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青薔薇を我が愛すべき主治医へ。


そういえば、閉鎖病棟に入院してる間に
ちょっと、嬉しかったことがあったんです。

うちの主治医って、ちょっと人と37度くらい違う感性をお持ちなんですけどね。

去年の夏頃にちょうど私に折り紙ブームがきてまして。

youtubeで折り紙で作る立体的なバラ?の動画があったんですね。

そう、これこれ✨


で、その時軽躁だったのもあって、まぁー朝から晩までバラを折り続けて、ついに極めました。

多分2日ぐらいで。褒めてくれ(笑)

それでこんなのいきなり何故って、主治医にあげたかったんですよ。

でもうちの主治医、そういう情緒的なものが絡む事が苦手って言うんですか、ちょっと人の心の機微を察したり、考えるのが不器用な方でして
あげても、どうすれば良いんだろうコレ.....(´・ω・`)ってなるだろうなって分かってたんですけどね。

ちなみに、その性格でどーして精神科のしかも臨床医?とは聞かないでください。
私にも分からないので(笑)

ただ、本人は人の心が面白いし好きだから仕事にしたそうです。
ご本人のメンタル的にはある意味一番、病まなさそうで精神科医に向いてるとは思いますけどね。
患者さんにとってはまぁ...........どうかしら。
癖はありますね、絶対。合う人合わない人がはっきり分かれるタイプ。

まぁともかく、うちの主治医は皆が想像する精神科医からちょーっとズレちゃった精神科医というか、、、
慣れると愛嬌があってかわいいんですけどね、ブサかわ犬みたいな一周まわって逆にイイ!みたいな、、、、

論点がズレましたが、そう。とにかく、

だからそんな主治医を困らせてみたいって言う嫌がらせが半分混じってましたけど、もう半分は純粋にあなたに幸せを運んでくれますように、と願ってね。

青薔薇の花言葉は様々らしいですけど、私はこれが好きです。
【不可能を成し遂げる】

ちょうどね、うちの主治医がそういうポテンシャル持ってると思うので。
ぽけーっとしてるけど、大ごと成し遂げるのはああいう人。


そうしていたらええ、もう上手く折れなかったバラの残骸が山にように出来ました。

ほら、ありません?よし、これこの折り紙でキメるぞ!って意気込んだ物ほど失敗すること.......

青い折り紙がそうそう何枚もあるわけじゃないので、他の色で死ぬほど練習して、

よしこれで!ってやっと納得いくものが折れまして

その小さな一輪の青バラを、白い折り紙で螺旋状に包んで、なんちゃってブーケを作って、
これまたクリームホワイト色のリボンを巻き巻きして、

まぁ工作が苦手な我ながら、まぁまぁ良い出来なのでは?と思うぐらいのブーケは完成。


んで次の診察で早速、青薔薇のブーケを渡しまして。


『先生、青薔薇の花言葉は知ってる?』

『いや、知らないけど......』

『だろうと思って、紙に書いておいた』

そりゃどうも、と言って主治医がブーケを眺める。

『このバラ、すごい難しそうだねぇ』

『難しいと言うか......一応、極めるのに2日ぐらいかかりましたけど』

『難しいんじゃん』

『はぁ.........まぁ、そうですかね』

『一枚で作れるの?』

『うん、一枚で作ってある。最初に、紙に台紙を書かなきゃいけなくて、その台紙に合わせて折り目をつけて折っていくの』

うわぁ、と言った顔で主治医がずっと物珍しげにあちこちの角度から眺めていた。

『すごいねぇ。よくやるねぇ』


正直、ここまで褒めてもらえるとは思っておらず

私の機嫌は大分持ち直した。

基本感情がフラットな主治医にしては珍しいほどリアクションがあるとね、テンションが上がりますね。


『メモは、ここかな.....これどうなってるの?』

折り紙で作った即席のブーケだから、下が空洞。

『下の所に突っ込んでありますー』

『突っ込んだの。まぁいいか。あ、これね』

紙を引っ張り出そうとして、崩れると思ったのか主治医がやめた。

多少、デリケートだからな!

ちゃんと壊さずに持って帰ってくださいよ〜と心の中で祈った(笑)


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『紙、見たよ』

『ん?あぁ、バラの』

『ミッションインポッシブルだねぇ』

青バラを渡した次の診察で面白そうに笑いかけてくる主治医に、私の頭が一瞬なんのこと?となった。

『ちゃう。花言葉はAttaining the Impossibleだよー』

『あぁ、じゃなくてユエさんが生きてくれるのがミッションインポッシブルだねぇ、って』

『あぁ、そういう事....』

もうちょっと説明をしてから、喋れ!とツッコミたかった。悪気が無いのは分かってる。
いつだって自分の思った事を思ったように好きな時に言っちゃうもんね、あなた。

『だってそうじゃん。結構大変だよねぇ?』

拗ねたようにも見える主治医に、まぁねと笑った。

『それはまぁ、先生に頑張っていただくという事で』

冗談めかして言うと、主治医も一緒に笑った。


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それから半年ぐらい経った後に、(まだ閉鎖病棟に入院中)

ふ、と思い立って聞いてみた。

『先生、青バラ捨てた?』

『部屋に置いてあるよ。あとほら、あの前くれた青いやつ』

コンマ数秒ですかさず返事が返ってきて、笑ってしまう。

『そう、なら良かった。捨ててたら退院しようかと』

残念でした、とでも言うようにこちらを覗き込みながら主治医がまた笑った。


正直半年経っていれば捨ててると思ってたから、地味に嬉しかった。

そして笑えた。

主治医の部屋にちんまりと鎮座するバラのブーケを想像するだけで、、、、、
本来絶対存在しないだろうものがあるのに対して、ちょっとした優越感と笑いを禁じ得ないなにか。

なんで、渡したんだろ私。

まぁいいか、少なからず大事に思って置いてくれているみたいだし。
多分、本当に気に入ってるから残してるだけだろうけど。
性格からして、実用的ではないもの嫌いだもんね。
どうでもいいと思ってたら即捨ててると自信を持って言える。


ありがとう、先生。
そしてこれからもいつか捨てたら怒るからね。

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ちなみに10ヶ月経った今(2021.4月)も自室に飾ってくれているそうです。
折り紙であれ、自分があげた物を大事にしてくれているのはやっぱり嬉しいですね、えへへ(*゚▽゚*)

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