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ひとつの商品が生まれるまで。

「待ってましたーーー!!!」
今回のブログはズバリ、そんな声が聞こえてきそうな新商品『バッグ』が出来上がるまでを書かせていただきます。
実は過去のブログイラストには何度も登場させていた、ファンの皆さま待望のyuhaku新作バッグ。
この度、満を持してのリリースとなります。
「昔作っていたような、全体にグラデーションの⼊った鞄がほしいです!」
お客様からのそんなアツいお声を聞くたびに「作りたいですけど……なかなか難しくて……」とお答えしてきました。
⼿間がかかるからやらないのではなく、作りたくても作れない理由があったのです。
それが、素材となる「⾰」と「⾊⽌めの技術」。
今思えば創業時はこの2点が⼗分でないまま、全体をグラデーション染⾊した鞄をリリースしていました。
しかし、商品開発を進めるにつれてよりクオリティの⾼いものを、と志すようになり然るべき素材と技術が揃うまで鞄の製作は⾒送ってきました。

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まずは素材となる「⾰」
以前にもブログで書いたことがありますが、現在、地球温暖化や⾷⾁需要増加に伴い⽜を取り巻く環境が変わり、⾰の品質は⼤幅に落ちています。
財布と違い、鞄の製作には⾰の⾯積を多く必要とします。そのため、⾰⾃体の品質が⾼くなければ、素材を無駄なく使うことができません。
そこを考えずに鞄という⼤きな製品のためにきれいな⾯だけを裁断すると沢⼭の端材、つまりはロスを発⽣させることになります。
結果、製品作りを『第⼆の命を吹き込む仕事』として捉えている⾃分の理念に⽭盾が⽣じてしまうのです。
当然ですが、ロスを出すことは経営的にもよろしくありません。
また、⾰に対する⾃分の基準が⾼く、対応できるタンナー(⾰の加⼯業者)がなかなかいない、という職⼈気質な事情もあります。

ちなみに鞄⽤の⾰に求める条件はざっと下記の通り。

・銀⾯が滑らかで美しく、⽑⽳が⽬⽴たないこと
・後染め加⼯ができること
・張りとコシを持ちながらも柔らかくてしなやかなこと
・下地の⾊が⾰の中まで浸透していて、⽇にさらされても⾊焼けしにくいこと
・鞄にしても、とにかく軽いこと。(重い鞄はきらいです……)
・縫製における様々な⼯程を経ても、シワになりにくいこと
・厚みを1.6mmに調整するため、薄すぎないこと


と、この様に要望ばかり(笑)

それでも理想の⾰を探し求め、数え切れないほどの試作を重ねて、何年になるでしょうか。
おそらく創業以来ずっとだと思います。それほどまでに、⾰というのは製品作りにおいて命となる部分なのです。

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つぎに、「⾊⽌めの技術」
「⾊⽌め」とは「⾊落ちを防ぐこと」です。
前提として、基本的に⾰製品は⾊落ちしてしまいます。特に染⾊仕上げのものは⾊が落ちやすいのですが、
財布と異なり⾐服と⽇常的に接する鞄は⽔に濡れても⾊落ちしにくい状態までの加⼯が必要です。
『全体に染⾊を施した新たな鞄を』と企画した段階でそのような技術が成熟していたわけではありません。
しかし、なんとしてでも作りたい気持ちが⼤きく、「できないから仕⽅がない」とは諦められませんでした。
そのため、新たな⾊⽌め技術の開発にも着⼿。
⾰探しをしながら⼿に⼊れた複数の仕上げ剤。それらの配合や加える⼿順などを考えられる限りで実証した結果、⾊によって度合いは異なるものの、販売可能な範囲の⾊⽌め加⼯を施すことが可能になりました。
⾰の質感を保つためにも残念ながら⾊落ちを完全に防ぐことはできませんが、今後もより良い加⼯⽅法を模索していきます。
⾰が決まり、技術が開発できれば、いよいよどのアイテムを商品化するかというお楽しみ。

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第⼀弾はファンの皆様より切望されているトートバッグ、バックパック、そしてボディバッグの3アイテムをリリースいたします。
もちろん、yuhakuのグラデーションを全体に施したアイテムです。
その他のアイテムに関しては、今作の動向や新たなご要望を取り⼊れながらの展開を検討しています。
そして、今アイテムの⼀番の驚きはなんと⾔ってもその軽さ!!
⾰製品の重さは、⾰の「鞣し(なめし)」で⼤きく変わってきます。
求めたのは、軽くて、しかも丈夫であること。
⻑年にわたりその条件に⾒合う⾰を探し求めたおかげで今作は

バックパック:920g
トートバッグ800g
ボディバッグ:420g

と、総⾰の鞄とは思えない軽さを実現しました。
もちろん、使い勝⼿にもこだわり、無駄を削ぎ落としながらも機能性を兼ね備えた内装となっています。
このように書いていくと、yuhakuのデザインはそのほとんどが⽬には⾒えない努⼒から成り⽴っているなと再確認します。
『デザイン』というと⾒た⽬の格好だけをイメージされることもありますが、yuhakuは理想を具現化するため、素材と技術を開発段階から行い、モノ作りで必要な要素を全て考慮することをが『デザイン』であると考えています。

始まりはオーダーメイドブランド「ameno spazio」でした。
それが「YUHAKU」となり、「yuhaku」と改めながら、ブランドの⽅向性をしっかりと固めてきました。
クラフトマンシップを前⾯に打ち出そうとしていた独⽴当初から、デザインというものを⾒直して染⾊技術を構築しながら作り上げたyuhakuの「今」を、直線的で無機質なフォルムで引き⽴たせ、ラグジュアリーモダンを感じられる佇まいに仕上げました。
最後に、ブランドコンセプトを添えたロゴをサインさながらにあしらったことで「Signature」と命名。

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そんな、yuhakuの努⼒とエッセンスを凝縮した新たな代表作ともいうべきアイテムがいよいよ6⽉22⽇の発売となります。
そこで、皆さんの声を直接聞きたいがために、⼀⽇店⻑として店頭に立たせていただくことに致しました。
お会いする⽇にはコーディネートもいたしますのでぜひ、お楽しみに。

仲垣による1⽇店⻑イベントのお知らせはコチラ
https://yuhaku.co.jp/p1623917231/

※弊社では感染症拡⼤予防のため、皆様の健康・安全⾯を最優先に考慮して営業してまいります。
ご来店の際はマスクのご着⽤・⼿指の消毒、店舗状況に応じた⼊店制限などにご協⼒お願いいたします。
ご不便おかけいたしますが、何卒ご理解とご協⼒のほど、よろしくお願いいたします。

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