見出し画像

【治療レポート④】右視床出血による弛緩性麻痺のリハビリ〜慢性期での優先順位の選択〜

脳外臨床研究会会長 作業療法士 山本秀一朗
セミナーレポート作成 言語聴覚士 yucco

フルリカバリーを目指し、全国のセラピストと共に成長し続ける脳外臨床大学校で学ぶyuccoです。

脳外臨床大学校、脳外臨床研究会にてセラピストを育成し、自費診療で患者さんをフルリカバリーへと導いている山本先生の治療をレポート化しました。
全国の悩んでいるセラピストや困っている患者さんの力になる学びを届けたいと思いお届けしています♪
皆さんの治療が1ミリでも変わり、患者さんの人生が変わりますように‼︎

《症例紹介》

60代・男性
疾患:右視床出血(保存的治療)
障害:左上下肢麻痺、弛緩性麻痺(急性期入院時はMMT1)
現病歴:仕事中にゴルフカートに乗っている時に急にふらつき転倒し、左上下肢の麻痺発症し救急搬送。
回復期退院後は、独居にて週2回のヘルパーを利用しながら生活している。
発症からは8ヶ月が経過。
趣味:ゴルフ

《はじめに》


「歩くのはどうですか?」とのセラピストの問いに、
「左足が突っかかるのは減った気がします。」と患者さんから返答がありました。

次の課題設定を何をしますか?
前回までに、立ち上がりのコツや歩くことの必要性を理解してもらいました。
次に何をプラスアルファして生活をよくしていくかを考えます。

次の課題設定を何にしますか!?

患者さんは「装具を外して、普通の運動靴を履けるようになりたい」と希望があります。
また、上肢、手指の動きが変化を出せれば、少しでもつまめるようになれば生活が変わるのではないかと考えます。

量を生活として変えていくのか!?
質を変えていくのか!?のターニングポイント
です!!

上肢だと量よりも質の話だし、足だと生活の範囲という量の話になります。

駐車場からここまで来るのに疲れるということは生活の範囲はそのくらいだし、その中で上肢に力を入れていくのか、下肢に力を入れていくのか選択する必要があります。

どっちは自分でリハビリできるか、どっちが専門的にセラピストとするべきかなども選択する必要があります。

運動麻痺と筋緊張という症状を照らし合わせてどっちからやるか決めていかないといけない部分です。
地域に出た時に選択を迫られる部分です。
どこまでモーラしていくか、どっちが得意か、どちらの方が今後の生活の振れ幅は大きいか!?

《座位での左荷重練習》

左上肢や手指の使用にも、左下肢の歩行にも必須な左荷重がまだまだ足りないのでそこをまずは獲得していきます。

左大腿部の筋肉に刺激を入れます。
座位姿勢が右に傾いているのがわかりますか?
背中側から胸を張って姿勢調整しながら左荷重練習実施します。

前傾して左手で左の足元を触ります。
右手で右足を触るときはほぼ一直線のところに体や頭があります。
左手左足を触るときも一直線に持ってきます。
身体がなかなか左側にいきません。
右にずっと体重を乗せる習慣、癖があります。
装具をとるにも、左手を使っていくにも左側に体重を乗せられる必要があります。

左側に枕を置いて左肘をつきます。
自分で左手を持って左肘を枕の上につきます。
倒れそうで怖いという思いがあり肘をつくのも恐る恐るです。
右肘は枕がなくても簡単につくことができます。

ここから先は

1,986字 / 2画像

¥ 500

全国の悩んでいるセラピストに届くように、臨床のヒントとなり患者さんがよくなるように、心を込めて書いています。応援よろしくお願いいたします❣️