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新工場設立の話 IGA STUDIO PROJECT(1)~予想外7000坪の用地購入

今、三重の伊賀市に新しい工場の立ち上げの真っ最中です。

この工場を、僕らは「IGA STUDIO PROJECT」(アイジーエースタジオプロジェクト)と呼ぶことにしました。なぜ、こんな名前になったのかは後々詳しく説明したいと思いますが、ひとまず、「IGAスタジオ」言えば、木村石鹸の新工場のことだと思って下さい。

IGAスタジオ。まだ完成してません。予定から大きくズレたこともあって、建屋全体は完成してないけど、建屋内の部屋は一部無理やり完成させて、無理やり稼働させてます。

工場としてもそろそろ稼働できる状態にはなってきたので、一度、この工場立ち上げの経緯やプロジェクトについてまとめておこうと思ってます。

古く狭く危ない。限界の八尾工場

今の八尾の工場は稼働始まって40年以上が経過してます。もともとは平屋の一階建ての工場でしたが、増床増築を繰り返し、建蔽率いっぱいまで使いまくってるのが現状です。

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なんせ、建蔽率オーバーがあったので、建屋を斜めに切って、無理やり法廷範囲に収めるというトリッキーなことをやってるぐらい、ギリギリまで詰め込んでます。

倉庫も会社近くにいくつか分散して持ってますが、それでも足りないので、同じ八尾市内で複数の物流倉庫と契約してます。

5Sとか3S活動がまったく出来てないということもあるんでしょうが、八尾の工場は、もう至る所に原料や資材が置かれ、仕事するにはまずそれらを移動させ、スペースを確保してから、みたいな段取りが必要になってて、とにかく効率は悪いです。

新しい機械を導入するにも今のスペースに収まらない、今の機械を代替できない、という制約があったりで、生産量も生産品目にしても限界ぎりぎりをこの数年続けてきたような感じです。

探してたのは1000坪ぐらい。持ち込まれたのは7000坪の物件。

新しい工場を建てないと、、、、 そんな風に考えはじめたのが、2015年ぐらいでした。 今、本社のある八尾で土地を探すも、なかなか条件に合うものが見つからないわけです。

今の八尾の工場はいくつかの建屋があり、メインの建屋は三階建ての構造になってます。総敷地面積としては500坪ぐらいになるみたいです。

新しい工場の用地としては、同じ500坪以上は欲しいな、最低でも1,000坪ぐらいは必要だろうなと思ってたのですが、八尾だとけっこう坪単価が高いんですね。近隣も大阪市、堺市、東大阪市は軒並み高いし。

500坪の土地だと、普通に数億規模になります。なかなか厳しいなぁと思ってたところ、メインバンクから、こんな土地があるよ、と持ち込まれたのが、三重県伊賀市の名阪工業団地にある7000坪の工業用地でした。

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(奥に見えるのが3000坪の方にある建屋。手前が更地の4000坪。)

7000坪は、大きくは3000坪と4000坪の敷地に分かれていて、3000坪の方には、建屋があり、当時、とあるメーカーのある加工工程を担う工場として稼働していました。4000坪の方は更地です。

7000坪って、東京ドームのグラウンド部分2個分ぐらいです。といってもあんまりイメージ湧かないけど。とにかく、うちの規模からすると、途方もなく広く感じます。

さすがに今の木村石鹸には大きすぎます。建屋がある3000坪の方だけで十分だと思ってたのですが、現状のその土地/建屋のオーナーの条件は、7000坪まるごと一括の売却でした。

7000坪一括売却で、しかもある日までに購入という条件がついてました。ただ、その条件を飲むと、坪単価としては破格の値段にはなっていました。当時、その工業団地の他の土地の坪単価の取引価格に較べてもかなりのディスカウントです。

ただ、7000坪です。坪単価は安いとはゆえ、やっぱり●億という値段にはなってるわけです。当然、建屋はあるけど、その建屋の改装費も必要になるでしょう。いやはや、いくら金かかんねんという感じです。

そして、三重です。八尾からのアクセスは車で1時間程度と、そこまで悪くはないものの、それでも1時間。スタッフの移動、転勤やら、既存のサプライチェーンの絡みやら。やはり色々悩むわけです。

そもそも、工場いるの? 今時はファブレスじゃないの?

そう。今時、日本に新たに工場作るって、そもそも必要なの? という意見もあります。 実際、僕らが今作ってるものも、その大部分は、外部の協力パートナーさんと連携することで作ることはできます。

工場みたいな大きい資産を持って、身動きしにくくなるよりは、企画や開発と営業・マーケティング領域に力を入れて、製造は外部をうまく使っていく。そっちのほうがリスクも小さいし、変化にも対応しやすい。

確かにその通りなわけです。

特に、OEM事業の場合は、製造能力みたいなところも重要視されるわけで、生産力の拡張・拡大は必須なわけですが、僕らは、OEM事業だけでは厳しい、これからは自社ブランドも伸ばしていこうという青写真を描いてました。

自社ブランドに力を入れるなら、なおさら、注力すべきは企画やマーケティング領域です。生産ではないんじゃないか。そんな風にも考え、悩みました。

木村石鹸の「らしさ」とは何か?

ロジックで明確に正解を導き出して、自信もって下した結論というわけでありません。

ただ、木村石鹸の木村石鹸らしさ、とは何か、ということを考えていったときに、「製造」を外してしまうと、何かやはり足りないな、という感じがしたのです。

もちろん、外部の協力会社とも積極的に連携して、新しい商品やサービスを生み出していくといことに変わりはないんですが、そういう取り組みも、自社での開発や製造という現場がないと、どうも木村石鹸じゃないんじゃないかという気がしたのです。

ファブレスでうまく立ち回る、とほうが洗練されてるし、D2Cとかのモデルとも相性良さそうだし、言ってしまえば「今風」だなと思ったんですが、木村石鹸というキャラクターが「今風」だけになってしまったら、これは何かものすごく違和感があったわけです。

こんなものは考えても考えても「正しい答え」なんてものが出るわけでもありません。決断したら、その決断が正しかったんだと、なるように頑張るしかないわけです。

意思表明の期限も迫ってきて、最後は、あまり考えても仕方ない、なるようにしかならないというある種の諦めみたいなものもありながら、購入することを決めました。三重に新しい工場をつくる、という覚悟を決めました。

余談ですが、うちの親父は、僕のそういう逡巡なんかはまったく意にも介さず、この工場用地を紹介された瞬間から、ほとんど何の躊躇いもなく、よっしゃ購入や、という感じで勝手に決定してて、僕があーだこーだと悩んでるのを、「お前、そんなもんな、はよちゃちゃっと決めてしまわんかい」と、勝手なことばかり言って、僕を急き立ててました...

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