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【最終話】ドラマ「たとえあなたを忘れても」神戸街歩き弁護士の雑感

最終話の考察では、新出のロケ地のほか、ラストシーンの謎、美璃のピアノについても触れています。


茜と友人が再開した遊園地

こちらは、神戸フルーツ・フラワーパークです。三宮からバス直通で、中高生でも比較的行きやすい距離感です。当時の1番の思い出の場所だったのでは?と想像されます。

新居で美璃が弾いていた曲

こちらは、ドビュッシーの「月の光」でした。美璃にとって「月」は、空と出会って間もない頃のことを思い出す象徴的な存在です。美璃は、空と出会った頃のことを心に刻んでおくために、「月の光」をいつも弾いているのではないかと想像されます。

ところで、これまで美璃が弾いていた自作の曲ではなく、なぜ「月の光」なのか?という疑問が残ります。

第6話の考察で触れましたが、あの自作の曲は、美璃がピアニストの道から挫折した後、再びピアノの楽しさを思い出すまでを表現した、いわば「自叙的」な曲だったように思います。その挫折を乗り越えた今の美璃にとっては、あの曲はもはや必要のないものであり、むしろ、空との思い出を紡いでいくことのほうが大切なのだと思いました。

ラストシーンの謎

空が無表情にテレビを見つめるラストシーン。あのシーンは、映画「火垂るの墓」のラストを想起させるものです。

「火垂るの墓」のラストで、霊になった節子が、清太の膝の上で眠りにつき、その後に清太が(観客に向けて)前方を無表情で見つめるシーンがあります。

ラストで、膝の上で我が子が眠りについた後、無表情で前を見つめる空の姿が、そのシーンに酷似しています。

これまでの考察も、このドラマと「火垂るの墓」の共通点に触れてきましたが、ラストシーンで、やはり、このドラマが「火垂るの墓」から着想を得ていることを確信しました。

これまでの考察で予想したとおり、やはり空は、父親との過去と向き合いながらこれからもループの中で生き続ける運命にあるのだと思います。ただ、その側に美璃の存在があることで、運命に押しつぶされることなく、希望を持って生きていけるだろうと思いました。

そして、空とともに無表情に前を見つめる美璃の姿は、空と運命共同体として生き続けることへの覚悟を象徴しているように感じました。

たとえあなた『を』忘れても

これまでの考察で、「あなた」とは自分の父親のことを指しているのではないかと言及しました。

最終話を迎え、「あなた」は美璃のことでもあったことが明らかになりました。「たとえあなたを忘れても」とは、たとえ美璃のことを忘れることがあっても、必ず美璃への思いを取り戻すことができる、という空の気持ちを表したものでした。

「あなた」とは、美璃のことであり、家族のことでもあり、空にとってかけがえのない人のことを指すものであると思いました。

最終話を迎えて

神戸が舞台という理由で何気なく観始めましたが、最終話を迎えたとき、1冊の小説を読み終えたような気持ちになる名作でした。

第1話から散りばめられた伏線が整然と回収され、脚本や演出の素晴らしさをひしひしと感じました。

堀田さん、萩原さんをはじめ、出演者の皆さまの演技もよかったと思います。

挿入曲のピアノの旋律にも、大変癒やされました。

そして何より、神戸の魅力が存分に描かれていたと思います。旧摩耶観光ホテルのほか、石屋川公園、水道筋など、神戸市民にとって身近な場所をドラマに取り入れていただいたのは、画期的であったと思います。

もう一度、第1話から見返したい作品です。

ドラマ全体の考察はこちら

全話を通じた考察を、ドラマ「たとえあなたを忘れても」神戸街歩き弁護士の考察まとめで詳述しています。ロケ地考察のほか、このドラマと映画「火垂るの墓」との関係、美璃のピアノについても細かく触れていますので、ぜひお読みいただければ幸いです。

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