寺嶋由芙オフィシャル・インタビュー“④「職業、アイドル」
さて、今回は、あさりさんです。同性&同世代ならではなインタビューとなりました。文字起こししているスタッフ、友人同士の会話を盗み聞きしている気分になりました!(笑)
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3年2ヶ月ぶりの3枚目のアルバム発売になるわけですけれども、これまでの2枚に比べて、ここがポイントっていうことがあれば教えてください。
寺嶋:音で伝わるかわからないけど、気楽に制作しました。(1枚目の)『わたしになる』は遺作ぐらいの気持ちだったんで…。初めてのアルバムだったし、レコード会社さんの移籍とか色々あったから、発売できた!悔いなし!みたいな気持ちになって。『きみが散る』の時は、2枚目をどういうスタンスで制作したらいいのかがわからなくて、“真面目なアイドル”っていうものに対しての遊び方がわからなかったというか、“真面目さ”と、“ソロアイドルとしてやるべきこと”と、どれを大事にしたらいいかなとか、力加減がわからないまま、頑張って制作したとなという。難産だったっていうと、別に私が書いたわけじゃないですけど、気持ち的には、戸惑いもあったのが2枚目で。3枚目は、肩の力が抜けたというか、楽しく皆さんに乗っかってたら完成しました!みたいな部分も多い気がしてて。作家さんたちに乗っからせてもらってっていう感じでした。
なるほど。ある種、経験値がこの2枚で積み上がったからこそ抜けた感じはある?
寺嶋:自分1人で作ってるわけじゃないしな、みたいなことが、最近、自分が生きやすくなった理由かな。それは、コロナが影響してて。急にイベントなくなっちゃったりとか、決まってたことがなくなったりとか、「私のせいじゃない」って確実に言える案件が起きたことによって、悩んでもしょうがないことってあるんだなみたいな、そういう気持ちになれたことが、今回の力の抜き方に影響しているかもしれない。
なるほどねー。ソロアイドルだもの、全部1人で抱え込むところはあったかもね。
寺嶋:今思うと、そうなのかなっていうのは思っていて。よく考えたら、今までも私だけじゃどうしようもなかったことでも、「自分がこうしていれば…」みたいなこと思っちゃいがちだったし、作品作るときも、私がここでちゃんとこっちに持っていかないと大失敗しちゃうかも…みたいな。そういうビビリが今回、あんまりなくて。どんな曲が来ても面白くのっかれたというのがありますね。
なるほど。これまでの2作品は、それこそ前の事務所にいたときに作ってたから、むしろね、他に支えるというか支援があった状態だと思うけど、今回はそれこそ、(寺嶋さんと)テイチクさんだけっていうのも影響してますか?
寺嶋:人が多ければいいってことではないというのは思ってて。スタッフがいっぱいいたらそりゃ心強いけど、いっぱいいることによって、船頭多くして…みたいなこともあるから。今回、シングル曲がたくさんあって、カップリングも入れたい曲が多くて、で、その隙間に新曲を作って、それをどうアルバムに持っていくか、みたいな流れをちゃんと共有できてたから、スタッフィングがミニマムだったことがむしろ良かったかもしれない。これで、みんなでわんさかやったら、(例えば)もっと由芙ちゃんには可愛い曲をあげようと言う人がいれば、こんな人とコラボしてみようという人がいたりして、しっちゃかめっちゃかになった可能性もあるけど、これまでの流れをを知ってる人がいてくれたってことがありがたかったです。
今年でなんと30歳ですよ。30になって、これからのアイドル生活を、“どうサバイバルしていくか”みたいなビジョンや意気込みはありますか?
寺嶋:私の周りのスタッフさんも、ゆふぃすとも、あんまり30歳ですね!みたいなことを言わない人が多くて。“30歳なのに”とか、“30歳だけど”とか言わない人が多いし、私も、気づいたら…っていう感じだから、自分も気にしてないんだけど。自分や自分の周りの人が気にしていないからこそ、例えば新聞は、年齢まで、取材してもらったとき必ず出るじゃない。名前のところに(30)って、書いてあって、"30なのに"っていう反応する人に、出会ったときにショック受けそうな気がする。そういうのを気にしない人と一緒にいるから、気にする人への対処の仕方がちょっとわからない。時々やっぱり取材とか、ご挨拶の場とかで、「え、もう30なの!どうすんのこれから」みたいに言ってくる人いるのよ。「どうしようもないよ、人生は続くよ」みたいな気持ち。私からすると、「30なのにどうするんだよ」みたいなことを言ってくる人の方がデリカシーがなくて。「30歳になったなら身を引け」って向こうは思ってるのかもしれないし、あるいは「違う道を選べ」と思ってるかわかんないけど、そういう人たちは30歳になったら何をするべきだと思ってるのか(笑)。わからないから、あんま気にせずやっていこうと思っています。
なるほど。
寺嶋:「30歳嫌だ!」と思っても、なっちゃうから、どうしようもないよって思ってます。でも、自分から、「30歳なのに、アイドルやってます、てへ」みたいなことをあんまり言わないようにしたい。さらっとやっていった方がいいなと。"30歳なのにやってます"みたいなことを逆に売りにしちゃうと、30歳でアイドルをやってるのが特異なことに見えちゃうから、さらっといきたい。
今までの寺嶋由芙さんの話を聞いていると、後に続く人が30になったら辞めなきゃいけないのかなっていう感じに思いそうだもんね。
寺嶋:そんなことはないはずなので。30になったら私のことを、「アイドルなの!?」っていう人が今より増えそうだなっていうことはわかるんですよ。今だとOKなことが、30代になったら、「えっ?」って思われることって増えるだろうから、納得させれるアイドルでいたいなとは思いますね。
納得させるための具体的目標的なものってあります?
寺嶋:イタイ感じにならないようにしたい(笑)。頑張ってる姿を見せてもいいけど、年齢に抗う頑張り方をしたくなくて、ちゃんと年齢に応じて、現実を見つつ、地に足ががついている状態というか。もともと別にその、「ゆるキャラの国のお姫様♡」とか言ってるタイプじゃないから、地に足がついてる側だと思うんだけど、アイドルってどうしても若い子が、“何もわからず、可愛い服着せられて、歌って踊って、握手して、ある程度経ったらおしまい”みたいな、そういう使い捨てっぽく見てる人たちがまだいる。ならば、その人たちに、そうじゃない姿を見せたいなっていうのもあるし、そうじゃないってわかって応援してくれてる人たちと、一緒に「ドヤ!」ってなれるような、アイドルになりたいなっていう。
わかる。「職業、アイドル」ですね。
寺嶋:職業の寿命を長くしたいなと思ってます。職業だって思ってもらってないから、「いつまでやるの?」とか聞かれるのかなと。あさりちゃん、「その仕事いつまでやるの?」って聞かれたことある?
ないですね。
寺嶋:販売員とかの人にさ、「その仕事いつまでやるんですか?」とか聞かなくない?なのに、アイドルだと、言われちゃう。“一生のもの”っていう感覚がないから。でも、そういう人がいても良くない?って気がしています。
その先陣を切る、“アイドル・寺嶋由芙”
寺嶋:なれたらいいなとは思う。
つんく♂さんとの対談も、前後編全部読んだけど、読みながら職場のトイレで泣きました。
寺嶋:ありがとうございます。やってきたことは、好きだからやってるわけだし、応援してくれてるオタクもそうだけど、スタッフさんやいろんな人の気持ちがあってここまでやらせてもらってるから、それを、「30なんでそろそろ…」みたいな謎の理由で辞めたくないし、続けることが、誠実な場合もあるじゃないですかと思っているし。例えば、肉体的にもう踊れませんとか、この先いろんなことが起こるかもしれないけども、それはその時考えればいいなと。今はやらせてもらえるありがたい環境なんで、このまま頑張りますと思っています。
では、話を変えて、最近dinosやマガシークのようなモデルだったり、違うテイストのお仕事も増えてきていると思うのですが、今後やってみたいお仕事はありますか?
寺嶋:ファッションはもうちょっと頑張りたいと思っている。マガシークさんやdinosさんみたいに、これを着てくださいってあてがわれたときに、ちゃんとそれを着こなせる人でいたいし、今回は商品カタログのモデルだったから商品を見せるっていうことがメインだったけど、女性誌とかにも挑戦できるようになりたいなって、思ってます。アーティストブックのときに思ったけど、キュルっとしてるポーズ以外ができるようになれればなとか、表情をシーンに合わせて作れるようになっていきたいなっていうのは思ってて。自分がアイドルが好きだから、アイドルのミュージックビデオばっかり見て、アイドルっぽいことを練習することは今まであっても、それ以外をあんまり経験できてないから、もっと対応できる人になりたいなと思っている。
あとはせっかく教員免許があるから、もう少し活かしたいなと思っています。今、オンライン授業とかも増えてるし。私、大学4年生のときに、学習の地域格差をなくしましょうっていうサークルに一瞬だけいたんだけど、それが、予備校に通いたくても地元にないとか、お金がなくて通えないとかみたいな人に無料で通信事業をやるみたいなサークルだったの。それは、今でもすごく大事なことだなって思って。自分がアイドルやれてるのも、千葉に生まれたことが結構大きいと思うから。遠くから東京に出てきてアイドルやりますって、それだけで10年前とかだと、今よりもっと大変だった訳だから。場所が理由でチャンスがなくなっちゃってることを、何とかしようって思って。機会の格差をなくすためには…という課題を、アイドルとしても感じたし、学習面でも感じたから、なにかお手伝いできるようなことはないだろうかって。教員免許を持っているアイドルですっていう存在で。
ここ最近のオンライン的なコンテンツですね。しかも得意分野だもんね。
寺嶋:得意かわかんないけど、でもオンラインだったらできるかなって。私が教壇に立ちますとかだと、イベントみたいになっちゃうけど、オンラインでやるんだったら、もう少しフラットな感じで、本当の学生さんも、オタクも見ていいよみたいなことができるかもしれない。学校の勉強、国語もアイドルも、自分の好きだったことを、ちっちゃい子たちにも好きになってほしい。
アイドルに限らず、広大なことを考えてる。
寺嶋:友達が子育てとかしてるの見ると思うと、私も何か残さねばと思うんですよ。その残し方は、別に自分が子をなさずとも何か残してあげる方法ってあるじゃない?っていう、本当にそういう気持ちです。年齢を重ねて、わかることがある、みたいに思っています。
最後、冬と夏が、どっちがサバイバルしやすいですか?
寺嶋:夏。夏の方が、まだマシ。服を身軽にするとか、冷房を効かせるとか対策があるけど、冬は動けない(笑)。何もかもやる気がなくなるから、夏の方がまだ頑張れる。どっちも嫌だけど。秋口が好きよ。もしくは、5月の最初。
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あさりちゃんから、感想伺いました!!
先人ほどガンガン質問してガンガン話引き出すタイプじゃないので寺嶋さんの負担が大きくて申し訳ない気持ちです。でもこんだけ分量あるのは、一を聞いて五百くらい返してくれる寺嶋さんの頭の回転とか、積み重ねとかがなせるものですよね!そういうのが際立って良かったなと思います!(開き直り)
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