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ラブロマンスは香辛料

(注)これは作り話です。



ここは沢山の人が行き交うインドの首都ニューデリー


そして同時に沢山の様々な出会いがある街でもある。香辛料の匂いが人の興奮を誘うとか誘わないとか、今も運命の出会いがどこかで起こっているのかもしれない…



嫌な熱気が地面から頭の上までを充満し、沢山の人と秩序のなくなった乗り物たちがぶつかるギリギリを行き来する。そんな中を私はむず痒い鼻を掻くことすらできないまま、両手に抱えたバケツいっぱいの香辛料を市場に持っていく途中だった。

嫌いで嫌いで仕方ない実家の仕事の中でも市場での手伝いは数少ない好きな仕事のうちの一つだ。憧れの都会が少しだけ手の届く位置にあるような気がするからだ。だから例え香辛料を売り捌くだけで終わってしまうとしても市場に行く日は飛びっきりのオシャレをするのだ…だけど、もし、もしもずっと都会にいられるのならどんなに嬉しいことだろうか、もちろんそれができないことくらい自分でもわかってる。でも、もしも運命とか神様とかそんな“ナニカ”がステキな男性と私を繋げて、都会に連れて行ってくれたなら…


なんてねそんな甘ったるいラブロマンスみたいな話があるわけないのだ。仮にあったとしてもこんな両手にバケツを持って、ひと昔前の流行りの服を着ている女になんて来るわけが…


づっであっ!

ドッシーーーン

…OKまず状況を確認しよういいね?めっちゃ痛い…コケたな多分。最悪、超お気に入りの服だったのに…あっやっべ〜そういえば香辛料、多分派手にぶちまけたな、絶対怒られるわ。マジなんて言い訳しよう…後すんげえ声出しちゃったわ嫁行けねえww…はぁ


「おい!さっさと起きろ!」

うるっさいなと思い睨みつけようとして顔を上げて絶句した

目の前にはこのクソ暑い時期にスーツを着てる粉まみれの男がいた。

「やれやれ俺がタンドリーチキンにでも見えたか?あ〜ぁせっかくの下ろしたてのスーツがひと昔前の流行りの服着た田舎娘のせいで台無しさ」






続きません一つ前で書いた話ミュージカルとタンドリーチキン - こめかみコルクの日記を自分で書いてみただけです。すごい疲れました。もう二度とやらないと思います

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