見出し画像

独りの夜長とキムチスカーフ

後味がいい。
韓国ドラマのシシューポスを見終わって、ラストシーンで私の心に花吹雪。もう少し余韻を味わっていたいからまだ終わらないでほしいと思ったら、終わらず、次のシーン。花吹雪も風に舞い散っていく、それで終わる準備ができました。ラストシーンは余韻が重要で、すぐ去ってしまわれると、一人残されてしまって困ってしまう。最後まで手を振ってくれて、私を見届けてくれているような(うどん屋の清水さんのような)別れがありがたい。*清水さん=姿が見えなくなるまで送ってくれる実在人物。
シシューポスは過去未来などの時空を交錯させながら、人間社会の過ちを説く韓国のサイファイ、スリラードラマです。

長引くコロナ禍で、文化芸術セクターにとって助成金は存続するためにとても重要です。経済大国アメリカや芸術大国フランスはダントツに支援額が大きいです。アメリカの行政やクラウドファンディングが私自身にも、支えてくれることに大変感謝しています。驚いたことには、韓国はコロナ禍以前から年間400億円の助成金で映画界を支えています。『文化的活動は人間の基本的な権利である』と国が援助しているとは大変素晴らしいことですね。文化芸術にありがたい後ろ盾がある韓国映画、ドラマ界は益々注目を浴びてゆくことでしょう。

高麗末期から朝鮮王朝の変革期を描く歴史ドラマ・六龍が飛ぶ
学歴競争社会と年功序列、経済と政治が絡む現代社会ドラマ・ミセン
財閥政治(Chaebol )下の医療経済社会ドラマ・ライフ
学歴、階級が絡む検察権力と犯罪ドラマ・秘密の森(ストレンジャー)

これらの作品は脚本の作り込みが素晴らしい。1話ごとちょうど良い分量で、サビもあり、まとまっている。だから飽きない。観る側の感情を煽ったり、急かしたりして中毒症状にもしないので、やめられなくなるほどにもならない。なんだか人間関係みたいですね。そして最終回が素晴らしい。長く引きすぎず、パッと終わらせず、予測どうりの終わり方にしない。まとめ方が良い。物語に不遇や理不尽な負の要素があっても、歪みや恨みにまみれても、期待に敗れても、絶望しても、正の意識で終わるから後味もよい。観ている側に寄り添うように、余韻を残してくれます。

現実、南北分裂や複雑な歴史背景と急速な経済発展が生む競争社会で、どれだけ韓国が揺れいているのかは、ドラマを通しても知ることができます。実際にリーダーシップを取る大統領の結末は波乱に満ちています。韓国の検察が『検察共和国、大韓民国』 と言われるほど捜査と起訴に関する権限を独占しています。これを現在、弁護士出身の文在寅ムン・ジェイン大統領が権力を配分する検察改革法案に取り組んでいるため、尹錫悦ユン・ソギョル前検察総長と対立し、大統領の支持率は低迷中。来年3月の次期大統領選候補に前検察総長が上がるなど、公正と正義を評価できるリーダー選びは映画を観ているかのようです。
揺らぐ国に生きる韓国人は文化芸術を心の拠り所にしていると思ってしまうのは私だけでしょうか。

文化芸術推進の応援団として、コロナ禍の夜長、涙したり、笑ったり、私も揺れながら鑑賞を続けたいと思います。

PS・キムチスカーフを作ってみました。

画像1

画像2


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?