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権威も金も恋人もない40手前男が、それでも夢見て「つみ」を重ねる。③

「生贄」


岡本太郎が好きで

よく本を読んだ。

彼は逆説や逆張りばかりで

心地よいのだ。

目立ちたい、認められたい

願望はあるが

世間にあわしたくないという

チンケなプライドも併せ持つ

僕にはよく響く。


そんな彼は

自分を殺せみたいなことを

いっていた。

僕には刺さる。

自分を殺すしかないのだ。

といっても

ほんとに死ぬわけではない。

自分を殺すつもりで

瞬間にためらう、恥ずかしいと思う、

一歩踏み込めない、

その瞬間の自分を殺すしかない。

その死んだ自分を生贄に

糧として新たな自分を生む。

これでしか進めない。

これは誰にでも当てはまる

話しではない。

自分を殺さずだって

栄養を与え続けて

成長させていくこともできる。


ただできない人。

もしそんな人がいるのなら

自分を殺すしかない。

安心してほしい。

死んで生きてはこの世の

摂理だ。

殺しても新しい自分がそこにはいる。

ためらうことはない。

そいつはほんとは

食べられたがっている。




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