決策をリコメンドする「オンボーディング機能」のリリースなどを行なっています。

また、最近スタートアップのピッチイベントなどでも当たり前に生成AIを活用したり、AIエージェントを軸に展開するサービスも出てきています。ただし、こうしたプロダクトもアルゴリズム、ロジックだけでは一般的なユーザーにサービスを届けることができないので、なんかんだでWebアプリケーションが必要だったり、SaaS内に取り込んだり、コンサルやクライアント向けの開発なども含めて、価値提供していくケースが多いと考えています。従って、こうした領域でのプロダクト開発に取り組む求人が増えていきそうです。

■年収は引き続き横ばいもスタートアップの年収上昇に対抗して大手企業も年収アップの可能性

以下画像の通りエンジニアの年収については横ばいの傾向が続いています。

一方でスタートアップ投資「冬の時代」と言われた2023年後半から2024年前半ですが逆に年収は増加傾向です。これは株式市場が売上高成長率優先から売上増加と収益性のバランス重視に移行する中で、収益をしっかり上げて人件費にも投資できるスタートアップに評価が集まり、そういった企業が資金調達と年収アップを牽引している傾向にあります。シリーズA,B,C以降ともに年収が上がっているんですね。

ただし、シリーズAのスタートアップはエンジニア採用に苦戦する会社も多く、フリーランス採用との比較の中で年収を上げているケースもあるのと、相対的に在籍人数が少ないので、PLインパクトは小さく給与を上げやすい影響もあると推測できます。

一方で、以前は差が大きかった大手企業とスタートアップの年収差が縮まってきており、大手企業も人事制度改革や戦略子会社の活用で年収を上げてくる可能性があります。もともとはスタートアップの平均年収が現在より100-200万円程度低かったので、大手に転職するだけで年収が上がった時代が2~3年前までありました。

例えば、ある大手企業ですとエンジニアに関しては通常の年功序列とは異なる給与制度を当てはめ始めていたり、また戦略子会社として社名も変えて、モダンなスタートアップに近い環境で、大規模調達企業並みの給与を提示するところも出ていきています。

■大手企業の採用広報への投資が増加

並行して大手企業の採用広報への投資も増加していきそうです。本来、新卒採用では長年のブランディングの成果もあり、無双してきた大手企業ですが、中途エンジニア採用の世界ではむしろ負けているケースも多く存在しています。入社しても、「業務調整に時間がかかるのではないか」、「PCのスペックは低くないか。ビジネスサイドと同じではないか」、「クラウドサービスへの受容度はどの程度か」など、入社を考えるエンジニア取っても懸念が出てくる世界です。

一方で、大手企業の場合は一定のしがらみやレガシーな環境はあるものの、データの豊富さやグローバルな事業展開など面白い可能性もたくさん内在しています。むしろ、データが優位な時代に製造業含めて非構造化データを大量に持っている宝の山のような会社がたくさんあります。

また、最近ではスクラッチで組織や技術選定を行なっているような大手企業の戦略子会社も出てきており、むしろ数年経っているスタートアップよりモダンな組織も存在しています。実際に、そういった企業が開発生産性も高い傾向にあります。

そこで、大手だけど働きやすい環境であること、また同時にスタートアップにはない面白さを伝えることでより多くの転職検討をしているエンジニアに刺さる可能性も多々あると言えます。

■海外オフショアの自社立ち上げが大手だけではなくスタートアップにも浸透

これまで海外のオフショアの自社立ち上げは大手IT企業やメーカー中心に行われてきました。ソニーや楽天、メルカリのインド拠点などは有名ですね。ベトナムにもマネーフォワードなど大手IT企業を中心にたくさんの上場企業が開発拠点を立ち上げています。一方で、スタートアップは開発効率や英語化のハードルも踏まえると、どちらかというと国内での採用や海外オフショアでもパートナー企業にラボ型で何人かアサインしてもらうタイプの開発が中心でした。

ただ、最近では大規模調達企業を中心に、スタートアップでも当たり前に海外開発拠点を作り始めています。これは日本国内での採用が難しいことは言わずもがなですが、バーティカルSaaSを中心にこれまでのサービスとは比較にならないほど、開発するプロダクトの量が多いなども起因しています。

弊社、Findyもベトナムでの立ち上げを検討して初めており、開発組織の強化が大事な局面になってきています。

■開発生産性領域でSPACEの浸透とアウトカムへの関心増加

2024年予測の記事で『開発生産性のテーマが「Four Keys」に加えて「SPACE」も』と書いていたのですが、いよいよSPACEの浸透タイミングに入ってきそうです。弊社のサービスでももちろん、SPACE対応を始めています。背景には開発生産性の可視化が当たり前になりつつある中で、加えてエンジニアの開発環境を良くして開発効率を定常的に上げて、退職を防ぐことの重要性も上がってきています。そこでコミュニケーションやエンゲージメントへの投資も非常に重要という認識が高まってきています。

また、並行して開発生産性とプロダクト開発そのものやアウトカムとの紐付けを行なっていきたいという会社も増えてきています。これはビジネスサイドにとっても会社内での開発投資が重くなってくる中で、本当にこの規模の投資が適正なのかを数字で見たいというニーズも後押ししています。まずは開発プロセスからプロダクトデリバリー全体での生産性、そしてアウトカムまでここから2~3年で進化して行くと考えており、そこに向けてFindyもサービスを進化させて行く予定です

以上、2025年の「エンジニア採用・組織づくり」トレンドいかがでしたでしょうか?ちなみにエンジニア視点で見た際の転職視点でのトレンド予測「エンジニア転職のトレンド予測2025年〜大規模調達スタートアップが人気、国内はリモート維持、平均年収は変わらず等〜」も今年の9月に書いているのでぜひ、覗いてみてください。

年始からの転職動向に関心ある方はこちら