【第4話】ドラマ「たとえあなたを忘れても」神戸街歩き弁護士の雑感
今回のロケ地はおおむね既出のものでしたが、意外なことに、これまで登場したロケ地がストーリーの伏線として見事につながりました。過去の話を振り返りつつ、私の考察をご紹介します。
3つのロケ地が意味していたもの
ストーリー全体にかかわる重要な3つのロケ地が、六甲アイランド、須磨浦、そして、摩耶山(旧摩耶観光ホテル)です。この3つの場所が意味していたものが、明らかになってきました。
六甲アイランド
今回はじめて、空の実家が六甲アイランドに所在していることが明らかになりました。六甲アイランドは、空にとって、子ども時代を長年過ごした思い出の場所だったのです。
須磨浦
※幼少期に空が家族と訪れていた場所は、須磨浦ではなく洲本(淡路島)でしたので、訂正します。
空と美璃がキッチンカーで出かけるシーンでは、おおむね須磨浦が登場します。また、第1話において、空が美璃のことを誘った旧グッゲンハイム邸や、その周辺の塩屋エリアからは、須磨浦を一望することができます。
須磨浦からは、遠くに淡路島を臨むことができます。空が須磨浦に思いを馳せていた背景には、かつて家族と過ごした淡路島の思い出があったものと想像されます。
摩耶山
第1話から度々登場する摩耶山(旧摩耶観光ホテル)の麓には、かつて空が通っていた神戸高校があります。
そして、神戸市街地を見下ろすと、かつて空が自宅から高校まで通っていた経路を一望することができます。
摩耶山もまた、空にとって過去の思い出に接する場所だったのです。
繰り返されるドライブコース
空と美璃のドライブコースは、なぜいつも「六甲アイランド→須磨周辺→摩耶山」なのか疑問でしたが、やっとその謎が解けました。空は、過去の家族との思い出(消したい父親の記憶)を、潜在意識の中で、何度もループ再生していたのです。
おそらく、このような空の行為は、美璃と出会う前から繰り返されていたのでしょう。
火垂るの墓との意外な共通点
空が「過去の体験」から逃れられずに何度も記憶をループ再生する姿からは、意外にも、火垂るの墓の清太のことが連想されました。
火垂るの墓は、亡くなった清太が霊となって節子に再会した後、(時間が戻って)再び神戸空襲を体験するストーリーを永遠に繰り返す姿を描いた作品だといわれています(岡田斗司夫Youtube解説)。清太は、節子の死によって、神戸空襲の苦しみを現代まで何度も繰り返し続ける霊となったのです。
空も、父親の死をきっかけに、過去のつらい体験を潜在意識の中でループ再生し続ける運命をたどっているのではないかと思いました。
このドラマと火垂るの墓との関連を思い起こさせる事情が、2つあります。
1つは、このドラマが、火垂るの墓の舞台(空が第1話でキッチンカーを出していた場所には、火垂るの墓の石碑があります)からスタートしていることです。その点は、第1話の考察で詳しく取り上げていますので、詳しくはそちらをお読みください。はじめは単なる偶然かと思っていましたが、ここにきて、意外な関連性が見えてきました。
もう1つは、摩耶山から神戸市街を一望するシーンが登場することです。火垂るの墓にも、霊となった清太と節子が、神戸の山上から神戸市街を眺めるシーンが登場します。この場所は、旧摩耶観光ホテル近く、千万弗展望台ではないかと推定されます。
このように考察を重ねると、火垂るの墓との共通点が偶然とは思えなくなってきました。
※第5話の考察では、火垂るの墓との共通性について、さらに考察を深めています。詳しくは、こちらをお読みください。
たとえ「あなた」を忘れても
これまで、タイトルの「あなた」とは、空から見た美璃のことだと思い込んでいましたが、そうではなかったのかもしれません。
仮に、空と美璃との関係を表現するならば、「たとえあなた『が』忘れても」と美璃の目線からの表現を用いるのが自然です。
このタイトルは、「たとえ『父親のこと』を忘れても」、その過去から逃れられないままに生き続けなければならない、空の運命を示しているのではないかと思い至りました。
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