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イケメンになった日② 09/20

後ろの席の派手な女の子。
うるさい人に抵抗のなかった僕が、’I’と仲良くなるのはそんなに難しいことではなかった。

僕らが一番話すのは決まって技術の授業時間。
真面目には授業は受けていたと思うが、なぜかおしゃべりができる余裕があった。
その授業中は、出席番号の頭から4人づつで班をつくられ、男3女1の割合になった。
前の男子二人同士は同じ小学校だったが、他はみんな違って、色んな話が飛び交った。
話の中心は’I’。

「○○って感じで、△△がこーなって。ピーーーーーーーー!凄いの!!!」
「「「お〜〜」」」

授業中にも限らず、話が盛り上がる。
話の内容は基本下ネタ。
今思えばなんてことない会話だが、当時の僕にとっては全てが新鮮だった。
僕の出身の小学校は何故かはわからないが、純真無垢な少年(少女はしりません)が多く、性の知識は乏しかった。
それと反比例するかのように、周りの小学校は既に知識が豊富で、これこそ新しい世界だ!と感動したのを覚えている。

この知識の根源はどこだと知りたくなった僕は彼女に尋ねた。
「こういうのってどこでしったりするの?」
すると’I’はそのままの明るい調子で、
「携帯小説だよ!」と教えてくれた。

携帯小説、ケータイ小説。
勿論存在は知っていたが実際には読んだことはなかった。
横書きで、甘ったるしい文章なんだろうなとか、『恋空』?みたいなのが有名だなぐらいの認識。
まあ、そんなの買わないだろうなと思っていたが、流石は’I’。

「ゆうご読む?かそっか??」

くぅうぅぅう〜〜、甘美な誘惑!
しかし思春期真っ盛り。そんな素直にうんとは言えない。
「いや、いいよ・・・」
「いや!面白いって読んでみてよ」
「わかった・・ありがとう。」
そうなんですよね。そこまで言われたらしょうがない。
思春期男子にはこの1ターンのやりとりが重要なのよ。
ありがとう、押しが強くて。

まあ、ケータイ小説は普通に少しHで面白かったです笑


という感じで'I'とは仲良くなっていった。

他にも'I'と仲のよい女の子と一緒に話したり、
たわいもない話をして毎日を過ごしていった。

客観的にみると、男子に媚びているように見受けられなくもない子だったから、正直女の子の評判は良くなかったと思う。
でもそんなことは僕にはどうでも良く、ノリがいい女の子は好きであった。
その頃の僕は今では考えられないくらいトンがっていて、寧ろ群れる女子というのが本当に苦手であった。
「自分の意思で決めろやぁぁあああ!」と心で思っていたのか、口に出していたかは覚えていないが、そんなメンタリティで他の女の子たちとは口論をしたりもしていた。

するとどうだろうか。

女の子にイジメられました。

えぇ、女の子5人組にすごいイジメられました。
口喧嘩の弱かった僕は勝てず、ぐぬぬぬという日々を過ごしてたと思う。
少し悲しかったな〜。
※そのリーダー格の女の子には、のちに人生の相談相手として仲良くなるのだがそれはまたの機会で。

そういう意味では’I’とは睨まれていたもの同士、
少し心が通じ合っていたかもしれない。


そんなこんなな日々。
しかし僕らの関係性を揺らがせるほどのことでもない、
大したこともないけど面白かった事件が起こるのである!!!!!!

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