背伸びして手をのばした、あの日の花束
あれは私がまだ小学4年生の時。
春の終わりに、私のクラスに教育実習のT先生がやってきた。
けして目立つタイプの先生ではなかったけれど、私たちを上から見たりせず、いつも対等な立場で話をしてくれたのが印象的だった。
T先生は「手話」が得意で、オリジナルで作ったテキストを配ってくれたり、休み時間には手話で歌う童謡を教えてくれたりした。
クラスの中では手話が爆速に流行して、みんな休み時間は覚えたての手話で自己紹介を繰り返した。
ずっとこのクラスにいてほしいと、そこにいる誰もが思っ