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生み出す過程

現在、新作バッグの企画を行っています。
悩みながらも楽しみながらデザインしていますが、そのお話を。

デザイン画の手法って、まるでCGかと思うくらい写実的なデザイン画や設計図のような緻密なデザイン画を描く人や、ラフスケッチのようなデザイン画を描く人など、本当に人によって様々です。
昨今、手描きをせず、最初からPCで全てのデザイン画を描くデザイナーが増えていますが、中には、デザイン画は一切描かずに型紙を起こすことでデザインをする稀なデザイナーも存在します。

自分の場合においては、以前はラフスケッチを数多く描き、その中から良いデザインに対しデザイン画を手描きでまとめていましたが、最近では、ラフスケッチ一つからラフサンプルを作っていく工程が自分には合っているのだと気づき、まともなデザイン画を全く描いてません。
私のラフスケッチは本当にラフ過ぎて目も当てられません…(汗)
これを見ていただければ一目瞭然。うーーーーん、恥ずかしい…(汗)

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そんなラフすぎる私のスケッチですが、これにも理由があります。
シルエットなどの大まかなデザインをラフスケッチで済ませ、型紙製作をしながら、実物のサイズに見合うディティールデザインをしていくことで、紙上やPCの画面では伝わりきらない感覚をデザインすることができます。
即ち、デザイン画を必死に描く時間をサンプル製作に当てる事が出来るのです。
これが出来るのも、元々オーダーメイドで革製品の製作で職人仕事を行っていたからこそ!!
また、若い頃からたくさんのデザイン画を描き込んできたことにより、デザインの引出しを赤ひげ先生の薬箪笥以上に持つ事ができたからこそ!!当時の経験が生きています。

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これから製品のデザインを行っていきたいという人には、手描きのスケッチから入って欲しいというのが自分の希望です。
出来ることなら、実物と同じサイズのものを自分でラフサンプルまで仕上げ、微調整を行って欲しいです。
PCでのデザインを否定しているわけではないのですが、実物が存在する製品をデザインするとなれば、より実物に近い存在でデザインすることが、料理で例えるところのちょっとした塩加減になるのだと思っています。
そのほんの些細なことが、印象に残るデザインになると考えています。
きっとそれは、目では見えない感覚のデザイン。

型紙製作も切って貼ってを繰り返し、微調整していきます。
バッグのデザインは、何を入れるのか、どんなファッションに合わせるのか、機能性をどうもたせるのかなど、多数考えることがありますが、サイズ感も重要なポイントとなります。
そのためにも型紙の状態でサイズ感をしっかり把握するのです。
ただ紙は張りもあり、白色は膨張色であるために、一回りくらい大きく感じるので、注意しなければいけません。

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また、デザインだけではなく、素材感も大きく印象を変えます。
yuhakuにおいて最も難関であり重要な素材選び。
近年、世界的な革の品質の低下により、大きな面に傷やシミなどを入れないで裁断することが非常に難しくなってきています。
そのために、作りたいデザインも出来ないことが多くあります。
良い部位だけを裁断し残りは処分という考えでは、yuhakuの製品は成立しません。
「命あった革にもう一度命を吹き込むこと」を使命としているため、それをクリアするデザインというところも心がけています。

次回作のデザインコンセプトは「Signature(シグネチャー)」。
yuhakuのロゴと色をマッチさせたシンプルでいて存在感のあるシリーズは、冬のリリース予定です。
ラフサンプルの段階で「欲しすぎる!!」と自画自賛しています。(笑)

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乞うご期待下さい!!

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