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社会心理学についてざっくり学ぶ

こんにちは。こころのモヤモヤを晴らすため、心理学をざっくり独学し始めた27歳独身OLです。

現在ざっくり心理学を学ぶマガジンにて、心理学に隣接する学問を書籍「高校生に知って欲しい心理学」に沿いながら、6回に分けて心理学に関する学問について学んでいます。

■ 第3章の構成
第1節 脳からこころを探る (生理心理学)
第2節 認知心理学にAttention Please! (認知心理学)
第3節 社会の影響を科学する (社会心理学)
第4節 ヒトの心の発達を理解する (発達心理学)
第5節 社会や集団における心理を理解する (産業・組織心理学)
第6節 こころを測る (心理統計学)
- 引用: 高校生に知ってほしい心理学

これまで見てきた、認知や学習の心理学は個人の心理に比重がおかれている学問でした。これに対し、社会的存在として人間の心理や、その相互作用を研究する学問「社会心理学」について今回はざっくり学んでいきたいと思います。

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第3節 社会心理学(社会学×心理学)


a.社会心理学


・社会とは何か

自分の行動に何らかの影響を及ぼすヒトの存在のこと。
また、社会には外の社会と内の社会がある。

外の社会とは、実際に目の前にいる他者や集団の影響を受ける存在のことえで、内の社会とは、実際に目の前にはいないが、自分のこころの中にいる他者、または集団の影響を受ける存在のことを指している。

社会は、他者、集団などの単位で存在するかもしれないし、組織、文化、国家、人種など、より大きな規模の存在かもしれない。

■ 社会の例え
部屋の中に自分ともう一人、"他者"がいるとする。この他者が「赤の他人」か「知り合い」かによって自分の振る舞いは全く違ってくる。もちろん部屋に他者がいるかいないかでも変わってくる。


・社会心理学の目的

自分の外側にある社会、自分の内側にある社会からどのような影響を受けているかを明らかにしようとすること。


・「社会心理学」と「社会学」のちがい

社会心理学の想定する「社会」の中心には人がいる。

社会学が想定する「社会」は、人に限らず、人が作り上げた様々な構成物全てを社会と考えている。(例:建築物・公共空間・習慣・伝統・文化などを含む)

社会心理学の想定する社会は、社会学の想定する社会に比べると少し小さいかもしれません。それは、私たち人間が社会から受ける"心理的な"影響に焦点当てているからにほかなりません。
- 引用: 高校生に知ってほしい心理学


b.対人認知


・対人認知とは何か

心理学において対人認知とは、「相手がどういった人なのか推し量ること」といっている。


・印象形成とは何か

この「対人認知」の分野で、断片的な情報からどのようにして全体的な印象が作られるのか「印象形成」の課題に取り組んでいる研究者もいる。

■ 初頭効果 (アッシュ)
印象形成には、最初のものが影響を及ぼすこと。初頭効果から、第一印象が大切だということがわかる。

架空の人物について「知的な」「勤勉な」「衝動的な」「批判能力のある」「頑固な」「嫉妬深い」という言葉を読み上げた場合、多少欠点もあるが、有能な人物であると評価されたのに対して、逆順で読み上げた場合は欠点があるため、能力を発揮できない人物として評価されたという実験。
■ 印象形成のバイアス例(歪み)
・ハロー効果(光背効果)
人には相手の評価を一貫させようとする傾向があるため、一つの長所(短所)が全体の印象に影響する

・寛大効果
人に対して、より好意的に評価する傾向がある


c.ステレオタイプ


・ステレオタイプとは何か

私たちは印象形成の際に、国籍や職業など、様々な社会的カテゴリーに当てはめて相手がどんな人なのかを推測している。相手を推測する時、判断をするときに利用するパターン化した「ものの味方」のことをステレオタイプと呼んでいる。

また、ステレオタイプには、良いイメージ・悪いイメージがあります。ある集団に悪いイメージのステレオタイプが付与されてしまうと、その集団であるというだけで、おなっ滋養な見方をされてしまうことがあります。

一旦出来上がったステレオタイプはなかなか取り除くことができないことも、わかってきています。

■ ステレオタイプが私たちに与える影響を端的に示す例
ドクタースミスはコロラド州立病院に勤める腕利きの外科医。冷静沈着で大胆かつ慎重。その人柄から州知事からの人望も厚い。ある日、ドクタースミスは夜勤で病院にいると、緊急手術の要請があった。緊急隊員によると、父親が息子と一緒にドライブ中に崖から転落し、車は大破、父親は即し、息子は重傷を負ったようだ。ドクタースミスが搬送されてきた子どもを見て、茫然自失となった。なんと、その子はドクタースミスの息子だったのだ。

■ 私たちに与える影響
このストーリーを読んで「腕利きの外科医」「冷静沈着」「大胆かつ慎重」「州知事からの人望も厚い」などの描写からドクタースミスを「男性」だと思い込む可能性があります。
しかし、ドクタースミスが女性であることを気づけばこのストーリーに違和感はなくなるはずです。しかしステレオタイプのせいで「男性」であるというイメージが自動的に頭の中に思い浮かんでしまうのです。

ステレオタイプは、本人の思惑とは別に勝手に浮かんでしまう性質を持っており、行動に影響を及ぼすこともわかっている。ステレオタイプのイメージは社会に蔓延しており、知らないうちに家庭、学校、そしてテレビ番組などのメディアを通してストレオタイプイメージを獲得してしまっている。

そうしたイメージの良否に気づかないで、ステレオタイプを使用している可能性がある。

■ ステレオタイプが社会に蔓延している例
性役割感:「男は仕事、女は家庭」
国民性:
「日本人はメガネでカメラを持っている」
「ドイツ人は勤勉でビール好き」
「イタリア人は陽気で情熱的」

・ステレオタイプの特性

画一的な認知に合致した行動や証拠を見つけると、「あっ、やっぱりそうなのか!」と考え、このステレオタイプが活性化されると考えている。

・ステレオタイプの利点:
少ない情報で効率的な判断を行うことができる点

・ステレオタイプの欠点:
外集団やマイノリティに対して否定的なステレオタイプが偏見となり、差別が社会問題化する点。

※ステレオタイプを支える「確証バイアス」
ステレオタイプに対して客観的な反証を提示したとしても自身の先入観と一致する情報ばかりを集めてさらに偏見を補強し、反証的な意見を受け付けないことが多い。


d.対人魅力


・対人魅力とは何か

心理学では、他人に抱く好き嫌いの感情のことを対人魅力と呼んでいる。

・対人魅力を上げるための心理テクニック

対人魅力を高め、好きになってもらうには、「外見的魅力」「物理的近接性」「熟知性」「類似性」「行為の返報性」「同調性」「自己開示」などがよく好感度アップを狙う心理テクニックとして紹介されている。

・外見的魅力
初対面時、男女ともに魅力を感じやすい。仮想裁判でも、容姿がいいと性格もいいと思われて罪が軽くなる事例がある。これは絵本やアニメで善人は美しく描かれ、美人=善人というストレオタイプが存在しているからである。
・物理的近接性
自分と相手の物理的距離の近さのこと。物理的に近いところにいる人は自分にとって魅力が高く、友人として選ばれやすいことになる。また、近接性が対人魅力を高める理由に「相互作用期待効果」と「単純接触効果」がある。

 - 相互作用期待効果
 人は、これから会うことが予定されている相手を全く会うことが予定されていない相手よりも好意的に感じること。

 - 単純接触効果
 人は繰り返し接触するだけで、その接触対象に行為を持つことが知られている。物理的に近いところにいる相手とは頻繁に接する可能性があり、単純接触効果によって好感度が高まる。

※1940年マサチューセッツ工科大学の学生宿舎で行われた実験
宿舎に住んでいる各々の住人に、宿舎全体の中から日頃から交流の多い順に3名挙げてもらった。
回答者の2/3は自分が住んでいる棟と同じ棟の10人の名前を挙げていた。このうち、41%は同じフロアの隣同士だった。また、階段近くの住人は、それ以外の住人と比べて、自分とは別の会に住んでいる住人を友人にあげる人が2倍いた。
・塾知性
見知らぬ人の写真でも、見る回数に比例して好感度が高まる実験がある。何度も会うことで対人魅力も高まることが知られている。先ほどの宿舎の実験にも熟知性が関係しているといえる。
・類似性
容姿や価値観(信念・興味・好み)など類似性の高いもの同士が結びつく傾向があるということ。

また同じ興味関心を持ったカップルが長年連れ添うと、喜怒哀楽を感じる場所が共通している可能性があり、そうした感情の経験が同じ顔筋を伸縮させ、同じ場所のシワを刻んだ結果、顔が似ていったと考えられている。内面の類似は外面の類似にもつながると言える。

※ 架空の他者を使った実験(研究者:バーン)
あらかじめ回答者の態度・性格などを質問紙を使って測定しておき、全く別の機会に先の質問しと同じ内容の質問に回答した架空の他人の回答内容を見せられ、その人物の好ましさを評定するように求める。
回答内容は、回答者が回答した内容をもとに、架空の他者と回答者の態度・性格の類似度を操作することで、分析結果は自分と態度・性格が似ている架空の他者を行為的に評価することが証明された。
好意の返報性
人には、自分を好きな人を好きに、嫌う人を嫌いになる傾向がある。まずは自分の好意を相手に示すことで、好感度が向上する。
・同調性
人は同じような態度や感情を持つ人に親近感を抱く傾向がある。相手に同意したり、同じ仕草をすることで親近感が向上する。
・自己開示
プライベートな秘密や悩みなど、個人的な情報を打ち明けると、親近感を持ってもらいやすい。

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所感

冒頭一行目で述べた「27歳独身OL」というのは非常にわかりやすいステレオタイプなのではないだろうか、と思い挿入してみましたが、いかがでしょうか。

人間なので、ラベリングされたり、人のものがたりに取り込まれる(好き勝手解釈されるようなこと)は、あまり好ましくありません。だけど、自分を端的に説明する上でステレオタイプを活用できるとすごくラク。ステレオタイプを意識しながら適切に人とコミュニケーションを築きあげられると、対人魅力も向上しそうですね。

相手を見るときは活用ではなく、「自分が今どんなステレオタイプに引っ張られていそうか」という無意識に注意をする必要もありますが。

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