見出し画像

全旅連井上会長の言葉、「宿泊施設は地域のショーケース」について考えてみる。

2024年6月19日に全旅連全国大会(札幌)が開催され、久々の1000人超の参加者で盛り上がった。
その中で、井上会長が提唱した「宿泊施設は地域のショーケース」という表現は、とても印象深く、今後の観光立国の推進のための核心をついた言葉だと私は感じました。
旅館・ホテルが単なる宿泊施設としての役割を超え、地域の文化や魅力を積極的に国内外へ発信し、地域活性化に貢献する存在(宿泊観光産業)であることを強調しています。

この概念をより深く理解し、実践するために、以下の3つの視点から詳細に考察し、具体的な実践例を挙げてみたい。

1. 地域の魅力を徹底的に掘り下げる

訪日外国人旅行者を含む観光客にとって、その地域でしか体験できない特別な何かを求めています。そのため、宿泊施設は単に寝るだけの場所ではなく、その地域ならではの魅力を明確に打ち出した特別な体験を提供する必要があります。

具体的には、以下のような取り組みがあります。

  • 地域の歴史や文化を客室や館内装飾に取り入れる

  • 地元食材を使った料理を提供する

  • 地域の伝統工芸品を販売する(使用しないと購入ハードルが高い、椅子テーブルなど地元の木工品を客室内に配置し宿泊体験から自然と購入へ意識転換につなげる仕組みなど)

  • 地域のお祭りやイベントの開催

  • 地域の自然を満喫できるアクティビティを提供する

九州でも、嬉野温泉(tea tourism)や原鶴温泉(出張鵜飼い)など、私がお話をお聞きした面白い取り組み事例があるので、別のテーマでご紹介したいと思う。


2. 訪日外国人旅行者やリピーターをターゲットにする

訪日外国人旅行者や国内リピーターは、高単価な消費をする傾向があります。そのため、宿泊施設はこれらのターゲットを意識したサービスを提供する必要があります。

具体的には、以下のような取り組みがあります。

  • 英語や中国語などの多言語対応をさらに強化する

  • 滞在日数を増やすため、外国人向けの観光案内を充実させる

  • 訪日外国人旅行者向けの希少価値の高い特別プラン(高単価)を販売する

  • リピーター向けの特典を用意する


3. 地域全体で連携して観光客を誘致する

宿泊施設単独で観光客を誘致するのは難しいため、地域全体で連携して観光客を誘致することが重要です。

具体的には、以下のような取り組みがあります。

  • 地域の観光協会や温泉旅館組合と連携して観光プランを開発する

  • 地域の交通機関と連携してアクセスを改善する

  • 地域の観光スポットやイベントを国内だけでなく海外を意識してPRする

  • 地域住民向けに観光客向けの接客研修を行う


まとめ

宿泊施設は、地域の魅力を多角的に発信し、宿泊客に特別な体験を提供することで、単なる宿泊施設としての役割を超え、地域のショーケースとして重要な役割を果たすことができます。地域関係者との連携を強化し、地域活性化に貢献していくことが、持続可能な宿泊観光産業の発展にとって鍵となるでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?