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( 引用 ) 窪美澄 「父を山に棄てに行く」

「 最初の子供が死んだあと、二人の大切な友人とこちらから縁を切った。彼女たちの放った一言が、そのときの私はどうしても許せなかったのだ。私が悪かった、と何度もあやまる友人をひどい言葉でつっぱねた。家族を解散するときにも、言葉で子供の父親を徹底的に痛めつけた。いちばん身近にいてくれる人や、自分に親身になってくれる人にひどい言葉を投げかけるのは、どこまでなら許してくれるかを測る甘えでしかない。そう頭でわかっても、何度でも同じことを繰り返してしまう。愚かだとは思うが、多分、これからも何度でも繰り返すだろうと簡単に予想がつく。」

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