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フリーランサー向けネオバンクLili/Banking as a Service Treasury Prime/自営業者向けオンラインバックオフィスサポートPF Collectiveが資金調達ほかー5/9週注目のFintechニュース

こんにちは。Z Venture Capitalの湯田(twitter: yudamasak1)です。
今週もFintechニュースを独断と偏見で選んでいます。Let's Go!!

資金調達

1. Lili/フリーランサー向けネオバンク

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設立:2018/米国NY
調達金額:$55M/SeriesB
主要投資家:Target Global、AltaIR他
URL:https://lili.co/

Liliはフリーランサーが個人の支出と事業経費の両方を1つのアカウントで管理できるようにするアメリカのネオバンク。今回の調達で累計調達金額は$80Mに。
VISAデビットカードで支払いを行い資金を管理する点は他のネオバンクと同様だが、Liliはフリーランスが抱える税金処理の課題を解決する機能に特化した強みを持っている。経費に該当する支出は、適切な税金処理がされるようにモバイルアプリ上でリアルタイムに自動仕分けが行われる。また、将来支払う予定税額を計算し、予算として自動貯蓄してくれたり、経費レポートの自動作成などのアシスタント機能を備えている。
累計顧客は20万人ほどだが、COVID-19危機をきっかけにフリーランサーの数が突然増加したことを受け、取引量は年間1,500%成長したという。今回調達した資金を元に、請求・支払い管理やローンなどの機能拡充をしていく。競合企業としては、lanceが挙げられる。

参考記事:https://techcrunch.com/2021/05/11/lili-a-neobank-aimed-at-freelancers-raises-55m-as-it-passes-200k-users/

サービス紹介動画

2. Treasury Prime/Banking as a Service

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設立:2017/米国California
調達金額:$20M/SeriesB
主要投資家:Deciens Capital, QED Investors, Susa Ventures, SaaStr Fund他
URL:
https://www.treasuryprime.com/

Treasury Primeは、APIを介して銀行とFintech企業を接続するBaaS企業。銀行の勘定系システムと統合しており、開発者は口座の開設から支払い、カードの発行まで、幅広い銀行サービスを迅速に自社サービスに実装できる。現在50社を超える有名なFintech企業を顧客に抱えている。今回のシリーズBラウンドは既存投資家のみが追加出資したインサイダーラウンド。新規顧客の獲得が進み、その需要に応えることができない状態を解消するための資本追加の位置付けのようだ。Banking as a Serviceの市場はつい先日Stripeが参入を発表するなど競合も増えているが、同社のCEOであるChris Deanは市場規模に対してアグレッシブな見立てをしている。BaaS市場は単なるデジタルバンク向けと想定するとそれほど大きくはないが、特定業界向けのSaaSであるバーティカルSaaSが続々と大企業へ成長したように、特定業界向けのバーティカル銀行が同種のカテゴリーで生まれ、銀行機能を提供したいと考える。ゆえにBaaSを活用したい顧客は今後もっと増える、という考えのようだ。(ちなみにChrisはStripeの参入を歓迎するブログを書いている。)

参考記事:https://techcrunch.com/2021/05/12/treasury-prime-series-b/

3. Collective/自営業者向けオンラインバックオフィスサポートPF

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設立:2020/米国California
調達金額:$20M/SeriesA
主要投資家:GeneralCatalyst, Sound Ventures(AshtonKutcherのVC), Steve Chen(YouTubeのFounder)他
URL:
https://www.collective.com/

Collectiveは自営業者のバックオフィス構築のためのチームとソフトウェアを提供している。米国には5,900万人の自営業者(米国の労働力の36%)がおり、2027年までに50%である8,650万人を占めると予測される成長市場がターゲットだ。Collectiveのソフトウェアは各種バックオフィスツールを1つのプラットフォームにバンドルする。それに加えて同社が抱える専門家チームによって会計ツールであるQuickBooksのセットアップや給与ツールであるGustoの利用トレーニング、税理士への1対1の電話相談など、バックオフィスに関するパーソナライズされた豊富なサポートプログラムを提供している。

参考記事:https://techcrunch.com/2021/05/12/collective-a-back-office-for-the-self-employed-raises-20m-from-ashton-kutchers-vc/

・ブラジルのサンパウロを拠点とする決済ネットワーク企業のCloudWalkがシリーズBの資金調達で$190Mを調達
Cloudwalkは2013年に設立。同社はブロックチェーンとAIで動作する最先端の決済プラットフォームを構築していると表現しており、 年間10億米ドルを超えるトランザクションを処理しているという。Coatue、DST Global、Valor Capitalなどの投資家がシリーズBラウンドに参画。

・請求書処理自動化SaaSのStampliがシリーズCで$50Mの資金調達
Stampliは企業の請求書の処理や承認フローを自動化するSaaSを提供している。2020年の初めには、自社の決済サービスであるDirect Payをローンチ。クレジットカード支払いにより加盟店側に手数料の負担を減らすために銀行小切手の支払いなどで対応できるようにできたりするサービス(?)これまでのところStampliには約1,000の顧客がおり、$20billionのトランザクションを管理している。Insight partners、Signalfire、Nextworld Capitalが本ラウンドに参画。今回の資金を使って来年の事業規模を2倍にすることを目指す。

・USのPaymentスタートアップMarqetaがIPO申請、プライベートマーケットでの評価額は$16Bを超える

S-1資料はこちら

・Exclusive-Personal finance startup NerdWallet files for U.S. IPO -sources
アメリカのオンライン金融商品仲介サイトのNerdWalletもIPO申請をした模様。評価額は$5B以上の可能性があるとのこと。

・ブームを追い風に暗号資産管理のBabel Financeが43億円を調達
機関投資家や富裕層の個人投資家向けに暗号資産の貸付プラットフォーム等を提供する暗号資産の金融機関。Tiger Global ManagementなどからシリーズAの資金調達を実施した。

海外Fintech関連

・米国のGoogle Payユーザーはインドとシンガポールへの送金が可能に、Googleは送金市場に初参入
5/11より、USユーザーはインドおよびシンガポールのGoogle Payユーザーに送金可能。Western UnionとWiseとの提携によって実現。国際送金は個人から個人にのみ可能。年末までにWestern Unionを通じて200以上の国と地域に、Wiseを通じて80か国以上に送金可能となる予定。

・Afterpay、トップブランドと提携し、独占的な商品を販売するDROPSHOPを立ち上げ
オーストラリアのBNPLであるAfterpayがトップブランドと提携し、独占的な商品・体験を提供する「DROPSHOP」を立ち上げ。直近では、Nikeとのコラボ商品を限定発売する予定。

・PayPalが独自のステーブルコイン発行を調査
PayPalは直近、暗号資産に関する取り組みを加速させている。3月にはPayPalのオンライン決済で暗号資産が使用できるようになり、4月には傘下のVenmoでも暗号資産事業をスタートさせている。また、3月には暗号資産カストディ大手Curvの買収を完了させていた。これに伴い、顧客の暗号資産を管理するためのライセンスを得ることができたため、今後はステーブルコインに関する取り組みを加速させる構えだ。

・PayPalは普通預金口座や株式投資などのサービスを追加しスーパーアプリ」になることを目指す

・中国でのPayPalの野心と困難な戦い

・ワンストップショップの中小企業向け金融サービスAspireが事業開始から1年で年間取引額が1089億円に
同社は事業開始から1年で年間取引額が10億ドル(約1089億円)に達したと発表。同時に、企業がAspireのAIベースのデジタルアシスタントに請求書を電子メールで送信することで、管理と支払いを行うことができる最新機能のBill Pay(ビル・ペイ)を発表した。

MyBankの「第2の成長曲線」、2020年決算営業利益30%増

・カリフォルニアの規制当局が、チャイムに「銀行」と自称するのをやめるように命令

・US Bank, Plaid Partner On Open Banking Portal

国内Fintech関連

・ユニクロ、上海で「デジタル人民元」決済受け付け開始
ユニクロの中国での店舗数は4月末時点で800店を超えている。新型コロナウイルスの流行をいち早く抑え込んだことを追い風に、昨年後半には日本の店舗数を逆転した。まずは淮海中路や南京西路、南京東路の3カ所に構えた大型店舗でデジタル人民元決済を受け入れ、1カ月以内に中国本土の200店舗に広げる予定。

・5つの銀行が共同で新会社設立ATMより安い送金サービス提供へ
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行が、新会社を7月に設立。スマートフォンの専用アプリを使うことで、ATMよりも1回当たり手数料が安く送金できるサービスを提供する。送金上限額は10万円程度を想定。

・ドコモと三菱UFJが業務提携デジタル金融サービスに向けて新会社設立
2021年度中に合弁会社を設立し、22年中には事業開始。dポイントが付与されるデジタル口座サービス提供。d払い、ドコモ口座への三菱UFJ口座の連携も開始。

・金融会計業界の「標準API」Moneytree LINKのマネーリンクが26億円のシリーズC2調達

・在留外国人専用の後払いチャージ機能付きVisaプリペイドカード「YOLO Card」の取扱開始

読み物

・‘Buy now, pay later’: Lack of data slows growth in Latam
BNPLは世界的に成長しているものの、ラテンアメリカはまだデータが不足している課題があるという記事

・デジタル給与がもたらす金融サービスの変革と課題
デジタル給与について全体観がまとめられた大和総研の調査レポート

最後に

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