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負け続けた2年間とResilireのこれから。 ~資金調達を踏まえた挑戦~

株式会社Resilireの津田です。
「持続可能な社会創造」をミッションに、サプライチェーンリスク管理サービス「Resilire(レジリア)」を開発しております。
※現在はミッションが改定され、「データでサプライチェーンをアップデートする」に改定されています。詳細はこちら
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この度Resilireは、2021年5月の本番リリースを得て、2021年9月1日に1.5億円の資金調達を実施したことを発表いたしました。詳細はこちら

この機会に、今までの辿ってきた道や失敗の数々、そして今後の挑戦を綴ろうと思います。

今まで振り返ると失敗ばかりでしたので、誰かのお役に立てる記事になれば嬉しいです。

様々な失敗を乗り越え、確信を持てる事業の柱が見えてきたResilireに少しでも興味を持って頂けた方は是非ご連絡お願いいたします!
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「Resilire」というサービス

Resilireはサプライチェーンの途絶を予防し安定供給を実現するリスク管理SaaSです。

昨今、新型コロナウイルス感染症の影響で、企業のサプライチェーンは混乱が続いています。

需要が大きく減少したり、一部マスクやアルコールのように需要が急増したり、一部地域の工場閉鎖による生産・調達体制の見直し、在庫の見直し、物流の見直し等が必要になった企業が多く発生しています。

状況の変化を適切に把握し、柔軟にそれらに対応する事を強く求められる状況にあります。

しかし、殆どの企業は調達から販売までサプライチェーンを一元管理し、状況に応じて柔軟に対応できる体制が構築できていません

私たちは、そのような課題を解決する為にSaaSを提供しています。

Resilireを導入する事で、今まで見えていなかったサプライチェーン全体を可視化しリスクを認識可能になります。それに加え、サプライチェーンに影響を与えるインシデントが発生した際には、影響する範囲を瞬時に把握し対応する事が可能になります。

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サプライチェーンリスク管理のクラウドサービスは現在日本国内にはほとんど存在しません。故に競合は現在殆どありません。
ただ、災害の増加や新型コロナウイルスによって課題が強まり始めている状況です。

まだまだニッチな業界ではありますが、海外ではSCRM(Supply Chain Risk Management:サプライチェーンリスク管理)サービスでユニコーンが生まれたりしており、世界的に非常にホットになりつつあります。

起業を考え始めた経緯

起業は高校の時からしたいと思っていました。
過去イジられた経験があり、学生時代は人間関係に悩まされる事が多くありました。

自分が嫌いで変えたいなと思ってた時でしたが、そんな時に居酒屋のアルバイトに出会い「自分が頑張って成長したら他者に喜んで貰える感覚」が新鮮で、初めて自分にとって一番楽しいと思えるものを見つけた感覚がありました。

そこで、「仕事で大きな成果を出せる人間になろう」と決意し、仕事で大きな成果を生むなら起業だろう!と浅はかではありますが考えました。

大学生時代は起業する為に必要なスキルを身につける為に何が必要か考えバイトやインターンをしていました。

また、大学4年の頃にはWebの受託の会社を知り合いと経営したりしていました。

同社を創業した理由

受託の会社を経営する中で、将来は受託ではなく自分でプロダクトを生み出したいと思っていました。
そして、せっかくやるなら社会的に意義があるとか、大きなインパクトを生めるものをつくりたいと思っていました

そんな中、2018年に関西で西日本豪雨を被災しました。

その頃は、熊本地震、大阪北部地震、台風直撃による広域被害(関空水没)、西日本豪雨と、1~2年で災害が多発していました。

最近災害が異常に増えていないか?
そう考え調べ、世界的に災害が増加していて、今後も増加していく事を知りました。

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自然災害による経済損失の増加

今後の動向を見る中で、「今後増えてくる災害の被害を予防するイノベーションを生み出す必要があるのではないか」

そう考え同社を創業しました。

創業初期にやったことと失敗

最初は被害予防に貢献したいという想いはありつつも具体的なビジネスアイデアはありませんでした。ただ、自分が実際に災害を被災した経験から、「適切な情報を届けるべき人に正しく届けることが重要なのではないか」と考え、防災Webメディアを始めました。

儲かるかどうかは考えず、とりあえず立ち上げて記事を書いていきました。防災に役立つ情報や、現地の被害状況等を発信していましたが、どれだけ良い記事書いても読まれなければ意味がないと気づき、SEO記事を書きまくっていました。

結果としてアフィリエイトで月10万円くらいまでになりました。ただどう考えても書き続けて伸びるイメージが湧きませんでしたし、そもそも誰の課題を解決しているかもわからなくなってきました。笑

そこで、次は明確に誰かの課題を解決できる事業を作ろうと考えました。

2回目の立ち上げとまた失敗

防災Webメディアを運営する中で、様々な被災した地域に足を運んでいました。

そこで、ある地域にボランティアが集中して、受付に長蛇の列ができ、開始が遅れ結果としてボランティアが全然稼働できず復旧が進まないという問題があることに気づきました。かたやボランティアが集められず復旧ができないという地域もありました。

復旧が進まない事による損害は実は非常に大きく、これは課題ではないかと考え、ボランティアの受け入れ管理システムを立ち上げました。クラウドでボランティアの募集ができ、当日の受付はQRコードで行い数百人が同時に来てもすぐに受け入れできるというもの。

これは確かに課題には刺さっていて、NPOや自治体の方々に感動頂き使って貰えました。継続的に1年以上使って頂ける方もいました。

月5000円という超絶安価ですが支払って使っていただける方もいました。ボランティアは一年程でトータル3000人程クラウドでマッチし、自治体から感謝状が届くこともありました。

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頂いた感謝状

ただ、ビジネスには繋がりにくいサービスでした。明らかにお客さんに予算が無い。

ボランティアのデータやネットワークを活用する事でビジネスになるのではと考えていましたが、明確な解が見つかりませんでした。

これは多分始める前から気づけることでした、なので自分の大失敗です。。

でも前回と違って今回は人に使って貰えて、お役に立てるという経験が出来たのでそこは良かったなとほんのちょっとだけ思っています笑

3度目の正直と組織崩壊

この2回の失敗で、予算を持っていて強いペインを抱えているところをターゲットにしないといけない事は明確でした。

改めて次の事業をじっくり考えていた時に、
もともと創業した時に「災害で生まれる経済的な損失を予防できたらそこにマーケットが生まれるはず」って考えてたんだよなと思い出しました。

「じゃあ一番被害を被っている(予防したいと思ってる)人は誰だっけ?」と考えて、大企業向けにしなくてはいけないんだなと気付きました。

私たちは防災Webメディアをやっていたので、自分たちのメディアの名前を出し、大企業のリスク管理をインタビューする形でヒアリングし課題を見つけにいきました。

そこでBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)というリスク管理手法があり、その殆どが書面ベースで行われ、故に被害予防ができていない事がわかりました。

そこで方向性を変え、クラウド上でBCM(Business Continuity Management:事業継続管理)を行えるようなSaaSを開発しました。

しかし、トライアル導入した大手企業からは「お金を払って使いたいとは思わない」と辛辣なフィードバックを受けました。

被害予防は、今目の前の課題を解決するのではなく、未来の課題を解決する側面が強く、今すぐ価値が出るような側面が無いと導入が進まないということに気づきました。


そんなビジネスが上手くいかず悩んでいる時...
組織にも亀裂が入っていました。

当時はなりふり構わずエンジニアを採用するといった形になってしまっていました。

事業への共感が無かったり、自分との信頼関係も無い中仕事を進めていた為、気がつくと自分とエンジニアチームに大きな溝が生まれ、対立構造になり、気がつくと開発どころの話じゃなくなりました。

プロダクトは中途半端なものになり、勿論お客様に提供できるようなものにはならず、自分だけが焦り、他のエンジニアチームは自分を無視して作りたいものを作っている。そんなカオスな状況になり、関係は悪化していくばかりでした。

結果としてエンジニアチームを解散するしかなくなってしまいました。

組織をつくる上で経営者としてやるべき事が全てできていなかったと大反省しています。当時のエンジニアがこの記事を見ていたら改めて謝りたい気持ちです。ほんとに誰も幸せにならなかったと思います。経営者として甘くてごめんなさい。

Resilireにとってあるべき文化を定義せず採用を行っていたこと。マネジメントをエンジニアチームのリーダーに全て任せ切って会社として大事にすべき部分の共有ができていなかった事が大きな問題でした。

上記の失敗を経て弊社が定義したバリューや現在大事にしているカルチャーについてはこちらに載っていますのでぜひご覧ください↓

失敗の中から見つけたチャンス。4度目の挑戦

ビジネスが上手くいかず、組織も崩壊を起こしていたその時、プレスリリースから一件いつもと違う問い合わせが来ていました。

大手の製薬企業の担当者からで「サプライチェーンのリスク管理に困っているが、そういった用途で使えないか」というものでした。

これが大きな転機となりました。
担当者から具体的な課題や既存の業務フローなどを深くヒアリングしていくと、そこで大きな課題があることに気づきました。

これならすぐにでもお金を出してでも解決したい課題なのではないか。

そう思い、何度も担当者とコミュニケーションを続けた結果「Resilire」が生まれました。

Resilireは、今まで作った全てのサービスと初速が異なりました。

まだプロダクトができていないにも関わらず、出したプレスリリースに超大手企業から問い合わせが来まくりました。

当時のプレスリリースがこちら↓

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※ちなみに6月22日にβリリースと書いていますが、それは前回作ったプロダクトであり、9月からピボットして作り替えようという決意のプレスリリースでした。

今までと違った一番の部分は相手の反応でした。
問い合わせ頂いた方と話をすると、殆どの企業の担当者が「Resilireのようなサービスをずっと探していた!!」と感動してくださるのです。

これはいける!と思い、猛ダッシュでプロダクトを作りました。
今までのコード全てを0から作り替える必要があり、実質0から新しくプロダクトを作るような形でしたが、そのタイミングでジョイン頂いたエンジニアメンバーがほぼ一人で数ヶ月でMVPを開発してくださいました(ほんとすごい!)

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そして開発期間は毎週のように問い合わせ頂いた企業の担当者が会ってプロダクトに意見をくださいました。(実は今もそのお客様と毎週定例mtgをしています)

プロダクトができるまで待ってくださり、しかも実績無くても社内で導入進められるように社内を説得頂けたり、、、本当に素晴らしい方にお会いできました。

Resilireは無事に5月に本番リリースし、4ヶ月たった現在は、10社トライアル導入中、2社既に有償で導入済みという状況です。

しかも全社誰もが知るような大企業です。

そして気がついたらResilireが組織らしくなってきました。
今は副業含め12人くらいのチームになっています。
以前の組織崩壊時とは打って変わって、チームワークを重視したResilireらしいと言える素晴らしいチームに変化したなと感じています。

去年の9月から怒涛でした。

Resilireのポテンシャル

Resilireはプロダクト特性上非常に大きな市場に挑戦していけるポテンシャルを持ち合わせていると感じています。

現在サプライチェーンリスク管理という観点で課題解決するプロダクトとして提供しています。

プロダクト仕様上、業界のトップ企業を抑え、そこからサプライヤー全体にIDが普及されていき、サプライチェーンのネットワークを構築していく事ができます。

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サプライチェーンのデータは秘匿情報故に今までなかなかアクセスする事ができませんでした。

ただResilireなら、リスク管理という視点ならそれが可能になります。

私たちは細かな権限設定や、セキュアな環境で顧客の秘匿情報をしっかり守りつつ、そのデータをより大きな付加価値を生み出す為に機能アップデートしていきます。

資金調達背景

SCRMにおいては、日本にはまだ無いものの海外ではちらほら目立った企業が出てきています。そして、まだ海外プレイヤーは日本に入って来れていない状況です。ただ、数社日本企業とのPoCも始まっており、チンタラしていられない状況です。

早期に国内におけるサプライチェーンネットワーク全体を抑える必要があり、その為にはそのスピードを実現できる組織を早く作らなければいけませんし、早期にプロダクトアップデートをしていく必要があります。

そこで、大企業のネットワークを持っているVCや、B2BのSaaSにおける知見を多く持つVCからの資金調達が大きな鍵になると考え、以下のプレスリリースにあります投資家の方々から出資を受け一緒に挑戦していくこととなりました。

今後Resilireが生み出していく価値

私たちは、創業当初からビジョンとしてありました「持続可能な社会創造」を実現するために挑戦していきます。

その為に私たちは、Resilireをサプライチェーンにおける重要なデータ連携インフラにしていきます。

今購買担当者とサプライヤー間のリレーションに関わる業務フローはほぼ全てDXされていません。
電話、メール、ファックスが蔓延り、人手不足も相まって企業の持続性は危ぶまれています。そこに加え、企業存続を脅かすリスクも増加しています。

リスク管理側面からサプライヤーのネットワークを構築し、そこに新たな機能や多くのサービス提供企業との連携によって、リレーションに関わる業務フロー全てをDXできるプラットフォームに進化していきます。

Resilireが進化していくことで、企業における真の持続可能性を実現できると考えています。

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最後に

この挑戦を実現するには、仲間が超必要です!

これからも失敗していくと思いますが、一つ一つ確実に歩みを進めていきたいと思います。一緒に失敗も成功も経験していきましょう!

ご連絡お待ちしております!



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