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エッセイ

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2023年1月の記事一覧

( 引用 ) 原田マハ 『楽園のカンヴァス』

 傑作というものは、すべてが相当な醜さを持って生まれてくる。  この醜さは、新しいことを…

ふゆ
1年前
10

( 引用 ) 窪美澄 「バイタルサイン」

私は再び窓に近づき、ブラインドを閉め、ベッドサイドの椅子にゆっくり腰を下ろした。  死に…

ふゆ
1年前
4

( 引用 ) 窪美澄 「父を山に棄てに行く」

「 最初の子供が死んだあと、二人の大切な友人とこちらから縁を切った。彼女たちの放った一言…

ふゆ
1年前
5

( 引用 )綿矢りさ 『しょうがの味は熱い』

背を向けて眠ったあなたを暗闇のなか眺め続けて あなたに内蔵されたい あなたの身体大きいから…

ふゆ
1年前
4

( 引用 )柚木麻子 「オイスターベイビー」

「反省とか感傷って逃げじゃね? 被害者っていう立場に逃げ込んで、楽に生きようとする。そん…

ふゆ
1年前
7

( 引用 ) 原田マハ 「豪奢 Luxe 」

この世でもっとも贅沢なこと。それは、豪華なものを身にまとうことではなく、それを脱ぎ捨てる…

ふゆ
1年前
6

( 引用 )川上未映子 「ウィステリアと三人の女たち」

春になると、老女と外国人教師は授業のあいまによく縁側にふたりで並んで、藤の木を見上げた。Wisteria、外国人教師はふと藤の花房と自身のあいだの空白に呼びかけるように呟くことがあった。そしてある日、おなじようにふたりで藤の花を眺めているときに、きみのことをウィステリアと呼んでもいいかと老女に尋ねる。 「いいけれど、どうしてウィステリアなの」 「わからない」外国人教師は微笑んで言った。 「ただ、きみの本当の名前はウィステリアなんじゃないかと思ったんだ」 「本当の名前?」 「う

( 引用 ) 西加奈子 『舞台』

いつかテレビで、心理学者が、辛いときはスキップをすればいい、そう言っていた。 「スキップ…

ふゆ
1年前
7

( 引用 ) 山崎ナオコーラ 『ここに消えない会話がある』

「広田は校正が終わると、給湯室へ行って、インスタントコーヒーを淹れた。お気に入りのマグカ…

ふゆ
1年前
3

( 引用 ) 本谷有希子 『ぬるい毒』

「原のことが思い浮かんだ。突然。笑われているときの原。ひどいことをしたと思っていた。でも…

ふゆ
1年前
2

( 引用 ) 金原ひとみ 『ミーツ・ザ・ワールド』#02

「もし虫は未来の自分に思いを馳せられないから可哀想だと言う人がいたとしたら、そう言ってい…

ふゆ
1年前
1

( 引用 ) 金原ひとみ 『ミーツ・ザ・ワールド』

「なんかさ、二次元と三次元とか、愛とか恋とか、好きとか愛してるとか、恋愛か友情かとか、恋…

ふゆ
1年前
1

( 引用 ) 星野智幸 「紙女」

「プロとして書いてきて、小説とは、何かに成り変わりたいという幸福な意識と、何かに成り変わ…

ふゆ
1年前
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( 引用 ) 伊藤たかみ 「秋田さんの卵」

「柔らかくするためには熱がいるけど、味をさっさとしみこませるには冷やすほうがいいの。冷えるときに、まわりのものも一緒に吸い込むんだ、心みたく」 「えっ、心?」 「心、悲しいことのほうが、よくしみるでしょうに。」