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『響け!ユーフォニアム』|久美子の成長

『響け!ユーフォニアム』第3期1クール全13話を観ました。
第3期を観始めてから、過去作も観返そうと思い、1期と2期を観返して、観ていなかった劇場版(総集編以外)も観ました。

当初書いていた感想記事が長くなってしまったので。複数の記事に分割して投稿しました。

当記事はそのうちの一つです。

今回の記事では、久美子の成長を振り返ります。


■久美子の成長

久美子、3年間でとても成長したと思います。

中学生のころ麗奈に「ほんとに全国行けると思ってたの?」と言ったところから始まり、北宇治の面子と出会い、2期、劇場版を経て部長になり、3年生になって、その責務を全うするまで。

1期を改めて観返してみると、意図的な演出なのかどうかは分かりませんが、1年生の頃はまだ顔つきも声も幼かったな、と思います。

1期のころの久美子


3期のころの久美子。
作画や演出の違いもあるので画像だけでは分かりませんが、
全体的に1期のころと比べて声も顔つきも変わったように見えます。


しかし、1年生編である1期と2期、2年生編の劇場版、3年生編の3期を経て、とても成長したように思います。顔つきも声も変わった。それだけでなく、一人の高校生として、人として、とても成長したと思います。

3年間で久美子は部内の様々なメンバーと関わり、部内の様々な問題や事件、軋轢に遭遇してきました。

1年生の時

1年生の時は、北宇治カルテット(葉月、緑、麗奈)との出会い、あすか先輩や夏紀先輩、低音のメンバーとの出会い、吹部のメンバーとの出会い。滝先生や松本先生たちとの出会い。

そして、部内外の問題との対峙。
幼馴染の葵ちゃんの退部、希美先輩の再入部をめぐる、のぞみぞ(希美先輩とみぞれ先輩)の関係の描写。あすか先輩の退部騒動であったり、姉である麻美子さんの退学であったり。

特にあすか先輩の退部騒動、久美子が自らの想いをあすか先輩にぶつけるシーンでは、感情的でそれこそ"こどもみたいなこと"を言うのですが、あすか先輩がはっとして涙ぐむくらいに響いていました。

また、姉の麻美子さんの退学の話と平行していたため、麻美子さんの発した「高校生なのに分かったふりして」や「あんたもさ、後悔の無いようにしなさいよ」といった言葉が久美子の脳裏に浮かんでいる描写もありました。

それが久美子があすか先輩に発した言葉にも表れていました。

2年生の時

2年生の時は、奏たち新一年生の入部があり、先輩として振る舞う機会も多くなってきました。加部ちゃん先輩とともに一年生の指導係を務めてもいました。

最初は本心をあまり話さなかった奏も、夏紀先輩や久美子との衝突を経て本音を話すようになったのも良かったです。

開催大会後のバスの帰りで久美子が奏に「くやしい?」と訊くシーンも印象的。

部長になってから

そして、夏紀先輩たちの引退後は部長となり、アンコン編や3年生編では最初は不器用ながらも北宇治の部長として振る舞っていました。

1年生の集団退部や、自身がソリに落ちた事による部内の亀裂、真由とのわだかまり、麗奈との関係、など。主に部内の人間関係の面で奔走していました。

そういった面では、久美子自身が1年生のころから既に何かしらの事件に関わる事が多かったように思いますが、部長になってからは部長としての立場で関わる事が多かったと思います。

最初こそは部員たちの前でぎこちない部分もありましたが、合宿でのオーディション結果発表後の花火のシーンで、後輩から「部長の事、応援してますから」と言われたりなど、部長として徐々に慕われるようになっていた事が分かります。

3期第12話

そして、3期第12話、再オーディションの結果発表後、うしろめたさを感じる真由や動揺が広がる部員たちの前で言った一連の台詞。今までの久美子には無かった堂々とした台詞でした。
あの台詞で、真由も中学の頃から背負ってきた葛藤から救われたのではないでしょうか。

再オーディション前に久美子と真由の二人だけお互いの胸中を話したシーンも、お互いについて理解する重要なシーンだったと思います。

そして大吉山のシーン。唯一、久美子が涙を流したのは麗奈の前でだけでした。部員たちの前でも真由の前でも奏の前でも、ずっと涙を堪えていたんだと思います。そこで言った「死ぬほど悔しい」「この気持ちも、頑張って誇りにしたい」という台詞。

久美子は最終的には麗奈とのソリは吹けませんでしたが、今後の人生における貴重な経験をしたのだと思います。

※3期第12話についての詳細な感想は下記に記載しています。

最終13話

そして最終13話。

あすか先輩から教わった「響け!ユーフォニアム」の曲について、久美子から真由に「一緒に吹く?」と聞いて、奏も含めて一緒に吹くことになったシーン。

「響け!ユーフォニアム」の曲は久美子にとってあすか先輩から受け継いだ大切な曲で、3期6話の時点では真由に曲の事について聞かれても教えませんでした。しかし、第12話の一連のシーンを経て、その曲を真由に伝えました。久美子にとって大きな変化だと思います。

そして、全国大会の「一年の詩」の演奏シーンではこれまでの久美子たちの3年間の回想シーンが挟まります。久美子や北宇治が経験してきた、とてもかけがえのない出来事ばかりです。

『響け!ユーフォニアム』の3年間で久美子は本当に成長しました。
前述した様々な出来事を経て、部長として、一人の人間として。


■そして先生になる

そして、3期最終13話、エンディングの後のシーン。
久美子が大人になり、北宇治の教師となって北宇治吹部の副顧問をやっているシーンが描かれます。

3期12話で久美子が松本先生に渡した進路調査票に何が書いてあったのかがこれで分かります。

思い返せば、作中でも久美子が先生になる事を言及するシーンがありました。(3期7話)

北宇治で経験したあの3年間の事を考えると、久美子がまた北宇治に戻ってきたいと考える事にも納得がいきます。

また、Xでも多くの人が言及していたり、石原監督のインタビューで正式に発言があったりした話でもありますが、黄前先生のシーンはちょうど現在の2024年です。高校を2018年に卒業し、大学で4年過ごした後、2022年から北宇治に赴任し、3年目、といったところでしょうか。

黄前先生のいる北宇治吹部がどうなるか、も気になってしまいます。
(X上のユーフォ界隈だと、その話で二次創作をしている人もちらほらいるのが眼福)


余談ですが、黄前先生は北宇治のOGであり、滝先生が北宇治に赴任してきた時に入学した生徒で、北宇治が10数年ぶりに全国金賞を取った時の部長である、と考えると、黄前先生って結構レジェンドだな、と思います。


以上。

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