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【衆院選2024】若年層の賃金実態に関する一考察

数多とある投稿の中からご覧いただき、誠にありがとうございます。

前振り

どうも、こんにちは。ゆだだだと申します👽。

 皆さんは衆院選2024について、どのような見解を抱きましたか。この話題に触れないのもアレなので、今回は少し遅いですが、現代日本の根が深い問題にもなっている「賃金の問題」について調べていこうと思います。

生活費の実態

 現在、人気急上昇中の国民民主党ですが、彼らの公約のメイントピックは「若者の手取りを増やす」です。若年層の手取り問題は深刻だと言われていますが、実際にはどのように深刻なのか。このことについて具体的な数値を見ていこうと思います。そういう訳で、まず若年層の生活の経済的負担について調べていきます。

 初めに、厚生労働省が去年3月17日に発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、若年層の平均月収は、

  〜19歳  18万4200円
 20〜24歳 21万8500円
 25〜29歳 25万1200円 
※全年齢平均 31万1800円

であり、全年齢平均からおよそ5万円以上下回っています。
 さらに、男女別に見てみると男性の最高月収が55〜59歳の41万6500円であるのに対して、女性の最高月収は同じく55〜59歳の28万円で、女性においては全年齢平均を下回っており、男女間での賃金格差が激しいことが分かりました。

 出典:ナビナビ保険「みんなの生活費の内訳は?世帯人数別 1ヶ月の平均支出と家計の見直し方まとめ」

 年齢別に平均生活費をまとめた上図では、29歳以下の平均生活費は16万4746円です。実際の手取りが額面の約8割であるとして、上記の若年層の平均月収と比べてみました。

・手取り
〜19歳     14万7360円
20〜24歳  17万4800円
25〜29歳  20万960円
・生活費との差
〜19歳         -1万7386円 
20〜24歳  1万54円 
25〜29歳  3万6214円

 これらの結果から、20代では手取り月収から余る金額はおよそ1万〜3万円程度で、教養娯楽費を節約すれば、およそ3万〜5万円程度になります。
 しかし、この金額から貯金もする必要があるので、実際の自由に使える金額はさらに減少すると考えられます。

賃金は上がらないが、生活費は上がる

 総務省が今年10月に発表した「消費者物価指数(全国の世帯が購入する財・サービスの価格の平均的な変動を表す指数)」では、総合指数は前年の同じ月と比べ、2.5%上昇していて、年々上がっていることから、各世帯に係る生活費(≒消費支出)も年々増加していることが分かります。

 にも関わらず、衆院選2024でも各政党が訴えていたように、現代の日本では「賃金が上がらない問題」が存在します。

出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

見ての通り、賃金は平成初期までは伸び続けていたものの、平成10年あたりから直近まで、30万円程度を維持し続けています。令和4年では、賃金は令和元年に比べ、4100円上がっていることから、令和4年の春闘における賃上げ率の伸びが影響しているのかもしれないと思いました。

 しかし、横ばいで同じ額を推移しているならまだしも、実際には実収入から引かれる社会保険料や税金を含めた非消費支出は増え続けていて、一人当たりの手取り収入は年々減少していることも問題になっているので、次に非消費支出の推移について調べてみました。

手取り収入の減少

出典:不破雷蔵..”大きく増える社会保険料…70年あまりにわたる税金や社会保険料の負担の実情をさぐる(2024年公開版)”.Yahoo!ニュース.2024-09,

 過去20年間の直接税に関しては、2007年あたりから急激に増加した後、直近まで横ばいで推移しています。しかし一方で、社会保険料は1973年辺りから急激に増加を始め、現在に至るまでその勢いを止めていません。 
 このような現状から、社会保険料の負担増加により、労働者の手取りを減少させ、各世帯の家計を圧迫させていることが分かりました。

非正規雇用の増加

 続いて、家計の圧迫感は非正規雇用の増加と関連性があるのかもしれないと思い、非正規労働者の増減を調べてみることにしました。

 厚生労働省が今年発表した『「非正規雇用」の現状と課題』では、非正規労働者は2010年以降増加が続き、直近の2023年において非正規労働者は全体(正規労働者+非正規労働者)の37.1%を占めています。また、正規雇用者は2009年から2014年まで減少傾向にありましたが、2015年にプラスに転じ、2023年まで増加し続けています。

出典:厚生労働省『「非正規雇用」の現状と課題』

 次に、年齢別に非正規労働者の推移を見てみました。一番増加が大きい年代は65歳以上で、続けて55〜64歳、45〜54歳の順です。35〜44歳に関しては、2014年あたりまで増加傾向にあったものの、それ以降は減少傾向に転じました。
 25歳〜34歳は2006年から減少傾向が続いています。15歳〜24歳では2015年から2019年の間に増加傾向が見られ、その後直近までは2000年代初期と同じ程度の高い水準を維持しています。
 過去3年に限定して見ると、主に高年層は増加傾向が見られ、中年層は減少傾向、若年層は増加傾向にあることが分かりました。

 高年層の非正規労働者に関しては、現役世代の非正規労働者が増えると同時に、現役世代の社会保障費の負担が増えることによる年金受給額の減少、高齢者の単身世帯の増加によって、今後も増えていくと考えられます。
 また、2000年代初期において若年層の割合が高くなっているのは、就職氷河期の影響によるものだと考えられますが、15〜24歳において直近2023年の割合が2000年代初期よりも高いという点を見ると、若年層、そして高年層の労働実態は深刻であるということが考えられます。

賃上げ率の推移

 最後に、日本労働組合総連合会が今年7月に公表した2024年春闘の回答集計の結果から、企業の賃上げ率について調べてみました。

出典:日本労働組合総連合会「2024春期生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について」

 衆院選2024でも国民民主党が公約で言っていたように、春闘における2024年度の賃上げ率は全体で⒌10%、中小企業で⒋45%になりました。グラフからも分かるように去年と比べ急激に増加していて、全体の賃上げ率は1991年以来の5%超えになります。中小賃上げ率に関しては、1990年前後では全体とほぼ同水準でしたが、2024年では全体を下回っていることが分かりました。

 これらの事から、社会規模で現在の物価高に配慮しようと企業や政府が動き出していると考えられます。しかし一方で、あくまでもこれは連合のデータあり、実際には中小企業における労働組合のカバレッジは低いという現状です。つまり、中小企業や大企業の下請け企業まで、賃上げが影響するかは分からないです。

まとめ

 今回は原点に立ち返り、衆院選2024をはじめ、今の日本全体で深刻な問題になっている国民の賃金実態について調べてみました。若年層に限らず、全年代で生活の経済的負担は大きく、その原因として消費者物価指数の上昇、手取り収入の減少、非正規労働者の増加、賃上げ率の停滞などを挙げていきましたが、実際にはもっと多くの原因があリマス。それらについてはまた今度調べてみたいと思います。

 個人的には、若年層の非正規労働者の割合がそこまで、増えていないのが意外でした。(自分の身の回りでも非正規雇用は結構いるので)しかし、就職氷河期の頃よりも非正規労働者の割合が高いことは問題だと思います。今は結構非正規雇用の方が良いという考えも流行っていますので、非正規労働者の賃金待遇に関しても改善の余地はあると思います。

 また、賃上げ率に関しても1998年あたりから2%前後を横ばいに維持していたにも関わらず、なぜ今年でここまで急激に増加したのか不思議に思ったので、このことも今度時間があれば調べてみたいと思います。

 自分の勉強不足のため、結構当たり前で浅めの考察でしたが、ここまでご覧いただいて誠にありがとうございます😀。もう少し深みを出せるようこれから頑張ります。 
 それでは失礼致します。



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