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6月の全短歌①濡れてもいいシャツ

1
心まで染み込んでいく雨粒で濡れてもいいシャツ着ている六月


2
手裏剣にアイラブユーと書くようなラブレターを静かに燃やす


3
窓のない部屋をリフォームしてからは俯いてても明るくなった


4
凪いでいる風に漂うアメンボが軽いオールで海原をゆく


5
好きな色知ったときから世界中その色になる恋の魔法で


6
永遠はないけどずっと浸かってる幸せなる温度の中に


7
野の花と虫の音たちのさよならであのような色、夕張メロン


8
坂道を転がるたびに削られて今は優しい光の原石


9
気付かずに見過ごしている絶景を旅行雑誌が見上げてる窓


10
公園の小さな山の頂で空になりゆく110の服



←5月の全短歌⑥  ②勇敢な者たち


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