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学校現場で「手段の目的化」を防ぐ7つのヒント

手段の目的化、その原因と結果、そして防ぐ手立てとは?休日の今日、朝からずっと考えています。とにかく忙しい。時間に殺されそうなんです!

さて、前回の記事では学校における手段の目的化について説明してきました。それではなぜこのようなことが起こってくるのでしょうか。

手段の目的化の原因

そもそも、学校が忙しすぎることが一つの原因です。いくつか学校を勤務してきて思うのですが、どの学校でも教員はとにかく時間に追われています。目的など考える暇もなく、次の時間どんな授業をするか、教科書をいつまでに終わらせるか、次の行事をいかにスムーズに遂行する・させるか。多くのことを形骸化させてでもしないと終わらないんです。空きコマは暇だと思われているようですが、意外とデスクワークや次の授業の準備で時間を取られ、考える余裕もありません。

うんざり

手段の目的化の結果

結果として考えられることは2つあります。1つは、軌道修正がうまく行かないこと。目的を意識していなければ次年度も同じことをやるのが一番楽ですが、そのままでいいのでしょうか。

もう1つは、何事も本質的な解決に至らないということ。例えば、生徒に単語力をつけるためにやっている朝の単語学習も、生徒側に目的が共有されていなければそれが次のステップにつながりにくくなります。そもそも理解度や知識の量は人によって全く違うわけで、その単語テストがどのくらい役立っているかを考えると疑問です。

手段の目的化、どうしたら防げる?

では、それを防ぐ手立てはあるのでしょうか。ここでは7つの提案をしてみます。生徒も教員もこれを積極的に取り入れれば、時間はかかりますが、確実に手段の目的化を防ぐことができます。

・目的に日々立ち帰ること
・ICTの利用
・思考・判断・創造的学習
・教え込みを減らす
・生徒に計画の一部を委ねる
・学びのUD化
・ふりかえりの活用

そして、ガッツリやるならコンポンセッションです。これについてはもう少し詳しく説明しますね。

目的に日々立ち帰ること

私が生徒だった頃、高1と高2の間で悟りが開けたのか、突如成績が上がりました。それについてはアメブロなどを見て貰えばいいのですが、その方法がまさに目的に立ち帰ることでした。

小テストや定期試験を作る先生の立場になって考え、その先生に挑む気持ちで勉強しました。実際に、「デキル」生徒と言うのは先生以上にルーチンワークの目的を意識して勉強しています。「やらされ感」で勉強している人と差がつくのは当然です。教員は、その目的や、やっていけばやがてできるようになることを面倒ですが伝え続けてみてください。できれば生徒の立場で。少しずつ変わってくるはずです。

ふりかえりの活用

授業で振り返りシートを書いてもらっている先生は多いのですが、中身は「頑張った」「覚えた」であって代わり映えしなくて困っていると言う声をよく聞きます。

実はそこが改善ポイント。生徒がそれだけしか書けない授業になっていることに気づいたら、授業の目的を自分自身に問い直しましょう。その単元の目的は?学ぶと何ができるようになる?生徒がみる世界はどう変わる?その進度で本当にいいのか、他の手段はないのか、自ずと見えてくるはず。

思考・判断・創造的学習

ここから先は全てつながっているのですが、先ほどの振り返りシートで生徒がそれだけしか書けない授業というのはほぼ100%この三つが足りません。

問題が解けるようになることは目的でしょうか。しかも問題が解けるようになるために問題を解くのは本当に対策になっているのでしょうか。いわゆるHOTs高次思考スキルの少ない授業はルーチンワーク、マンネリになりがちです。

まずアウトプットを前提にしてみること、創造をどこかに取り入れることで学びが深まるだけでなく、生徒にとっては学びが自分ごと化します。

教え込みを減らす

先日、ある理科の先生がこんなことをFaceBookに書いていました。

札幌新陽高校の田渕久倫先生より

この学校はすごい進学校ではありません。失礼ながら、偏差値的には札幌でも低い方です。しかしできてしまうんです。

教え込みしすぎているのがおそらく99%です。私も自覚があります。思い切って委ねてみる。すると不思議。手段より目的を考えている自分がそこにいるんです。

生徒に計画の一部を委ねる

授業計画は先生が全て作ると思っている人が多いようです。

勤務先の京都大谷高校では生徒会活動がとても活発です。生徒が組織して生徒を動かし、先生はその補助として動く。そんなイベントを去年も今年も見てきました。

全てを委ねなくてもいいんです。例えば、以前いた女子校の英語表現の授業でこんなことを聞いたことがあります。「この1学期では英語の基本構造を理解して、自信を持って英語を書いたり話したりできるようになってほしい。テストまでこれくらいの時間と単元がある。でも、みんながやりたい英語劇もどうにかやりたい。どんな計画ならできそう?」結果、残り6時間で英語劇までやり切ったのです。

学びのUD化

UDとはユニバーサルデザインです。学びが滞るのは生徒側の問題だけではありません。そもそも学び方は万人に合う方法があるわけもなく、教員側が授業の手法を工夫することでできるだけたくさんの学びを得られるようにします。

先生というのは、文字からの学びにとても長けている人が多いです。でも実際は聴覚や視覚、体を動かしながら学ぶことが長けている人も同じくらいいます。学びへのバリアを取り除くには?個人的にはネットから情報を得ることが多いです。今や世界中がオンラインで繋がり、学びのバリアは教員側も下がっていますね。

生徒は生徒でするべきことがあります。それは、自分がどのような学びが向いているのか知ること。耳からが得意なら録音して覚えたり、ポッドキャストを聞いたり、喋りながら音声入力したり。繰り返し聴くならTikTokもいいでしょう。暗記アプリもありますし、本だって読める。もっとスマホを活用してみましょう。

ICTの利用

創造的な授業も、学びのUD化も、推し進めてくれるのがICTの活用です。ですが、時間がかかりすぎるのでこちらに関してはまた今度。

さいごに

先日、目的を共有するためのセッションを生徒とやってみました。それはコンポンセッション。まだ出だしですが、生徒はやはり天才だなと思った次第です。長くなったので次のブログで書きますね。

ICTの活用については年間3,4回ですが丸1ヶ月学べるガッツリ系のオンライン研修を行なっています。どなたもご参加可能です。情報はオーガニックラーニングのホームページにアップしますので見てください。



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