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【開催レポート】青山学院大学一年生とのワークショップ[第一回] ~困りごとを抱える人の前向きな一歩をサポートするには

渋谷区内にキャンパスを持つ青山学院大学には、学生の社会参画と市民学習の促進を担う「シビックエンゲージメントセンター」があります。
今回、学生たちが日々を過ごしている渋谷区での取り組みを学生たちに知ってもらう機会を持てればと、秋元先生から「結・しぶや」にお声がけいただき、「フレッシャーズ・セミナー」という科目で講義及びワークショップを実施しました。
さまざまな学部・学科の1年生19名が参加して行ったワークショップでは、自身の知見や学生ならではの柔軟な発想を活かして、実効性のある提案をいただきました。
以下に、その2回にわたる授業の様子と成果をご紹介します。

◆6月4日(1日目) 身近にいる「複雑な困りごとを抱える人」

まずは、結・しぶやで取り組んでいる「重層的支援体制整備事業」について、渋谷区福祉部 地域福祉課よりお伝えしました。また、地域福祉コーディネーターから、日ごろ行っている地域の方々からの相談の対応、結を通じて行っている団体支援や団体線形、地域づくりの活動についてご紹介しました。
ここの話で出てきた、さまざまな“複雑な困りごとを抱える人”たち。実は、自分たちのまわりにも “複雑な困りごとを抱える人”がいるはず…。学生それぞれの経験から思い出してもらったところ、ひとり親家庭の子どもや外国人、高齢者やホームレス、性的マイノリティーの人など、様々な困りごとが出てきました。
通学路で見かける気になる人、知人の知人、もう少し身近な人まで、それぞれの心に浮かんだ人の困りごとの状態や背景について、グループで互いに質問をしあいながら、その人の生活背景について、理解を深めていきました。

青山学院大学の教室にて

この日は、それぞれが持つエピソードをもとに、各グループの中で、“複雑な困りごと”を抱える仮想の一人を設定して終了。翌週の授業の時間も使って、秋元先生のもと、さらに深めていただきました。
 

◆6月18日(2日目)困りごとを解決するために必要なものとは?

大雨警報も出る中、たくさんの学生が「結・しぶや」まで足を運んでくださいました。

この日の目標は、前回までに深めていった仮想の一人に対し、より良い暮らしを応援するための一歩を後押しするための方法やサービスを考える事。
「結・しぶや」で、複雑な困りごとを抱える人に向けて様々な活動を行う団体の情報を手に入れながら、イメージを具体化していきました。

コミュニティマネジャーの紹介のもと、ジャーニー(道のり)を考えていきます。

各チームで設定したのは、以下のような困りごとを抱える人。

  • 女性として生まれ、性自認が男性、周囲の振り会や環境に悩んでいる学生

  • ひとり親家庭の長女としてきょうだいの面倒を見たり家事を担いながら、誰にも相談できない苦しさを感じている若者

  • 日本に移住してきて間もなく、地域になじめず不安を抱えている外国人労働者

  • 金銭的にも時間的にも余裕がない生活のなか、不登校になり、孤独を感じている学生

  • 高齢のため職に就くことが困難でホームレス生活を続けている男性

  • 病気の父親と家族を支えているヤングケアラーの女性

それぞれに全く違う、複雑な困難を抱える中、どのような気持ちで具体的にどのような課題に直面しているのか、周囲の環境や関わる人、興味関心のある領域など、その人の背景にあるものを紐解きながら、課題解決のために必要な施策について考えていきました。

「匿名性を高めたらどうか」「いつでも利用できることが大切なのではないか?」「同じ目線で話せる学生が対応できればいいのでは」など、具体的にサービスとして実装するにあたってどのような問題が起きるかについてもイメージを膨らましながら、様々な意見が飛び交いました。
最終的に発表された解決策は、学生ならではのコミュニケーションの視点と、感情に対する深い洞察に富んだアイデアでした。
 
参加した学生からは、「皆さんがどのような活動をされているのかを知ることができて勉強になりました。グループワークで自ら考えることでより具体的なイメージを掴むことができたので良かった」「学校でやるよりもより活発にワークショップを行うことができた」「ボランティアにもっと興味を持つことができました」「今回知ったことや考えたことを活かして、自分にできることを探して行動に移していきたい」などのコメントをいただきました。
 
本授業は、秋にも実施予定です。今回参加してくださった皆さんの成果を活かしつつ、さらにブラッシュアップして取り組んでいきます。
また、結・しぶやでは、学生の考えたアイデアを、類似する課題を持つ方を支援している団体さんともシェアしながら、新たな活動の創出につなげるとともに、学生の地域参加も推進していきます。
 
取り組んでいただいた学生のみなさん。ありがとうございました!