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安い高いの感覚

物やサービスを買う時に安いなとか高いなとかの物価感覚、相場感覚、あるじゃないですか?

それは国や地域を越えるとどうなっていくのかというお話をしようと思います。。

最初にお断りさせて頂くと長い文章になったので、コーヒーを飲みながらとか音楽を聴きながらとかゆっくりと読んでもらえると嬉しいかもしれません。

僕はいまマレーシアとシンガポールの2カ国で週毎に移動して生活しています。今週はマレーシア、来週はシンガポールにいるという形です。

僕は日本人で22歳まで関東地方で生まれ育って暮していました。その後はインドネシアで留学期間を含めて6年間を過ごしました。

生活したことある国は4カ国あります。
基本的な物価はこうなります。

安い順に、
インドネシア<<マレーシア<<日本<<シンガポール

しかしこの国々はそれぞれ物価のムラがあります。

例えばビール。
日本ではコンビニでひと缶200円くらいの感覚ですが、インドネシアでは230-250円くらい、マレーシアでは330円くらい、シンガポールでは400円くらいの感覚です。
安い順に日本<<インドネシア<<マレーシア<<シンガポールですね。

これは酒税が関係しているのですが、ビールに対する非日常度合いと需要の強さも関係していると思います。

日本ではビールは日常的に消費されていて需要が強いと言えます。一方でインドネシアでは宗教的に需要が低いと言えます。マレーシア、シンガポールでは一部に需要が強い層も見られるけれど全体消費量の割合は日本より小さいと思います。文化的に日本ほどビール、または飲酒が浸透していないと感じることが多いです。
飲み会文化や乾杯文化、お祝い事でお酒を嗜む祝杯、献杯など飲酒文化が栄えている日本は需要が強力なので東南アジア諸国よりもビールが安く買えるように見えます。
おそらく上記の国から訪れる旅行者は日本のビールを安いと感じるでしょう。

しかし、これは本当に安いと言えるのか。

発泡酒や第3のビールは更に安いでしょう。
でも日本で生活している人は日本のビールは安いですねと言われてピンとくるのか、いやこないだろう。暮らしの中で予算があって、ビール代は大体このくらいと計算があります。その土地に暮らす人々はその土地の物価感が基準になるのであって、外から見た物価感は無関係です。

また、安い高いを考える時に出てくる要素として、同じ物に見えるけれど本当は異なっている物やサービスがあります。

ビールで例えるのはもうお腹いっぱいだと思うので、ユニクロで例えてみようと思います。

僕が暮らしきた4カ国全てにユニクロは圧倒的なパワーで進出しています。日本でのユニクロのイメージはどうでしょうか?
可もなく不可もない普通の服というイメージかもしれません。
しかし、東南アジアでは特にシンガポール以外の国ではシンプルで上質、信頼されているブランドと聞いたことがあります。
値段的には日本よりも1-2割高い感覚です。
物流費や管理費が多くかかるのでそうだろうなという納得感はありますが、たくさん買う時は日本で買いたくなることもあります。

ここで強調したいのは、世界に流通するユニクロの服は同じ物なのかという問題です。いや同じでしょうと言われそうです。日本向けと同じ生産拠点、おそらく中国周辺から同じ物を輸入している。

しかし、それだけが価値ではないということを考えることがあります。

同じユニクロでも着る場所によって価値は変わるという説。

周囲の人が着ていないデザイン、洗練されて新しく見えるデザインだとするとどうでしょう。

また、他のブランドで物足りなさを感じている中にユニクロがあったらどうでしょう。

ブランドイメージ、環境とのコントラスト、競合する選択肢によっても価値は変わってくると思います。

なので、ユニクロの商品は同じ物でも身につける場所により付加価値が異なるということが考えられます。

また話はビールに戻りますが(戻るんかい)、アサヒスーパードライは東南アジア向けを主にベトナムで生産していて、個人的な感覚ですが味が若干違うように感じます。
炭酸が薄く、苦みを抑えて、ほんのり甘く、その土地の需要に合わせて味を調整しているイメージがあります。こちらはユニクロで挙げた価値的な異なりではなく物質的な異なり、言葉通り同じ物に見えるけれど異なる物ですね。

そしてもちろんビールも同様に飲む環境により付加価値が生まれると思います。
よく晴れた日に運動した後、美しい景色の中で飲むビールは付加価値があると思いませんか?
それから分かりやすいのはお祭の出店ですね。350円とかもっと高く売られていると思います。野球場のドラフトビールは500円くらいでしょうか?
あれは売り子のお姉さんが重ーいビア樽を背負って笑顔で売り歩いているドラフトビールで、スポーツ観戦と一緒に楽しめるビールです。

あぁ、またビールの話をしてしまいました。
ビールに限らず、希少性または非日常性は物とサービスの値段に大きく影響すると考えています。

ラーメンの話もしましょう。

シンガポールで仕事が立て込んでいてヘトヘトになったあるひとりの夜に事務所近くの某◯風堂で豚骨ラーメンと餃子、ビールを頼みました。60ドルくらいだったと思います。
円換算すると6600円。
あれ、叙々苑かな。。。

味はとっても美味しいんです。
疲れた身体に沁みました。

立地、内装、確かに高級店です。
僕はあの夜、贅沢をしたのです。
フードコートではなく、落ち着いた雰囲気で日本の本物の味を、遠く離れた南国のオフィス街で、仕事を終えたあとの充実感と疲労感を携えて、出費を覚悟して入店したラーメンディナー体験。大袈裟かなぁ。。
しかし後悔はしていないです。
滅多に行かれないけれど、満足でした。
同じ物にみえるけれど異なる物とサービス。

マレーシアでは美味しいラーメンは1000円ほどで頂くことが出来ます。
それでも高いと感じる人もいるかもしれません。現地のシンプルご飯だと普段の食費はだいたい300-400円くらい。。約3倍。
日本人感覚でも1000円のラーメンが高い方になるかどうか。少なくても安いと感じるひとは少ないのではないでしょうか。
価値は消費者によってそれぞれなんですね。

さて、もうダラダラと書いてしまっているので最後に結論を書きます。

物やサービスの値段は需要と供給、地域毎の相場、付加価値、商品が置かれている環境、大きく分けてこの4つの要素が複合的に混ざり合っているように見えます。

だから、一見安く見えても実はその価値はそれなりのものだったり、また逆も然り、一見高く見えてもそれに準ずる付加価値と背景があったりするのではないでしょうか。

商品の値段が高く見えた時、見逃してしまっているかもしれない付加価値や置かれている環境に思いを巡らせてみるのもいいかもしれない。

そう自分に言い聞かせてこの円安、順調なインフレ市場を乗り切っていこうと思う日曜日の朝でした。










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