V字回復の経営を読んで自社の成長戦略を考える(2)

第2章「組織の中で何が起きているのか」は黒岩が太陽産業に着任し、経営会議をはじめとした社内会議、顧客や現場のヒアリングを行い実情を把握する場面。不振事業の症状50は37つあり、本章で50個が完結する。

この章で語られるものは、戦略論であり、組織論であり(Structure follows Strategy、表裏一体ではあるが。)、開発〜生産〜営業に至る各バリューチェーンのあるべき論である。
読み直しであるが特に本章の中でもコアな章なのではないかと感じている。

事業の戦略不在(または不明確さ)が招く弊害
 機能別組織のたこつぼ化、流通政策のふらつきによる代理店からの不信、機能組織毎の被害者意識、これらは全て事業戦略の不在が招くものであり、「組織全体を貫くストーリーの欠如」という書き方もされている。
 あるべき戦略の道筋が症状45の裏返しを考えればいいはずである。


(症状45)総合的な分析と経営コンセプトに欠けている。沈滞企業は戦略だけいじくっても事態はよくならないし、現場の問題だけいじくってもダメ。両方をバラバラに扱うのではなく、一緒に俎上に載せないと打開できない。

自身の担当領域の事業においては、施策が現場の問題により過ぎていた感が否めない。

なぜ戦略的な視点に立てなかったのか?
もっとも「ハッ」としたのが、次の一文である。今日までの自分の黒歴史。

ところが総指揮官のくせに、マクロの戦略感覚が足りません。つまりマーケティングや全体戦略の感覚が足りないのです。
・・・(中略)・・・営業部長は営業マンと一緒に、竹槍持って野原を駆けずり回るべきだ。

 そう、自分の事だ。顧客の課題を深掘れたと嬉々としている場合ではなかった。商品開発は自分が回さないといけないと使命感を振りかざすことはしている場合ではなかった。
 
必要なことは、リーダーシップとマネジメント
超現場から少し離れ、俯瞰的に事業の方向性が描けたとして、今度はその戦略や基本思想を現場にインプットする必要がある。このリーダーシップの行動を次のような例示している。

ラインの責任者が自ら議事を組み立て、自ら進行を取り仕切り、自ら問題点を指摘し、自ら叱り、自ら褒める

また症状38も自身のマネジメントの甘さを指摘されているようでぞっとした。

営業の「やってもやらなくても同じ」は、①「戦略」が個人レベルまで降りてきていない、②毎日の「活動管理」のシステムが甘い、の2つによる。

プレイイングマネジャーという響のいい言葉を前向きに解釈し、戦略的視点で物事を考える余裕を失い、リーダーシップもマネジメントも中途半端になってしまった自分への無力さを実感した章であった。

1つの事業さらには、組織を生かすも殺すも自分次第という緊張を持って、今日の自分ができていなかったことを、明日は1つやって行こう!

明日へのメモ
"ベンチャー企業における、経営や事業責任者の力配分案"
-マクロな視点での戦略策定やそのモニタリング:2割
-戦略の現場浸透やミクロな視点での課題の吸い上げ、業務マネジメント:3割
-メンバー育成や業務サポート:2割
-プレイヤー的現場実装:2割

最後に「発掘された変革人材」川端氏の嘆きに共感するとともに、再度自分のネジを巻き直して本稿を終えます。

「上から下まで、縮み思考が当たり前になっています。
こんな閉塞状態で人生を過ごしていくのは、お互いの人生の不作ではないでしょうか。・・・(中略)・・・本当に枯れてしまう前にもう1回、面白い仕事をしてみたいんです。

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