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ハンドボーラーのための球速UPシリーズ:投球動作におけるSSC運動の効果の最大化

ハンドボールの科学は毎週金曜日に公開!
院生時代の研究テーマが「ハンドボール選手の投球動作の3次元動作分析とバイオメカニクスを活用した指導法の構築」であったので,主にハンドボールの投げる動きに関しての記事が多くなっていくかと思います!しかし,ハンドボールの科学ですから,幅広い分野の研究を紹介していきたいと考えています.是非,明日の練習に!指導に!活かしてください!

文献情報

タイトル
投動作における上肢の伸張-短縮サイクル運動の有効性:伸長局面におけるみかけ上のstiffness特性に着目して


著者
田内健二
尹聖鎮
山田哲
高松薫

ジャーナル
体育学研究 Vol48:137-151 2003

結論

投動作においても,上肢のSSC運動がより良いパフォーマンスを発揮するために重要な役割をに果たしている!しかし,下肢の場合で頻繁に表現される”硬いばね”的な動きのパターンだと,著しい肩関節の伸展トルクの低下がみられた!このことから,下肢で表現されるような”硬いばね”のような動きのSSC運動と上肢のものでは違うのではないか?というこうとが分かった!

方法
画像を参照!

方法


わかったこと!

・ボール速度,ボールのパワー,肩の関節トルクパワーはどれも短縮局面の初期に高い値を示した.
・ボールの平均パワーは,RTがCTと比較して有意に高値を示した.
・被験者間に上肢のスティフネスの値から,StiffタイプとCompliantタイプに群分けできた.
・ボールの平均パワー,短縮局面の増加率はCompliantタイプの方が高値を示した.
・Stiffタイプは相対的に肘の仕事に依存し,Compliantタイプは肩の仕事に依存していた.
・Stiffタイプは屈曲方向へ動きの時にトルクが急激に立ち上がり,その後短縮に切り替わる地点でトルクが著しく低下した.
・Compliantタイプは屈曲方向への動きに対して,比較的緩やかにトルクが上昇し,その後トルクを維持,向上させて伸展させていた.

この研究の現場への活かし方

 ハンドボールは,”ハンド(Hand)”という競技名称が表しているように,手を使い,ボールを投げることが求められることから,投球動作がいかにハンドボールにおける最重要の運動様式であるかということが容易に想像できるでしょう!つまり,いくら戦術的に優れていても,フィジカル面で優れていても,投げれなければ勝てない!とまでは言い切れませんが,その重要性は分かって頂けたかと思います.ですが,日本のハンドボールの投球動作の指導方法は,ほとんど確立されていないといってもいいと思います!どの教法をみても,ほぼ同じことしか書いていませんし,「肘を高くあげよう!」などの戦術的な優位性を求めた教示しかなされていません!研究においても同様のことが言え,国内の研究は非常に限られており,その動きのメカニズムは同じ投球動作の野球や投動作のやり投げを比べると,研究がなされていません.ハンドボールの投げには,「球速の調整力」「球速の絶対値」,「投球方法のバリエーション」,「戦術的選択力」がパスにおいても,シュートにおいても求められるかと思います!一概に,球速を高めることが正義とは言い切れないのかも知れませんが,球速が速いにこしたことはないとも考えられます.本noteがいかにして,球速を高め,選手たちが自信をもってシュートを打てるようになるためのコーチングサポートになれば幸いです.
 
 さて,本題ですが,今回の研究でも取り上げているのは上半身のSSC運動です.前回号は体幹をピックアップしましたが,今回は上肢(腕回り)のSSC運動に関しての論文から考察してみます!
 
 今回はやり投げの大学男子選手を対象としており,ハンドボールの投球動作に今回の知見をそのまま活用するのはリスクがあります.まず一つがハンドボールの投球動作は肩の屈曲-伸展への依存度がやり投げと比べて大きくないと予想できる部分です.動きの類似性ですべては語り切れませんが,やり投げ選手とはパワー発揮の仕方が違うようにも感じます.ここまではあくまで仮説ですが・・・.それは置いておいて,ボールを投げるうえで,SSCを利用しているという提言は多くなされています.アキレス腱のような大きく強い腱が上肢にはないため,筋由来のSSC運動が求められそうです!いわゆる,三角筋や大胸筋などがそれにあたります!これらの筋のSSC運動効率をあげることは,投球パフォーマンス向上のためには非常に重要なファクターとなるでしょう!本論でも言われているように,硬いばねではなく,少しタメのあるような力発揮がなされているかを,目でチェックしながら,メディシンボールスローなど取り入れてみるとよいかと思います!ただし,上肢に対してあまり多すぎるプライオ系トレーニングを行うことは危険ですので,両腕実施してみたり,回数を少なくするなど,配慮が必要となるので要注意です!

 ハンドボールを徹底的に学び合えるオンラインスクール「kocs(コチ)」では,ハンドボールの投球動作に関する情報としてZOOMでセミナーしたりしてます!!もし,ご興味があれば,Facebookにてご連絡ください!また,公式Instagram,Twitterアカウントもあるので是非フォローを!


それでは!


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