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【華茶だよりvol.16】ロックダウン下の上海茶業界

みなさんこんにちは、ゆえじ ちゃんこです。中国茶&台湾茶マガジン【華茶だより】2022年5月16日号をお届けします。

今回のテーマはロックダウン下の上海茶業界に関するお話です。

上海のロックダウン政策が長期化

3月1日に最初の陽性者が確認されて以来、上海での感染者数は累計60万人以上(無症状者も含む)にもなっています。

「ゼロコロナ」を目指す中国政府の方針によりロックダウン政策が1ヶ月以上も続いている上海。人々の日常生活はもちろん新茶を迎えた茶業界も大きな影響を受けています。

茶業界への影響は3月からはじまっていた

上海は中国の中でもっとも重要な中国茶市場のひとつです。

3月14日に上海市の全駅が運転停止したことで、これから新茶を迎えようとする上海茶業界は厳しい状況にありましたが、21日には「豊荘茶城」が封鎖され、人や車両の出入りが禁じられてしまいました。

▲豊荘茶城

「豊荘茶城」は茶業専門店の総店舗面積が2万m2にも及ぶ上海でも有数の大規模な茶葉市場のひとつ。

上海の他の40近い茶葉市場もすぐ同じ状況となり、3月末までに上海市内の全ての茶葉市場、販売店、流通、生産に関わる起業が閉鎖され現在に至っています。

多くの人々が今も自宅隔離状態にあり日常生活もままならない状況。茶葉市場や店舗の営業再開がいつになるかは目処もたっていません。

それでも今年の新茶を求める全国の消費者はネット通販での購入を試みますが、肝心の物流網が混乱していることもあり、新鮮な茶葉を適切に届けることにも困難が続いています。

春茶は中国の特に緑茶市場に置いては一年の中で最も重要な時期。今年はそれが完全に停滞してしまいました。経営者にとってはとても頭の痛い問題です。

では上海の茶業界の人々はどのように今回の困難と向き合っているのでしょうか。

今は生活の質を担保することに注力

住民たちの自助努力

封鎖が解除されない限り、営業再開はできません。今はとにかくロックダウンされた環境の中でいかに人々の生活の質を保つか、という問題の解決が最優先です。

近隣住民同士でボランティアを組織して物々交換、外部からの支援物資供給の依頼など模索を続けています。

▲豊荘茶城の生活区内でのボランティア活動の様子

上海政府による企業支援政策

5月に入ってから上海市人民政府総局は、財政支援、減税、中小企業への賃料補助など、いくつかの企業支援策を発表しました。小規模の専門店にとってはひとつの救いといえます。

少しずつ良いニュースも増えてきている

5〜6月の営業再開を目指す

一部の茶葉関連企業や団体などは、本来のピークであった3〜4月の遅れを取り戻すべく、上海が解放されるであろう5〜6月に向けて新茶のキャンペーン活動を行う計画を立てています。

こうした計画が予定通り実施されることを現地の人々は祈るように見守っています。

「3つの制限」を条件に段階的に封鎖解除へ

豊荘茶城のある嘉定区真新街道エリアでは5月5日から通行証のある人は指定されたスーパーや薬局へ買い出しに行くことができるようになりました。

通行証は赤、黄、青、緑の4種類。1日の中ので時間を4段階に分け、それぞれの色に指定された時間帯のみ買い出しが許可されます。

スーパーも安全を考慮して食品類は袋詰めされた状態で販売。

密にならないよう出入りも管理されています。

まだまだ厳しい「人・場所・行動」の制限はあるものの、ロックダウン解除へ向けて少しずつ事態は改善しつつあります。

“重要”企業の段階的な営業再開

物流やECプラットフォーム、生活物資の生産に関わる分野など、市民生活への影響力が高い企業から段階的に営業を再開するところが増えてきています。

5月12日夜、中国郵政のEMS便が再開、全国から上海へEMS便を送ることができるようになりました。

ただし現時点ではまだ制約があり、送付物は生活用品と医薬品に限られ、重量も3kgまでとされているそうです。

今回の上海のロックダウンもピークを越え、少しずつ平時へと戻る流れに変わってきています。茶業の市場が再開する日もそう遠くないはず、という期待も高まってきています。


ゆえじの雑感

緑茶といえば中国も日本も同じで春が年に一度の大事な時期。しかも上海は緑茶の主要産地である浙江省、安徽省、江蘇省とも隣接する重要なエリア。

そこへ今回のロックダウンが重なってしまって、本当に「なぜ今…!!」という想いが強いと思います。

個人的には、今回の上海ロックダウンの惨状はなかなかショッキングでした。私も、今でこそコロナの影響でメイン拠点は香港になっていますが、もともとの本拠地は福建。

中国のお茶は大好きですし、中国の持つ地域性や文化や歴史も好きですが、やはり政治的にはいろいろ思うところあるよなぁ…という、ちょっとした現実を思い知らされたできごとでした…。

そんな上海も、5月に入ってからは少しずつ制限も解除されつつあるようで、ひとまず安心。このまま事態が落ち着いてくれて、1日も早く茶業の営業再開されることを祈るばかりです。


次回は2022年5月30日(月)配信予定です。

今後ともよろしくお願いいたします。

ゆえじ ちゃんこ


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発信者プロフィール

ゆえじ ちゃんこ | 中国茶ナビゲーター

中国茶の淹れ手として地球にやさしい中国茶交流会(通称エコ茶会)など各種イベントで中国茶の魅力を伝える活動を10年以上継続中。

オンラインではSNS総フォロワー7000名以上の方に向けて中国茶の魅力を伝える情報発信を行っています。2021年に立ち上げたオンラインコミュニティ『中国茶&台湾茶だいすきクラブ』は参加メンバー460人を突破しました。

Amazonで販売中の電子書籍『世界一わかりやすい中国茶のはじめかた』は新着売れ筋ランキング1位獲得!!

現在は福建、香港、東京の3都市を拠点に活動中です。

また、ライブドア公式ブロガーとして絵日記ブログ『中国でブルジョワ華人の妻してます』では国際結婚
や海外生活についても発信しています。

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