「直感」文学 *気付けばずっと昔に*
いつも来る、
いつものカフェ、
いつもと同じ席、
そこは窓際の席だった。
ただなんの意味もなく、この窓から眺める風景が好きだった。
何がある訳でもない。
そこにはいつもと同じ空気が流れ、いつもと同じ時間が佇んでいた。
木の葉は風に揺られ、道を歩く人々は肌寒そうにコートの前ボタンに手を掛けている。
僕はと言えば、煙草の煙をくゆらしているだけ。
そこには、なんの意味もなかったし、なんの意味も与えてはいなかった。
ただそこにあるのは、
決まりきった習慣の中で行われる、ひとつの情事に過ぎない。
僕はそれらを眺め、煙を口から吐き出した。
いつだったか、
まだ僕が生きていた頃の習慣。
今ではそれさえ、懐かしい。
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