毎日超短話436「少年と学者」
河原で水切りをするのにちょうどいい石を少年は見つけた。学者が少年に近付いて、それを見せてくれと言う。
「これは、幻の隕石だ、譲ってくれないか」
「やだよ、水切りするんだから」
少年はその石を川に向かって投げる。それが向こう岸まで届くと、少年は、「見た!?」と学者のほうを向いた。学者は着の身着のまま川に飛び込み、向こう岸まで泳いで渡った。石を探している。仕方ない、いっしょに探してあげるか。少年は、すぐそばの橋を渡り、向こう岸へ向かう。
あれ?
たどり着いて、河原に降りると、学者はいなくなっていた。少年は石を見つけて、さっきいたほうへと投げた。どっちが夢の中なのか、少年はいま、迷っている。
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