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毎日超短話627「涙腺コルク」

ガラガラと音はしているけれど、玉が出てくる気配はない。あれ〜? 出ないねえ。と福引担当のおじさんも困っている。ガラガラガラ、ポン! ようやっと玉が出てきたと思ったら、小さなコルクのようなものだった。そのコルクはにっこりと笑っている。それを見たとき、その場にいた人々の涙がポロポロこぼれはじめた。どうやら、このコルクが涙腺を締めていたようだ。人々は泣いているが、どことなくみんな、安心している顔だった。わたしを含めて。



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