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【ラノベレビュー】もしも明日、この世界が終わるとしたら 一巻

あらすじ

終わりゆく世界を前に、少女は願う。かつて英雄が愛し、そして救った世界。余命はおよそ一年。たとえ、私が死ぬことでしか世界が救われないとしてもーー。「大咲空さん。どうか、お願いします。この世界を救ってもらえませんか?」「あなたはかつて、この世界を救った"英雄の生まれ変わり"なんです」

終わりゆく世界を前に、少年は自問する。召喚されてからこの世界で過ごした、少女との日々。ちょっぴりドジで、すぐ拗ねる。でも、たまに見せてくれる笑顔が嬉しくてーー。この世界と、たった一人の大切にしたい女の子。どちらか片方しか救えないのならーー。

購入した理由

ラノベ好きの知り合いの方にお薦めされたのがきっかけですが、小説とライトノベルの違いを知るためでもありました。そして綺麗なイラスト表紙の荒廃した世界に美少女が立っているそのギャップに惹かれました。

どんな内容か?

真夜中の校舎の屋上に居たはずの主人公が少女ユーリの召喚魔法により(異)世界の学園へ召喚されるところから物語は始まります。主人公は元居た世界で大切な「なにか」を探していたのですが、その「なにか」を忘れてしまいます。主人公は英雄の生まれ変わりである意味、異世界転生モノなのですが、それを感じさせない工夫が窺えます。この荒廃した(異)世界を救うには少女ユーリを殺すほかなく、主人公は他に良い手はないのか?……と少女ユーリと学園の先生であり主人公の前世(英雄)の母親クロース(幽霊)の二人と共に答えを探していく事になります。最初のほうでは昔懐かしのギャルゲっぽいノリで話が進み、中二病を思わせますが章が進むごとに様相が変わっていきシリアスな展開となっていきます。荒廃した世界なので日用品や食料調達が必須でその過程はサバイバルゲームの様ですが戦闘描写は少なめです。主人公の過去や、それを取り巻く人達に焦点を当てた日常モノといった印象でした。著者の方がゲームシナリオライターなだけあって美少女恋愛ノベルゲームをプレイしているかのような感覚を覚えました。この「恋愛」の部分が重要で今作のヒロインである少女ユーリを好きになれるか否かで読者の評価は分かれそうです。

見どころは?

文章から荒廃した世界観を想像しながら実際に自分がそこで暮らし生きている感覚を味わえるところや日用品や食料を調達する際の冒険、未知との遭遇。主人公の前世(英雄)の謎を追ううちに見えてくるその人物像と真実。家族愛……主人公と少女ユーリの恋の行方。少女ユーリを好きになればなるほど切なくなること請け合いです。二人はピュアすぎるので私の眼には尊く眩しい存在に映り、気付けば第三者視点(見守る視点)になってしまいましたが好きな人には刺さるものがあると思います。

残念な点

主人公と少女ユーリの恋愛がメインの物語なので、荒廃した(異)世界の結末に期待して読むと後悔します。私がそうでした。ですが、これはこれで良かったと最後まで読んでみて改めて思いました。読めば読むほど味が出る……そんなライトノベルでした。

読後感は?

ラノベ全般がそうなのか分かりませんが、漢字にはふりがなが振ってあるので親切だなと思いました。368ページとボリュームがありますが、文章は小説と違い会話が多く読みやすかったです。読後感は主人公と少女ユーリにどれだけ感情移入できるか否かで変わりそうです。物語はとても切ないものとなっています。意外にも硬派な物語の印象を受けました。

あとがき

美少女恋愛ゲームの様なラノベは初めてだったので、このような世界もあるのだと新しい発見もあり勉強になりました。

気温の変化が著しい昨今ではありますが、皆様お身体にはご自愛ください。それでは良い読書ライフを!

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