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「直感」文学 *泣きっ面に彼*

 泣き腫らした朝はとても嫌い。

 だって目のまわりがパリパリとはりついて、真っ赤に染まり、たんこぶみたいに腫れてしまっているんだもの。
 いつになったらこんな朝を終えることが出来るんだろう。それはもう私にどうこう出来る問題じゃなくて、ただそれが止むのをひたすらに待つしかない。
 泣いているのは、マサキのせい。
 だってあいつが、私を幸せにしてしまうから。だってあいつが、私を愛してしまっているから。
 彼と一緒に迎える朝に、私は無性に寂しさを覚えて涙は勝手に溢れてきてしまう。
 マサキが私を愛すれば、その分だけ「愛のないそれ」を考えてしまい、マサキが私を好きだと言えば、その分だけ「私を嫌いなマサキ」を考えてしまう。マサキが隣にいる時は、「隣にいないマサキ」を感じてしまう。
 マサキなんて、初めからいなければよかったのに。
 そんな風に思う。……思うけど、マサキがいない私は、私でないみたいに思えちゃう。マサキと出会ってなければ、こんなに悲しくなんてならないのに。マサキが私に愛を与えれば与えるほど、私は悲しみの中に堕ちていってしまう。

 隣でまだ寝ている、マサキの寝顔はとっても綺麗。
 「マサキ、好きだよ」
 私は彼にそう伝えてからもう一度布団に潜る。彼の体温を感じると、また涙が溢れた。

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