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「直感」文学 *夜空にいっぱいの手を伸ばして*

 こんなにも綺麗な夜空、見たことあっただろうか。

 星が瞬く夜空は、あまりにも綺麗で壮大だった。

 「ねえ、見て!こんなにお星様が出ているよ!」

 5歳になったばかりのリョウタは夜空に手を懸命に伸ばし、その星屑たちを拾おうと躍起になっていた。だけど、いくら手を伸ばしてみても、それらが自分の手の元まで与えられることはなかった。

 「とーどかーないー」

 それでも頑張るその姿に、僕はなぜだか胸が熱くなる。どうして、彼は初めから不可能だと分かっていることに取り組もうとするのだろうか。

 その疑問は、あまりにも当たり前のように頭の中に浮かび、すぐにはっとした。

 「少し遠くへ行ってきたら?……そうね、リョウタとキャンプにでも行ってきたら?なんだか最近疲れてるみたいだし」

 乗り気じゃなかったけど、会社に無理言って休みを貰った。そこまでする必要があるのかとずっと疑問だったけれど、今であれば妻が僕にそう言った理由も分かる気がする。

 「初めから無理だって決まっているものなんてないんだよ」

 夜空に手を伸ばすリョウタの小さな背中は、そう僕に教えているようだった。

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