「直感」文学 *溢れ出す、言葉たち*
溢れ出しているはずの言葉たちは、いつも胸につかえて言葉になることはなかった。
コウヤくんは何もしていない。
ただ、私の前で無邪気に笑っているだけなのだ。
彼を好きになった瞬間、私の言葉は形を失ってしまい、どこまでも存在を隠してしまっている。
「どこにいってしまったの?」
私が”私”にそう問いかけると、
「ここにいるよ」
と言葉たちは、みんな一斉に言葉を返した。
あ、ほんだ。
言葉たちは間違いなくそこにいて、そして私の喉元でつかえていただけだった。
そうか。
私は、私の言葉を、私自身が止めていたんだ。
そんなもの、いらない。
「ねえ、コウヤくん」
彼は振り向いて、私を見た。
「ねえ、好き」
言葉たちは、コウヤくん目掛けて飛んでいって、そしてコウヤくんを取り囲んだ。
あとはみんなの頑張り次第だよ!
私は心の中で、そう思ってばかり。
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