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「直感」文学 *静寂の夢*

 「そうね、もうちょっと落ち着いたらにしよう。その時まで電話待ってるから」

 電話口から聞こえてくるサユの声は、嫌なくらいに落ち着いていて、なんだかその声に隠された真意みたいなものに、僕は少しだけ不安になった。

 「うん、ごめん。今はまだ……」

 「いいの。急ぐ必要なんてないんだから。……大丈夫。大丈夫だから」

 いくら彼女が「大丈夫」と言ったところで、僕は一切安堵の念を抱くことなんて出来ないままだった。

 纏わりつくのは不安ばかりで、僕にだって元々はあったであろう安心の念は、ゆっくりと、だけど急速に削ぎ落とされていった。

 「じゃあ、その時に」

 「ああ、その時に」

 僕はそれから言葉を切った。

 そして静寂の中に置いていかれる。いつまでも静かな、静寂の世界。

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