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『響け!ユーフォニアム』|何事にも代えられない「真剣に向き合う」ということ

『響け!ユーフォニアム』第3期1クール全13話を観ました。
第3期を観始めてから、過去作も観返そうと思い、1期と2期を観返して、観ていなかった劇場版(総集編以外)も観ました。

当初書いていた感想記事が長くなってしまったので。複数の記事に分割して投稿します。

当記事はそのうちの一つです。

今回の記事では、『響け!ユーフォニアム』を通して感じた「真剣に向き合う」という事について書いていきます。


■何事にも代えられない「真剣に向き合う」ということ

私は、高校生時代、吹奏楽部に所属していました。
特に強豪校ではない、普通の吹奏楽部です。

土日も平日も、遅くまで練習に励んでいました。

部活には本当に多くの時間を割きました。

そして今、社会人になってから思う事は

「あんなに部活に時間を割くくらいなら、バイトしてお金を稼いだり趣味や自分の将来やりたい事に打ち込んだりすれば良かった」

という事です。

ユーフォ3期も、最初はそんな思いで観ていました。

9年前に1期と2期を観たから、その流れで観る。

最初は、ただそれだけでした。

でも、途中から考えが変りました。

こんなに真剣に音楽に向き合っている子たちにそんな事言えるだろうか?


言えない。


もちろん、作中でも「こんなに頑張って何が残るのか」という事は何度も言及されます。1期の時点の麻美子さんが久美子に言った台詞であったり、「誓いのフィナーレ」の奏の台詞であったり、3期第3話の真由の台詞であったり。

1期では葵が受験を優先して部活を辞める話もありました。

どんなに部活に精を出しても、どんなに時間を掛けても、それが将来役に立つ人はほんのごく一部。

どれだけ吹奏楽を頑張っても、どれだけスポーツを頑張っても、その経験が将来の自分にとって、直接役に立つ人はほとんどいない。

みんな全く別の進路に進み、別の事をする。

冷静に考えたら、そうして最初の私の考えに帰結してしまう。

「そんなに部活に時間を割くくらいなら…」

大人になってしまうと、どこか俯瞰してしまって「こんな事何の役に立つんだろう」と思ってしまう。

でも、ユーフォを観続けてきて、そんな事言えませんでした。

彼女たちは、"今"と真剣に向き合っている。

役に立つとか立たないとか、そういう事じゃない。

自身が今携わっている目の前の事について、「真剣に向き合う」という事。

それがどれだけかけがえのない事であるのかという事を感じました。

作中では、登場人物たちが涙を流すシーンが何度も流れます。
特に、作中で何度も描かれる大会での結果発表のシーン。

関西大会を突破し全国大会に進んだ時、
惜しくも全国大会銅賞だった時、
関西大会で金はとったものの全国大会には進めなかった時、

そして最終話でとうとう全国大会金賞を取った時。

そこで涙を流すというのは、彼ら彼女らが、目の前の事に対して真剣に向き合っているからだと思います。

それは、音楽に対して多くの時間を割き、多くの練習回数を積み重ねて来たという事です。

毎日毎日何時間も練習して、何百回も練習を重ねてきた。
 
そうしてかけてきたものが大きいからこそ、その上で出た結果に対する悔しさや喜びが増すのだと思います。


■作中で何度も言われた「死ぬほど悔しい」「悔しくて死にそう」が最後は「嬉しくて死にそう」で回収される

アニメ『響け!ユーフォニアム』は1期冒頭で麗奈が発した
「悔しくて死にそう」
という台詞で始まります。

その旨の台詞は、作中で何度も出てきます。

1期12話で、散々練習したフレーズを吹かせてもらえなくなった時の久美子の「悔しい…!悔しくて死にそう…!」

劇場版「誓いのフィナーレ」で北宇治が全国に進めなかった時の奏の「くやしいです…くやしくて死にそうです!」

そして、3期12話(個人的には伝説の回)の大吉山のシーンで、唯一麗奈の前でだけ涙を流した久美子が泣きながら言った「死ぬほど悔しいーーー!」

目の前の事と真剣に向き合ってきた彼女たちだからこその台詞です。

そうして、1期から何度も出てきた「死ぬほど悔しい」「悔しくて死にそう」という台詞が、3期最終話の最後(エンディング直前)では「悔しくて」ではなく、麗奈の「嬉しくて死にそう」で回収されます。

この最後の台詞を想定して最初から脚本を組んでいたのか、それとも原作でそうなっているのか(そうだとしたらそれはそれで原作も凄い)、どうなのかは分かりませんが、1期から9年越しにこんな形で回収されるとは思いませんした。

とても良い形で終わりを迎えた、と思います。


以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。


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