【第5話】ドラマ「たとえあなたを忘れても」神戸街歩き弁護士の雑感
第5話の考察でも、ロケ地に着目しながら、ドラマを考察していきたいと思います。
父親との思い出
かつて空が、幼少期に幼なじみ沙菜と訪れた場所は、洲本市(淡路島)のホテルニューアワジです。空は、須磨浦を眺めながら、無意識のうちに、その先遠くに臨むことができる洲本の思い出の地に思いを馳せていたのではないかと想像されます。
摩耶山に訪れていたもう1つの理由
空が何度も摩耶観光ホテルを訪れていた理由について、第4話の考察で、記憶を失う前に通っていた神戸高校の思い出があったからではないかと述べました。
ただ、第5話で、摩耶観光ホテルに惹かれていた背景には、父親への思いがあったことが分かりました。
第5話の終盤、空の父親のお墓が、摩耶山の麓に位置する長嶺霊園に所在することが明らかになりました。
摩耶山は、空の高校時代の思い出を見渡せる場所であると同時に、亡くなった父親に思いを馳せられる場所でもあったのです。
やはり火垂るの墓がモチーフに?
第4話の考察で、(これまでのロケ地を踏まえた)このドラマと火垂るの墓の共通性に言及しました。火垂るの墓が、霊となった清太と節子が何度も神戸空襲の体験を繰り返すストーリーであるように、このドラマもまた、過去の体験を何度もループして抜け出せない運命を描いているように思われます。
※第4話の考察で、このドラマのロケ地について、火垂るの墓との共通性があることを詳しく触れています。詳しくは、こちらをお読みください。
第5話を視聴して、やはり、このドラマは火垂るの墓をモチーフにしているのでは?と感じられるエピソードがありました。
それは、父親のお墓参りに訪れた空に、沙奈が別れ際に伝えた、“死んで生まれ変わったときに私のことを思い出してほしい”という言葉です。
火垂るの墓は、お互いに亡くなって霊となった清太と節子が、現在のJR三ノ宮駅前で再会するところから物語がスタートします。“死んで生まれ変わる”というのは、このドラマが火垂るの墓を1つのモチーフにしていることの現れではないかと感じたのです。
今回はじめて、空と沙奈との過去に焦点が当てられました。沙奈もまた、(空が記憶をなくすたびに、空に対する思いを断ち切れなくなってしまう)ループから抜け出せない存在であったことが明らかになりました。
さながら、沙奈と空との関係は、清太と節子のようであったように感じます。
ただ、火垂るの墓との大きな違いは、2人の関係に、美璃という第3の存在が関わることです。
美璃の存在があったからこそ、空と沙奈は、ともにループの中から抜け出して、新たな人生を歩み始められたのです。
生田神社の御守り
沙奈が、現在まで空への思いを断ち切れずにいたことは、空のキッチンカーと、沙奈の車に、おそろいで付けられていた“生田神社の御守り”からも分かります。
最後のシーンで、沙奈が涙を流しながら車を運転する傍らに、生田神社の御守りがアップで映ります。このことから、生田神社の御守りには、深い意味があることが分かります。
おそらく、生田神社の御守りは、沙奈の勧めで買ったものではないかと想像されます。なぜなら、都会の喧騒を嫌う空が、繁華街にほど近い生田神社に自発的に足を運ぶとは考えにくいからです。
生田神社は、縁結びの神様として知られており、密かに空と結ばれることを祈っていた沙奈が、(おそろいで)空に渡したものではないかと想像されます。
また、生田神社は、沙奈と空とのデートコースとも関係があります。沙奈と空が初デートで訪れたのは、アトア(水族館)、南京街、ビーナスブリッジ、そして、生田町のホテル街付近です。これらの場所を線でつなぐと、その真ん中あたりに、生田神社が位置することが分かります。もしかすると、沙奈はわざわざ、空との縁結びのご利益を願って、生田神社を取り囲むようなコースを設定したのではないかと思ったのです。
もしそうであれば、生田神社は、沙奈にとって大切な思い出の場所であったことになります。
次回は阪急御影が舞台?
次回は、茜の過去がクローズアップされるようです。
第5話は、茜が阪急御影駅前のケルン(パン屋)で、同級生と再会するシーンで終わります。以前の回でも、茜がプリクラを手に阪急御影駅前で佇んでいるシーンがありました。
茜の過去と、阪急御影に、何か関係があるのでしょうか?次回の展開が気になります。
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