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腕が鈍る仕事は受けない。

 私は職人として生きていて、職人として生きたいと思っています。私にとって「職人」とは「その道のプロフェッショナル」であり、かつ自身と誇りを持って「成果物(作品)」を残す人です。

 たまにですが、クオリティを求められない案件に遭遇します。そのような仕事はなるべく受けたくない。報酬が良くても受けたくない。なぜなら、どうしても腕が鈍るからです。

 自分としては常に「100点」、またはそれ以上の成果物にしたい。どれだけ低くても「80点」を切るようなものは作らない。職人気質な方は、きっとそんな意識を持って仕事に臨むのだと思います。相手の要求水準が「80点」であろうと「70点」であろうと「50点」であろうと、基本「100点」・最低「80点」というラインは不変です。

 しかし人間は困ったことに、低い方へ低い方へと流れて行きます。常に「50点でいいよ!」と言われていると、だんだんと「100点」の感覚を忘れていってしまうのです。質の低いものに囲まれていると、どんなに気をつけても腕が劣化します。
 だからこそ良い案件に携わりたいし、意識の高い同業者・クライアントと関わりたい。周囲が、環境が、自分の質を決めるのです。

 最近とあるサービスを利用して「プロ」に成果物を納品していただきました。その成果物は正直、素人が見ても「プロとしてこんなの世に出しちゃって恥ずかしくないのかな…」というものでした。
 (実を言うと制作前の打ち合わせや確認、制作中の立ち居振る舞いも、「え、それで大丈夫なのかな…」という感じでした。嫌な予感が当たってしまった。)

 割といいお値段だったのでそちらも悲しいですが、それよりも自分と同じように「自分の腕一本で食べていく」と決めているはずのプロの成果物がそんな感じで、大変勝手ですがとてもショックを受けてしまいました。

 人の振り見て我が振り直せ、とはよく言ったもので。今回の件は自分のことを振り返る良いきっかけになりました。

 私は腕が鈍るような仕事は受けない。質が下がるような環境には入らない。つい楽をしたくなるような方とは付き合わない。腕を上げて質を高めて「より良いもの」を追い求める仕事がしたい。改めて、強く意識したい。(そして改めて自分を偏屈で面倒な人間だなと思いました。)

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