僕のスペシャリテ、幸せの焦がしバターカステラ
僕の初めて勤めていたケーキ屋に、ハニーバターカステラという焼き菓子があった
バターがたっぷりと入った蜂蜜入りのケーキ。しっとりとして少し重めのケーキだった
奥さんはそのケーキが好きだった事もあり、辞めた後もたまに家で作っていた
ケーキとは不思議な物で、同じレシピでも作り方で全く違う物が出来上がる。
僕はハニーバターカステラを自分なりにアレンジせてふんわりしっとりの食感に変えていた
ある時、フィナンシェの焦がしバターを作っている時に思いついた。ハニーカステラのバターを焦がしたら美味しそうだな
結果として僕の焼き菓子の中でNo. 1となり、家族や友達、または現役のパティシエの方々からも評判となった
お菓子作りの1番好きな瞬間は、自分で考えたケーキを食べてもらい、美味しいと笑顔をもらう答え合わせの様な瞬間
僕の好きな漫画にbartenderという漫画があり、その中に出てくる台詞で、凄く好きで大切にしている言葉がある。
仕事のやりがいについての話の中で
「お客様はこのカクテルを作った人は忘れてしまうかもしれない、けれど飲んだ時の思い出や感動は忘れない。」
というシーンがある
それから僕はお客様は勿論、辞めたく仲間などにも送別のケーキを積極的に作っていった。
その特別なケーキを作った僕を忘れてしまうかもしれないけど、その時の感動は覚えてもらおうと
誰かの暖かい記憶の中に残る、そんな仕事を僕はしている
その言葉を大切に僕はケーキを作り続ける
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