見出し画像

ウィズコロナ時代のサークル運営論

初めまして!
慶應義塾大学環境情報学部(SFC)2年の板谷勇飛です。

私はフリーで広告映像に関する仕事をしていますが、
それとは違った、SFCの多様な学生と、気軽にクリエイティブを追求できる環境を求めて「sense.」というクリエイティブサークルを入学してすぐの2019年5月に立ち上げました。

画像1

しかし、新型コロナウイルス流行の影響で、メンバーと会えない中、1周年を迎えることとなってしまいました。
ですが、私の知る限りの他サークルより、オンラインの中でも活気を持って活動を継続できていると自負しています。

そこで今日に至るまでどんな取り組みを行ない、どんな成果が見えたのか、実際の運営視点から紹介してみたいと思います。
正直私の場合、仕事よりもサークルの方が断然オンライン移行が難しかったです。その辺りにも最後に触れてみたいと思います。

1. オンラインで新歓

まさかの人生初新歓、オンラインです。
大学からも新歓行事の見送りが告げられ、早々にZoomを使った新歓を企画しました。発信はもちろんTwitterで。SFC生、基本的にツイ廃だらけなのでオンライン時には役立ちます。
色んな慶應のサークルを集めて一斉に新歓告知する、みたいな取り組みもあったようですが、設立から時間のたってない我々は認知いただけていなかった模様。しかし頑張ってアイキャッチを作ったおかげもあってか、100人を超える皆様に新歓(アーカイブ視聴含む)に参加いただくことができました!


2. 参加フォームの整備

画像5

新歓で興味を持ってもらえた方には、オンライン上で入会手続きをしてもらう必要があります。

HPを改修し、参加フォームへ誘導しました。

HP作る技術ないよ!って方も安心してください。
我々もフォームをつくる余裕はなかったので、HPはGoogleフォームに誘導しているだけです。極端に言えば見栄えのためだけ。それっぽいでしょ!!

画像6

回答は自動的にスプシに排出されます。
のちに名簿としても扱いやすくて便利です。


3. コミュニケーション環境

団体きってのネット中毒がお勧めしてくれたのがDiscordです。

スクリーンショット 2020-09-16 18.56.37

個人的にはいかにもゲーマーなUIデザインが好きではなくて、よりビジネスライクなSlackを好んでいたのですが、諸々の特性からDiscordの方がいいだろうということで、今期から移行しました。

Discordは大人数が同時にチャットできる、いわばLINEのグループチャットを巨大化したようなものです。

スレッドを案件ごとに作成し、アクセス可能なメンバーなどの権限もかなり細かく設定できます。通話機能も内包されています。

画像4

スタンプでのリアクション確認も、大人数をまとめる上で大変便利です。オリジナルスタンプを追加することもできます。


4. プロジェクトベースでの展開

サークルの活動を基本的に全てプロジェクトベースにしました。
Discordの「#新規プロジェクト募集板」にプロジェクト概要を投稿し、参加したいと思った人が該当するロールを自分のアカウントにつけると、当該プロジェクト専用のチャットに招待される、という流れです。

これには
誰でも企画立案をしやすい空気を作る
運営権、責任の分散(詳しくは最後のセクションで触れます)
というメリットがあります。

大学生、意外とみんな忙しく、時間のある日もバラバラです。
やること決めましょう〜の段階から全体MTGで扱うとなると、かなり大変です。まず意見がまとまらなくて、結局運営が決めることになります。

運営権限を広く開放することで、プロジェクトがより身近なものとなり、力も入ります。


5. 新入生が企画する新入生歓迎企画

完全オンラインで始まったサークル。当然新入生同士も距離感は全く縮まらず、全体的に萎縮傾向にありました。これではプロジェクトの立案も起きる空気ではありません。

そこで、新入生に謎解きのプロ(SFCらしすぎて愛せる)が2人いることを思い出し、お願いしたら快諾してくれたので、オンラインでできる謎解きイベントを作ってもらうことにしました。

謎解きって、フリップに問題出てきてな〜んだ?みたいな感じのもんだろうって思ってました。蓋を開けてみたらびっくり。壮大なストーリーの下に主人公として飛び込み、謎を解いて問題を解決していくイベントに仕上がってました。しかも問題むずすぎてぜんっっぜんわかんない。完全になめてましたごめんなさいすごすぎる。当たり前ですがかなり盛り上がりました。

クリエイティブサークルなので、イベント内に登場するフリップのデザインも拘ります。
解いた答えはどうやって照合するのかって?
もちろんWebアプリです。新入生のエンジニアとDiscordを教えてくれたネット廃人が協力して作り上げてくれました。

そんな私の感想はさておき、2人だけでプロジェクトを動かすのはもちろん難しいので、はいきました「#新規プロジェクト募集板」の出番です。

そして勇気を出して手をあげてくれた10人ほどのメンバーとともに企画スタート。ミーティングを重ねるうちにみんな打ち解けてきて、Twitterを交換して(SFC以下略)、サークル感出てきました。オンラインいけるじゃんと。


6. オンラインセミナーの開催

フリーランスで実際に業界で働くメンバーが数名いるので、それらを集めて講習会をzoomで開催しました。
自粛期間中でスケジュールに余裕があったからこそできた企画だと思います。

最初の講習は全3回にわたる「デザインセミナー」。
余白の使い方が捉えやすいWEBデザインを題材に、課題の出題と添削を行ないました。しっかり取り組んでくれたメンバーにはかなりの成長が見られました。

その後はモーショングラフィックスや3DCGについて学ぶ講座を展開しました。


問題はここから

熱量の大きな新入生はおそらく謎解きイベントに立候補したり、セミナーに積極的に参加してくれたりしていました。在籍メンバーは計70名を超えていたわけですが、意外と他のみんなが動いてくれません。
さらに先述の新入生たちは距離を縮めてきていて、メンバーの固定化による途中参加のしにくさすら出てき始めていました。

まだ遂行中で詳細は書けないのですが、慶應全体で開催される学園祭「三田祭」への協力が決まっていて、それを中心において今も進めているのですが、正直先述の問題は改善されていません。

さらにサークル内部だけで完結できる内容ではなくなったことから、オンラインでいい加減見にくい全体像がさらに捉えにくくなってしまい、モチベーションが全体的に下がってきています。

自粛要請が弱まり、自分の予定が増えてきたのも影響しているでしょう。
困った。。。


結論。サークル運営、ガチでむずい。

冒頭でも少し触れましたが、仕事よりサークル運営の方がくっっっっっっそ難しいです。断然。(個人の感想です)
これは全て、雇用関係にないことに起因すると思っています。

サークルの活動では基本お金はもらえませんよね。むしろ私の場合そこからくる仕事にはない自由さを求めて団体を作りました。

つまり、全てがメンバーの「モチベーション」「責任感」のみによって成り立っているわけです。
しかも後者にあたっては、書面上での契約もなければ基本的には罰則もない中での、利害を無視した人と人との関係の中だけで成り立つ責任感です。

ミーティングの日時設定に苦労します。
雇用してないのでメンバーのスケジュールを管理する権利がありません。
大学生、授業期間は時間割はバラバラだし、休暇中はめっちゃ遊びます。そんなに遊んだら遊びの楽しさどんどん減らない?って心配になるくらい遊びます。契約で稼働時間を縛ってればこんな苦労は味わいません。むっずい。

成長義務がありません。
みんなやりたいっていうわりにやりません。クリエイティブは奥が深く、軽い気持ちではAfterEffectsのインターフェースを見ただけで受け付けないでしょう。おまけに意味不明なエラーと距離を縮めていく時間も必要です。私自身、あれやりたいこれやりたいと思っても、そう長続きはしません。たまたま映像やデザインに取り憑かれただけなんです。仕事では、取り憑かれた人か、そんなに好きじゃないけど生きるためにやってる人しかいません。だけどサークルにはそうじゃない人がいっぱいいて、でもうまく参加機会を作らないと悪口言われちゃいます。そんな中、クオリティに関しても、やっぱり妥協はしたくない。あーーーーむっっずい。

総じて怒れません
自由度が高いがゆえに、もうほとんどが道徳で成り立ってます。モチベがいつなくなるかもわかりません。次のプロジェクトにこの人が参加してこんな働きをしてくれるだろう、そんな予想も普通に裏切られます。リソース予測なんてできないしリスクヘッジもできません。でも怒れません。怒る理由がないんです。だって雇用してないんだもん。

結構病みます。

それでも直接会ってワイワイできるなら、楽しいって思ってくれる人もたくさんいます。高め会える最高の友達になれます。

だけどコロナによってその醍醐味がない、つまりお金も地位も得られない上に、大して楽しくないボランティア労働に感じてしまう人が増えてしまってるんです。

これらの改善策はずばり、運営権、責任の分散です。
このサークル、結局のところ対企業取引が全くの0ではなかったり、所属クリエイターのクライアントにチェックされてたりという信用の問題が私自身気になってしまって、自由さをかなり縛ってしまっていました。

ですが、ここはサークルです。もちろん色々体制は整えた上で、もっと自由に、主体性を持ってもらう努力をしました。

上でも触れましたが、プロジェクトベースの進行に変え、プロジェクト立案をしやすい環境にしました。各プロジェクトでリーダーを決め、そのリーダーベースで進行してもらっています。

事実、私に責任が集中するより、分散されることで、責任者とより密接な関係にあるメンバーも増え、先述の人と人との関係の中だけで成り立つ責任感が機能しやすくなったように感じます。

今は残念ながら減速傾向にありますが、一時はかなり活発にプロジェクト立案が進められていました。

今後も継続的に改善策を模索する必要はあるものの、一定の効果は得られたと思っています。

画像2

「大学生らしい楽しさ」「活力」「充実」と「制作技術向上」「クオリティアップ」「一緒に仕事できる人材を見つける、育てる」がうまく調和する空間を目指して作った「sense.」ですが、サークル運営はそう簡単ではありませんでした。
最後に書いた事柄は、きっと多くのサークル運営者が頷いてくれることだろうと思います。

そんな難しさに、コロナの難しさまで加わって、パンクするかモチベ0で全停止か、そんなサークルも多いのではないでしょうか。
限られた大学生活、サークル再起を目指すサークル運営者の役に少しでも立てれば嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?