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寺嶋由芙オフィシャルインタビュー②サバイバルなレディの話。

2回目は、サバイバル・レディなゆふぃすとの#Sさんです!

では、まずひとつめの質問は、アイドルが苦労を見せることについてどう思われますか。(この質問の経緯としては、)ゆふちゃんはオタクに心配をかけないみたいなことをすごい大事にしている人って印象があったんですけど、「いい女をよろしく」のリリースの時に、今までの頑なさみたいのが、なくなったのかなみたいな印象がオタクとしてはあったんですよ。(いい女をよろしくの)歌詞の中の「♪まーた言われちゃったわー あなたに ほっといても君ならば大丈夫」っていう歌詞に引っ張られたのかなみたいな、今まで心配をかけるようなことをしなかった由芙ちゃんが、ちょっと何か弱音を吐いたりとかするような姿を見かけるようになった気がしていて。
それまで、弱音を見せないっていうところが、かっこいいなと思っていたんですけど、弱音を見せてる部分もすごくかわいいなと思ったり、あと親近感みたいなものがすごくあって、同じように感じたオタクも多かったんじゃないかと思って、今回アルバムが「サバイバル・レディ」というタイトルというのを聞いたときに、トミヤマユキコ先生も由芙ちゃんのことを、サバイバルしてきたと思っているのかなと思って。苦労がない人に対しては、サバイバルって言葉は使わないですよね。
この曲は、由芙ちゃんも作詞したんですか?

寺嶋:トミヤマ先生には、(最初自分で書いてみた)詞は、見せてないんだけど、お願いする前に、自分で作詞を1回、ガーってやって、断片みたいなのを作ったんだけど、カタチにならなくて。トミヤマ先生には、こういう気持ちを歌いたいんですけど、よろしくお願いしますっていう、根本のすり合わせだけはしました。でも別に私がフレーズを渡したりとかはせずに…
あるかな(スマホでメモを探し始める寺嶋)

つんく♂さんに送ったとか?

寺嶋:つんく♂さんに送ったのは私が書いた歌詞のバラバラしたメモで、トミヤマ先生にはもうちょっとざっくりしたことを言ったんですけど、

(寺嶋メモを読み上げる)
・大人になって、悩みや違和感の理由がわかってきて、わかると解決に向けて動けるから、なんとなく楽になってきた

・何に悩んでるか、わからなかったときよりは、私はこういうことが気になるんだなっていうのがわかるようになってきたぞっていう状況と、わかるようになったのはなぜかっていうと、言語化して教え導いてくださった方々のおかげ(先人に感謝)

って書いてあるんだけど、あとは、

・今自分が頑張って切り開こうとしてる道をのちのち誰かが楽々通ってくれたら嬉しいなという気持ち、だから今自分が楽に倒れているのは、先人のおかげだからやっぱり先人に感謝。
・先人が切り開いていくためには、多分いろんな怒りのエネルギーとかもあっただろうから怒らなきゃいけないときはちゃんと怒るべき。とはいえなるべく朗らかに生きていきたい。

・ここまでのことは自分で選んできた結果で、そこに対する誇りと責任があるけどまだ不安もある。
という状況が、多分私だけじゃなく同世代の人みんなそうだから、みんな一緒に頑張ろうねみたいなことが言いたいです

っていうLINEをしました。あと、雨宮まみさんの本をいくつか読んで、そんな気持ちになったので、それを歌詞にしていただけると嬉しいですっていうことを伝えました

そうなんだ。

寺嶋:(新曲の中で)「サバイバル・レディ」が1番、私がどうしたいっていうのを言わせてもらったかな。他の曲は、例えば、「Best Honey」とかは、ざっくりと、男性目線がいい、失恋の曲がいいとか言ったけど、佐々木(亮介)さんと直で連絡は取ってなくて。トミヤマ先生とにゃんぞぬデシちゃんだけが、私から直でいろいろ言わせてもらった曲です。

初めにお話ししたように、人に心配をかけまいとしてきた人の生き様ソングに「打ちのめされても」「傷ついたって」ってワードが出てくるのが、矛盾していて面白いなと思うんですけど。アイドルを始めた頃から今までで、何を発信して、何を発信しないべきかというポリシーに変化ってありましたか?

寺嶋;昔はなんていうか、ファンタジーのとこしか見せてはいけないじゃないかってとこを大事にしたくて。でも、我慢して我慢して、やられっぱなしになっているよりは、それは違うと思いますみたいなのを言い始めた方が、むしろ心強く見てくれる人もいるんじゃないかなって思い始めたのが、「いい女をよろしく」をリリースしたあたりで。そのときちょうど5周年で、いい女として生きていきたい気持ちが芽生えて。児玉雨子さんとの対談とか、ゆふぃすとの女の子たちもその頃結婚する方がいたりとか、就職する子がいたりとか、何かそれぞれ頑張ってる様子とかを見て、このいい女たちを励ます存在になりたいぞって思ったんですよ。ファンタジーのかわいいこととか、なんかその綺麗なとこだけ見せてって共感してくれる人って、一生は付き合えないなと思う。一生通して、人生のステージが上がっていく中でも、寺嶋由芙が、好きだなって思ってもらい続けるには、もうちょっとリアリティーが必要な気がしたし、大変ですとか、つらいですとかを見せるっていうことは、今でもしたくないけど、それがなかったかのように振る舞うこともしたくないということを、その頃思うようになりました。

そんな感じは、つんく♂さんとの対談を読んで、声を上げた方がいいときは上げて、周りのアイドルさんを含めアイドル界をより良くしていきたいというスタンスは、最近すごく感じます。

寺嶋:そうしていかないと、アイドルになりたい子も減っちゃうし、減っちゃうと、まわりまわって自分も損するので、自分のためにやってますっていうところではあるんだけど、そうね。綺麗なとこだけだと、あんまり人に響かない。っていうのはわかるようになってきたかな

私も働く女として由芙ちゃんの楽曲を聴いていて、たまにある、弱さが垣間見えるような歌詞に、すごく心を掴まれることがあります。

寺嶋:うなずく

サバイバル・レディもちゃんと歌詞見て、めっちゃいいなと思いました。

寺嶋:生きる意味を先人からつないでいこうというのもあるし、あと、「傷ついても」とか「不器用でも」みたいなのは少女漫画っぽさを感じる。トミヤマ先生が入れてくれたのは、加茂さんからのリクエストでもあったんだけど、トミヤマ先生が少女漫画が専門だから、ちょっとそういう要素があってもいいですねって言ってたので、取り入れてくれてたりしています。

なるほど、ありがとうございます。じゃあ、次の質問を聞きたいんですけど、由芙ちゃん、すごい真面目と言われてるじゃないですか。
アイドル活動自体はすごく真面目にされている一方、作品を作る上ではそれを逆手に取って「知らない誰かに抱かれてもいい」とか唄っちゃうイメージがあるのですが、先日のつんく♂さんとの対談を受けて「真面目」っていう言葉との付き合い方が変わるようなことはあったのかなっていうのをお聞きしたいです。

寺嶋:そんなに自分では真面目だと思ってないことが多くて(笑)。でも真面目だねって言ってもらうっていうことが多いし、キャッチフレーズにもしてるけど、それの壊し方がちょっとわからないっていうのは悩みで。失敗したくないとか、迷惑かけたくないとかはすごい思っちゃう方だから、そこをもうちょっと怖がらずにいろんなことをやれるようになったらいいのかな。
発言とかももうちょっと踏み込みたいけど、これ以上言ったら、何か後で困る人いるかもと思うと言えない、みたいなこととかがあるので、その辺もちょっとうまく、自分と折り合いつけていきたいし、あと作品作り、ビジュアルとか曲作りの面で、思いもよらないことっていうのをちゃんとやれるようにと思っています。


そういう意味で言うと、サバイバル・レディは、結構現場で聞いた時は、ざわざわする感じがあって、よかったですねー。「Best Honey」とかもこないだラジオで解禁されたとき今までない感じがあって、こういう曲、こういうのがやりたいですっていう感じだったんですか?

寺嶋:佐々木さんにお願いしたいっていうのはレーベルのスタッフさんからの案で、できるならぜひと私も言って、でもフラッドさん(a flood of circle)の曲を聴いてたけど、もっと男らしい曲っていうか、なんかその荒波の中を自分の意思を持って進んでいくぜみたいな、結構サウンド的にもロックでかっこいい曲が多かったから、そういうのが来ると思ってたら、全然違う。だからすごいびっくりしました。男の人目線の失恋ソングがあるといいなっていう他は、あとは全然リクエストせずに、届いてびっくり。

全然確かにロックっぽくないかも。
もともと何かちょっとそういうかっこいい曲をイメージしてお願いしていたんですか?

寺嶋:ロックの曲をあんまり最近やってなかったっていうのがあって、私はやったとしても「好きがこぼれる」とかが「好きがはじける」みたいな、明るめのロックが多かったので、ちょっとフラッドさん(a flood of circle)みたいな感じがあってもいいかねって思ったんだけど、全然違うのがきた(笑)

でも確かに由芙ちゃんのロックっぽいを聞きたいって言ってるオタク多いですよね。

寺嶋:なんか今回もかなわずでごめんなさい。でも逆に思いがけないすごいいい曲、いい結果をもらったので…


それはそれで、はい。またここでもうひとつ、質問を。
「サバイバルレディ」って、生きざまソングって言ってたと思うんですけど、由芙ちゃんの曲って、「#ゆーふらいと」や、「わたしになる」、「終点、ワ・タ・シ。」も生き様ソングだと思うんですが、
今回のアルバムだと、「あたらしいわたし」、「いい女をよろしく」、「#ゆーふらいとII」、「サバイバル・レディ」かなと。由芙ちゃんが、これ私のことっぽいなってめっちゃ共感する歌詞とか、うん。なんか逆にちょっとこれは自分とは違うなみたいなとか、そういうフレーズがあれば、教えてください。

寺嶋:「あたらしいわたし」の、“サヨナラはずっと下手くそ”、“なつかしい時間は消えてないよ“とかかな。
私はグループにいたときのことを話すとき、自分ではグループ名を言わないんだけど、でも、別に名前は出してないけど、グループにいましたってことは言ってるし、その頃の思い出話とかもしてるのに、グループ時代の話を避けているように見られがちなのは、自分では違和感があって。そうじゃなくて、むしろ過去のことをなかなか断ち切れなかったりとか、環境を変えるまで、ディアステ辞めるときとか、その前のユニバーサルの時も、すごい悩みに悩んでやっと次に行けるみたいな性格だから、去り際がわからない感じとか、過去のことずっと背負ってる感じとかは、私っぽいなって思ったし。

「いい女をよろしく」で、“あなたの前じゃ、あんまり泣かない”っていう歌詞が、“絶対”じゃなくて、”あんまり”と心がけてはいるようなところとかがすごい可愛くて共感できるし、「サバイバル・レディ」の"地味なんじゃない地道なだけ”とか、自分で書いたことが回り回って歌詞になったし、2番目の「嘘やずるで抜け駆けをしないただ真っ直ぐに歩いて、行くだけ」っていうのは、そうありたいなって思うけど、100%そうかって自分で言うと胡散臭いじゃない?なんか「私は品行方正ですので必ず誠実にやっております」って自分では言えないフレーズをトミヤマ先生が書いてくれたから恥ずかしくなく歌えるっていう。人に言わせてもらったっていう言葉はあるかもしれない。

「#ゆーふらいとII」は、全部私っぽい。“カフェラテ”とかも入ってるし、やっぱ“デジタル通しても感覚アナログのまま”かな。どんだけSNS使っても、最新技術に支えられているとはいえ、年賀状とか送りたいという、“お財布と相談してできるだけやってみよう”とかもそこの現実見えてる感じが自分っぽい。「ここで私がゴンドラに乗りたいです」とか「ステラボールになんか宙吊りのやつ出してください」とか言わないから、そういうことかな。

なんか逆に、何か自分の憧れる女子像みたいなのはありますか?

寺嶋:「君も好きだったんだね、夏」で歌われてる女の子になりたい(笑)
この曲は男の人が、去年の夏一緒にいた彼女っていうのを浮かべながら聞いてるから、ずっと記憶に残る人になりたいなっていうのを思いますね。

夏の曲が並ぶと、「冬みたい、夏なのに」とかも衝撃的で、これやばいですよね。

寺嶋:これ歌詞やばいよ、これは最初歌詞が全然違くて、“冬”とか"夏"っていう言葉が入るのは一緒だったんだけど、片思いしてて、なんか友達以上恋人未満の彼と海に行って、寒ければくっつけるのに、みたいな歌詞だった。でも、曲調がすごいかわいい中、彼と恋人になりたいわ、みたいなことを
歌うのがなんとなくしっくりこなくて。虹コンちゃんとかが歌ってそうかなって思ったの。私かな?ってちょっと思っちゃって。
全然別に自分に関係ない曲でもいいんだけど、せっかくアルバムで、デシちゃんと初めて一緒に作るならもうちょっと、この年代らしさみたいなのがあってもいいかなと思って、「もうちょっと悲惨な方がよくないですか」っていうのを、自分から加茂さんとデシちゃんに言ったら、加茂さんも、そうだねって言ってくれて。デシちゃんにも、「歌詞が悲惨な方が、曲の可愛さとのギャップで刺さる気がするので、かわいいものにかわいいものを載せるよりは、可愛く歌ってるのに大変なことになっている方がインパクトがあるのでは」っていうのを言ったら、デシちゃんも乗り気になってくれて、夜な夜なラインをして、酷い恋を妄想しました。この彼、最低だねって言いながら決めていきました。

「知らない誰かに抱かれてもいい」とかもそうですけど、やばい歌詞を歌う時加茂さんが絡んでる気がする。

寺嶋:加茂さん、やばいことを楽しみがち。逆に恋の大三角関係とかはベタベタな三角関係で、かわいいから。こういうのはもう既にあるから、違う角度がいいなっていうのを思ったんです。

へえ。当時の制作の方針とも違うのもあったりするんですね。

寺嶋:「Best Honey」も思っていたのと違ったし、「冬みたい、夏なのに。」も作ってる中で、メロディは変わってないけど、モチベーションは、だいぶ変わったし、で、収録のシングルたちもこのタイミングでアルバムを作るためにシングルリリースしましょうっていうよりは、都度都度リリースしてきたら、いっぱいたまったから今やっとアルバムできるっていう感じなんで。何か一つの計画があって作ってきた曲たちじゃないから、まとまるかはやや不安だけど、

でも皆とっても良い感じですよね。

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#Sさんから、感想いただきました!

この度は夢のような機会をありがとうございました!
「サバイバル・レディ」の歌詞には先人への感謝の気持ちが込められているというお話が一番の衝撃でした。
このアルバムを抱きしめて、これからもこの世界をサバイブしていこうと思います!



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