ハンドボール選手のためのアジリティ能力向上の教科書 Vol.2
ハンドボールの科学は毎週金曜日に公開!
院生時代の研究テーマが「ハンドボール選手の投球動作の3次元動作分析とバイオメカニクスを活用した指導法の構築」であったので,主にハンドボールの投げる動きに関しての記事が多くなっていくかと思います!しかし,ハンドボールの科学ですから,幅広い分野の研究を紹介していきたいと考えています.是非,明日の練習に!指導に!活かしてください!
文献情報
タイトル
Relationships among performance of lateral cutting maneuver from lateral sliding and hip extension and abduction motions, ground reaction force, and body center of mass height
著者
Yohei Shimokochi, Daishi Ide, Masahiro Kokubu, Tetsu Nakaoji
ジャーナル
Journal of Strength and Conditioning Research, 2013 (7): p.1851-1861
まとめ
・股関節伸展筋群と身体重心の低下がサイドステップからの横方向カッティング動作を行うために重要である.
・身体重心を低くするための下肢の可動域を制限する潜在的な要因は,サイドステップから高速な横方向カッティング・マヌーバを実行できるように改善すべきだ.
・身体重心を下げながら股関節を素早く動かすことが重要であり,身体重心を下げながら動作を行うラダートレーニングのようなステッピング運動を練習することは有益であるかもしれない.
・コーチは,ラテラル・カッティング・マヌーバ動作のために,プレーヤーの蹴り足と腹部中心を結んだ線と地面との間の角度を指標にし,プレーヤーが適切な角度でラテラル・カッティング動作を行っているかどうかを判断してもよいかも知れない.
方法
写真を参照
わかったこと!
写真を参照
この研究の現場への活かし方
今回はハンドボールでも高頻出のサイドステップからのカッティング動作を分析した研究でした!
まず,この論文の限界についてお話しします!まず,対象が大学女子バスケットボール選手であるため,男子選手や年代の違う選手などを今回のデータが全て当てはまるとは言い切れないということが大前提です!さらに,オフェンス的なステップよりもディフェンス時の動きに近しいものを対象動作としていたので,IHFに適用できるかも・・・ですね.ですが,より合理的にカッティングするための基礎的な知識や考えのエッセンスにはなるかと思います!
この論文で重要なことは,
『地面反力を適切に受け,自身をより高速で移動できる姿勢や適切な脚の位置を取ること』
『横への方向転換では,股関節の外転動作よりも伸展動作の方が重要である可能性が高いこと』
この2つが理解できていれば十分かと思います!
つまり,股関節の伸展筋からの出力(筋力や筋パワー)を伸ばしつつ,より合理的なポジションを即座に取れるかが大切であるということです!この研究で得られた至適な姿勢やポジションが全てのハンドボールのカッチング動作にいくるとは思えませんが,それぞれの動きをより向上させるには,
『アウトプットを大きくすること』
『アウトプットしやすい動きの準備ができること』
をトレーニングするという方向性は見えてきましたね!
また,よくあるチューブを使っての中臀筋などにフォーカスしたサイドウォークやサイドステップのようなトレーニングは,あまり効果的なトレーニングではない可能性があります.実際に最近の研究でも横方向へのカッティングマヌーバ動作では,股関節の外転トルクはほぼ働いていないそうです!中臀筋は非常に重要な筋ですが,股関節の外転トルクをそれで上げても,あまり反映されない可能性がありますね!
これらを踏まえて,
『股関節伸展筋群をやはり鍛えよう!』
『より高速で動けるポジションを取れるようになるための地味なスキルトレーニングを続けよう!』
上記のことを踏まえて,普段からのステップトレーニングを変革させてみてはいかがでしょうか?
ハンドボールを徹底的に学び合えるオンラインスクール「kocs(コチ)」では,ハンドボールの投球動作に関する情報としてZOOMでセミナーしたりしてます!!もし,ご興味があれば,Facebookにてご連絡ください!また,公式Instagram,Twitterアカウントもあるので是非フォローを!
それでは!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?