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家主と不動産投資家向けInsurTech Obie/recurring revenue-based finance Capchase/フリーランス向けバンキングサービスFoundが資金調達ほかー5/23,30週注目のFintechニュース

こんにちは。先週分の更新が遅れてしまったZ Venture Capitalの湯田(twitter: yudamasak1)です。
今週もニュースをお届けします!

資金調達

<厳選>

1. Obie/家主と不動産投資家向けInsurTech

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設立:2017/米国シカゴ
調達金額:$13.7M/SeriesA
主要投資家:Battery Ventures 他
URL:
https://www.obierisk.com/

Obieは家主や不動産投資家向けに特化しオンライン損害保険を販売しているInsurTechスタートアップ。特に戸建て賃貸や一棟アパートを所有するSMBの家主や不動産投資家を対象としたサービスだ。Obieの共同創業者(兄弟)のAaronとRyan Letzeiserは保険と不動産プライベートエクイティで培った経験を生かして、このプラットフォームを構築した。いわゆるSMBの家主や不動産投資家は1,100万人ほど存在するにも関わらず、サービスが市場で不足していると考え起業。
サービスの内容は、非常にシンプルだ。家主や不動産投資家はObieにアクセスし、いくつかの質問に回答。Obieは回答内容からいくつかのデータポイントを抽出し、独自のアルゴリズムを用いてリスクを算定、保険会社とマッチングし、見積もりを作成する。データポイントは、家主と物件の近さなどの公開および非公開の情報を組み合わせている。家主が見積もりに同意すれば、保険が即時発行される仕組みだ。家主はObieを利用すると保険料を最大25~30%節約できるという。これまでのObieはあくまで仲介モデルとしてサービスを展開してきたが、今後はそのデータを活用して自社で独自の保険商品を提供する垂直統合型への展開を考えているという。Battery Ventures がリードするシリーズ A の資金調達ラウンドで $10.7Mを調達した。

注目ポイント:サービス内容はLemonadeHippoと似ているものの、彼らがto C市場を対象としているのに対して、ObieはSMB家主というto Bの市場を対象にし、このカテゴリに特化したアルゴリズムや商品を作っていこうとしているのが面白いです。アメリカの不動産市場の大きさを考えると市場規模も十分ありそうですね。

参考:https://techcrunch.com/2021/05/26/insurtech-startup-obie-raises-10-7m-series-a-led-by-battery-ventures/

2. Capchase/recurring revenue-based finance

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設立:2020/米国NY
調達金額:$125M/SeriesA
主要投資家:QED Investors 他
URL:
https://www.capchase.com/

Capchaseは将来のARR収益をベースにワンクリックで成長資金を提供する貸付サービスを提供している。現在400 社以上の企業が Capchaseを使用しており、これまでに $390M以上の資金調達に利用。会社はわずか8ヶ月前に立ち上げられて以来、前例のない成長を見せているという。QED Investorsがリードし、エクイティとデット・ファイナンスにより$125Mを調達。同社は今後6ヶ月で400%成長を見込んでおり、成長計画の一つとして英国やスペインにも進出すると発表した。

注目ポイント:ARR収益を元に貸付を行うビジネスは毎週資金調達企業が出てくるように、欧米では大変盛り上がっています。この領域で最も有名なのがPipeですが、彼らは投資家と企業を結びつけるマーケットプレイスモデルであるのに対して、Capchaseは自社のB/Sを用いて貸付を行うモデルを取っています。「起業家は自社データを共有することに慎重であり、マーケットプレイスを望んでいない」という理由で自社B/Sモデルを取っているようです。自社B/Sモデルのサービスは以前取り上げたUncappedClearbancなどが存在します。どうやらCapchaseは成長に必要な資金を、月次や週次に分散させて提供できるといった、より柔軟にカスタマイズされたファイナンスを提供できるプログラムに独自性があるようです。Credit KarmaやKlarnaの投資家でもある著名Fintech VCのQED Investorsがリードしている点でもかなり注目の1社と言えそうです。

参考:https://www.prnewswire.com/news-releases/capchase-secures-125-million-in-series-a-funding-launches-just-in-time-financing-for-tech-companies-301305889.html

https://sifted.eu/articles/capchase-raises-series-a/

3. Found/フリーランス向けバンキングサービス

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設立:2019/米国サンフランシスコ
調達金額:$12.75M/SeriesA
主要投資家:Sequoia 他
URL:
https://found.app/

Foundはフリーランス向けに設計された銀行、会計、税務機能を提供するバンキングサービス。元Squareの幹部であった2名によって創業されたスタートアップだ。代表のMyrick は、大学卒業後に公認会計士として働いた経験を持ち、フリーランスも経験していることに加え、Squareでの経験も相まって、「ソフトウェアを通じてフリーランスの簿記や税金の課題を解決できる」と考えたという。Foundは口座手数料、月額料金、最低残高、信用調査が必要なく、無料で開設できるようになっている。利用者は支払いをFoundから発行されるデビットカードを用いて行うことで、経費をトラッキングできる仕組み。また、様々なサービスと連携しており、色々なソースから取引データを集約できる。取得したデータを元に、経費分類や税金計算、事業レポートの作成をほぼ自動で行えるサービスを実現している。

注目ポイント:海外チャレンジャーバンク市場はセグメント、カテゴリ特化型のサービスが誕生するフェーズになってきていますが、中でもフリーランス市場は注目です。以前取り上げたLiliだけでなく、NoboSeedOxygenなど類似のサービスが複数存在します。サービスの特性上、一度使い始めるとスイッチングコストが高いため、いかに最初に顧客数を抑えられるかが重要な競争のポイントになっている模様。日本のフリーランス市場は米国と比較すると小さいものの、拡大基調であり同様のサービスが出てくる可能性はありそうです。

参考:https://techcrunch.com/2021/05/20/ex-square-execs-launch-found-to-help-the-self-employed-raise-12-75m-from-sequoia/

https://finledger.com/2021/05/24/square-alumni-raise-12-75m-for-found-a-bookkeeping-taxes-and-banking-platform-for-the-self-employed/

<その他>

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読み物

セキュリティトークン(デジタル証券)は5年で暗号資産を超える欧州調査
ドイツのブロックチェーンコンサルティング会社Plutoneoが、フランクフルト金融経営大学とデジタルカストディ・プロバイダーのTanganyと共同で行った調査結果。ヨーロッパのセキュリティートークンは、不動産、債券、法定通貨などの資産を対象に、今後5年間で年率約81%の成長を遂げると予測している。

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NFT(Non-Fungible-Token)の動向 21年6月
NFT販売の全体のボリュームは3月から続くダウントレンド。一方で既存プラットフォーマーのNFTに対する積極的な姿勢は続いており、NFTは引き続き注目市場となっている。

NFTアートの販売量

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Tokenized Blood? How NFTs Are Transforming Healthcare
NFTのヘルスケア領域でのユースケースとして、献血や研究への自身の健康データへの利用が示されている。

・献血した血液をNFTによって管理、追跡
・医薬品のリコール時の対応や処方箋の偽造防止
・自身の健康データがどのように使用されているかの追跡
・データの識別だけでなく、NFTで所有権も保証

Embrace Network Effects to Win in Fintech
Fintech企業のネットワーク効果について、Adyen、Square、Lending Clubによる 3つのベスト プラクティスを紹介

・Adyen:
(Knowledge)自身が調査した現地の事例や情報を、顧客である企業に共有し彼らのビジネスを促進
・Square:
(Enrichment)加盟店への貸付により彼らのビジネスが拡大、Squareの手数料収入が増加
・Lending Club:
(Network Effect)より多くの売り手/投資家が、より多くの買い手/借り手を引き付け、魅力的な金利や回収期間を実現。サービスの質が向上。

最後に

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