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太陽礼拝

ヨガで太陽礼拝ってポーズがあるんだけど、そのポーズをゆっくりと行うと、とっても心地が良い。

私はヨガに詳しくはない。

このポーズの名前と動きを知ったのは、だいぶ昔に発売された、Wii FITだった。

それでも、太陽礼拝、という言葉が、なんとなく綺麗で好きだな〜と思っていた。ポージングも、慣れないながら行うと、すごく心地が良かった。

ストレッチの動画や、ヨガトレーニングをしている方がお話しながらポージングの解説をして下さる時、

「背骨をお尻の方からゆっくりと戻して、乗っけていくのを意識して」

背筋を伸ばすことを教えて下さる。

私はなんとなく、その言葉が好きだ。

ヨガを教えてらっしゃる方は、皆さんとても謙虚で、そして前向きに感じる。

その前向きさが、「さあ、元気出していきましょー!!」「クヨクヨしないで!」みたいな感じでは決してないのも素敵だ。

晴れの日もあれば雨の日もある。

晴耕雨読、というほど勤勉でストイックなわけでは決してない。

日々変化することを無理やりに変えたりしないで、無理なく受け入れながら、出来ること、目の前のことをやっていこうよ。

そんな前向きさだ。哲学に通じている。

ボディケアのやり方そのものではなくて、在り方とか、生き方とか、そういうものを感じさせる言葉遣いをしてらっしゃる。

そういう人の在り方や、言葉遣いは、心に染みいって、何となくふうわりと、自然と前を向きたいなと思えるようになる。


* * *


Covid-19の感染拡大や、水害が続いている。

心が塞ぐ日も、多いと思う。かくいう私も、体調や心の状態が低迷しがちだ。

『ほんのちょっとでも、晴れ間が射してくれたらいいのに。』

そんな風にここ数日思っていた。

そうして今日、東京に待望の晴れの日が訪れた。

雲が晴れて青空を眺めてみたら、すごく心が穏やかな気持ちになった。

自転車に乗って、鼻歌を歌いながら晴れの日のアスファルトを駆けた。

本屋さんへ行き、ぶらりとお店の中を回った。

家族連れの人もいて、男の子が、兄弟なのだろう、二人連れだって、お母さんのところまで駆けていて、すごく幸せな気持ちになった。

気になっていたコミックスを買って、レジ袋は5円になりますと言われて、そうだったと思いながらカバーだけ掛けて頂いて、近くのスターバックスに寄る。

コミックスにクスクスと笑いながら温かいホワイトモカを飲む。

カフェで一人読書をしながら頻繁に吹き出しているものだから、少し恥ずかしくて、飲み物を飲むためにわざわざ外していたマスクをつけて読みたくなる。(結局ずっと吹き出したり堪えたりしながら最後まで飲み読みしていた。)

そうして読書も飲食も終わって、店の外に出ると、ここ数日の水の気配と、それから太陽がピカピカと地上を射していた。

そうしたらなんだか、心がすっと静かな嬉しさに満たされて、思わず思い出したのだ。

太陽礼拝、という言葉を。

雨の日も、私は好きだけれど、雨があまりに続いていると、気持ちや体調が落ちてくる。

空模様が、晴れたという、それだけで、心の根っこから太陽や光や明かりに照らされたような気持ちになる。

太陽信仰、という言葉があるけれど、今の私は、何となくその気持ちに共感してしまうなあと感じたのだ。

だって、晴れの日はこんなにも人を幸せにする。

私は無宗教だけれど、哲学や信仰や宗教について想いを馳せるのが好きだ。

礼拝、という、厳かで美しい行為にも、愛や神秘性を感じていて、とても好きだ。

日本という国は天災が多くて、日本という国だけではなくて、人類の歴史の中でも、疫病や様々な苦しみが何度も繰り返されてきた。

その長い歴史の中で、太陽という大きな大きな存在に救われてきた人も多くて、それがきっと信仰という形になったのだろうなあ、などと栓ないことを考えて、何故だかすごく、福々しい気持ちになる。

きっと苦しみや悲しみに遭遇したとき、人はいつも自分より大きな存在に救われてきたのだろう。海や山や太陽、星空や、宇宙に。

あなたにとって、どうか今日が、晴れの日であるといい。

そして、あなたの心を晴らすような、太陽がどこかにあるといいなとも思う。

あなたの心の太陽と、あなたの命に、わたしたちのいのちの雄大さに。

礼賛を込めて。

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