より良い買い方を育むためには?

文章書きながら、自分でも実はよく分かってません。なので、論理的に破綻してるところもあったりですが、でも、もやもやって考えてることは、とりあえず文章にしてみた方が良いのではないかと思い、書いてみました。

おせっかいなリターゲティング広告

今は、いろんなサイトで自社の商品の広告が表示されてます。これは僕らが直接お金を払って広告を出稿しているわけではありません。

これは楽天が勝手に出してるリターゲティング広告(リタゲ)みたいです。実はよく分かってないんですが、楽天に訪れて色々商品を見ると、その商品を忘れないようにと、色んなサイトでリマインドしてくれるんですね。

僕なんかは当然、自社の店舗をよく見るので、あちこちのサイトで自社商品ばかりが表示されるわけです。

リタゲはかなり効果が高いそうです。その商品を見たり店舗に訪れてるということは、かなり興味がある、関心度が高いということでしょうし、その場では何らかの理由で購入にまで至らなくても、その人を追いかけ続け、事あるごとに、その商品をちらつかせたら、そりゃ中には、買おうということになる人もいるだろうと思います。どこの誰かも分からない人に絨毯爆撃みたいに無作為に広告出すよりは、ずっと効果が高いことは想像に難くないです。テクノロジーの進化がもたらした広告技術の一つだと思います。

ただ、僕は、うっとおしいなぁと思うわけです。僕の前に、そんなに顔を出さないでくれよ、と。でも、多分、うちの店舗も、こういうリタゲのおかげで商品が売れてるものもあるんだろうとは思います。なかなか複雑な心持ちです。

レスポンス広告とLPの世界

広告の世界に「レスポンス広告」と言われる分野があります。その名の通り、広告によって直接レスポンスを得ようとするものです。ここで言うレスポンスとは、大抵の場合は、「資料請求」とか「サンプル申し込み」とか、もちろん何かしらの「商品の購入」とか、そういう具体的なアクションを意味していて、基本的にはストレートに売上に繋がるものと考えれば良いかなと思います。

広告を使って、商品を売ることができると、企業にとってはメリットは大きいわけです。人手がいらなくなるし、広告の範囲や規模をコントロールすることで、リバレッジも利くし、ビジネスとしてスケールさせやすくなります。

レスポンス広告での成功モデルには、ある種のパターンがあります。その通りにやってれば成功するかというと必ず成功するとは限らないけれど、成功確率を上げることはできます。

広告の訴求方法や展開方法にもセオリーがあり、広告から誘導するページ、これをランディングページ(LP)と呼びますが、LPの作り方にも、様々なテクニックやメソッドがあります。広告から呼び込んだお客さんを逃さず、「今」買ってもらうための説得技術や話法的なものでしょうか。

当然、LPは、そのページ以外に他のページに飛べないようにするのが普通です。お客の選択肢を減らすわけです。究極は、今、買うか、買わないかを迫るわけですね。

そうやって広告を使って、効率よくお客さんを獲得していくのがレスポンス広告です。1人のお客さんを獲得するのにいくらコストが掛かったかはすべて数値化できるので、その額をより低くすればするほど、利益が得られるわけです。

売り方や作り方は進化したけど、買い方は...

僕らが展開してる商品でいくと、12/JU-NIというヘアケアブランド。こういうジャンルは、レスポンス広告が向いてるし、多分、リタゲもがんがん使っていくべきなんです。

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(2020年4月からスタートしたヘアケアブランド「12/JU-NJ」)

現状は、商品の供給が追い付いてないので、広告どころの話ではないですが、ただ、商品が間に合うようになったら、やはりもっと売りたいわけです。

で、沢山効率よく売りたい、と考えだすと、リタゲやレスポンス広告がチラチラ顔を覗かせてくるわけです。早く成長させるには、広告は必須です。

でも、どこか違和感があるんですね。なんか、安易にこういう世界に足を突っ込んでいいのか。(前職では、自分が散々、その世界に引き釣り込んでいたわけですが....)

なぜ、僕がリタゲや、レスポンス広告に、何か違和感を感じるのか。出来ることなら、そういうものを使いたくないと感じてるのか。これは単なる好き嫌いの問題なのか。

そんなことをずっと考えてた時に、気づいたんですね。

この何十年と、売り方や作り方はすごい進化してきた。一方で、買い方はどうなんだろう、と。

リタゲにしても、レスポンス広告にしても、これは、もう如何に効率よく、再現性ある形でモノを売る方法を突き詰めたものです。人の心理をうまくついて、買ってる本人の自覚さえないままに、気づいたら買ってしまってる、みたいな状況を作り出すものです。

売り方の進化と共に、当然、生産も発展してきたと思います。良いものをいかに安く、早く作るか、というところは、サプライチェーンの最適化から含めて、こちらの進化も凄まじいものがあります。信じられないぐらい安い値段で、信じられない品質のものが生産されています。

そう。売り方や作り方の方は、どんどん高度化して進化してきたんですね。

でも、ふと、買い方の方はどうなんだろうかと思うと、僕なんかもそうですが、商品の買い方や、選び方については、全然進化も成長もしてないということに気づいたわけです。

むしろ、売り方と作り方が進化すればするほど、商品の購入に何も考えなくても良い環境が作られていってしまうわけです。

結果、僕らが商品を選ぶ時の基準は、その商品が売れてるかどうかや、〇〇〇でNo.1みたいなランキングみたいな分かりやすい基準や、とにかくどこでも買える、どこでも一番最初に目に入る、みたいな要素でしか商品を選べなくなってきてしまったように思うのです。極端に言えば、考えなくても良い方向に突き進んできたんではないかと思ったんですね。

僕が、リタゲやレスポンス広告から抗えないかなぁと思ってるのも、これを突き詰めても、結局、買うことの豊かさみたいなものや、選ぶことの喜びとか、そういう消費の質を高めることには繋がらないなぁと思ったからなのかもしれません。(自分で考えてることなのに、えらく他人事ですが、実際、良く分からないので....)

売る側ばかり進化しても、なんかバランスが悪いなぁとも思うし。

あぁ、これって糸井さんが「インターネット的」の中で言ってた「消費のクリエイティブ」って話と近いことかもしれません。

メイカーズブームとかD2Cって?

最近、メイカーズブームみたいなのが起きたり、D2Cみたいな新しい言葉が盛り上がりを見せてたりして、一見、作り手や売り手側の話題のように思えるんですが、これはもしかしたら、買う側の意識変化の兆しだったり、どんどん高度化する売り方/作り方へのカウンター的な意味合いもあるんじゃないかとも思ったんですね。

D2Cはデジタルネイティブを凄く重視してるので、裏側では物凄く高度に洗練されたテクノロジーが使われていて、これはともすると、リタゲやレスポンス広告の世界と同じく、究極に効率化した販売手法のように思えてしまうかもしれません。

が、多分、今、話題になっているD2Cというは、ちょっとそれとは違うような気がしてます。彼らは、テクノロジーを、いかに買う側のクリエイティビティを刺激するかとか、買う側の質を高めるかとか、そういう方面で使ってるように思えるんですね。

逆説的ですが、D2Cブランドが、テクノロジーを指数関数的成長やら、究極に効率の良い売上アップやら、スケールさせることのためだけに活用してたら、そこまで熱狂的なユーザーを獲得することもできないし、短期的な成長も無理だったのではないかとも思うわけです。違うかな?

極度に高度化した「売るための方法」に対しての気持ち悪さみたいなものや、意図的に分断された売り手と買い手の関係みたいなものへの疑念とか、そういうものも、D2Cが支持を集めている理由なのかなと思ったり。

ちなみに、僕は、D2Cという言葉とか概念には、あまり興味はないです。D2Cとして括られる企業も、様々なだと思ってますし、この手の言葉は、だいたいコンサルティングとかソリューション会社が仕事しやすいように、定義してるような気がするから。でも、D2Cと括られる企業が、お客さんに支持されてる、売上を伸ばしてる理由についてはすごく興味があります。

僕が知らないだけど、D2Cの多くも、がんがんリタゲもレスポンス広告もやってるのかもしれないですが....

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