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地域への発信を続けること

 今日は、「障がい福祉」のことをもっと多くの人に知ってもらうために地域への発信活動を地道に継続していくことの大切さについて書きたいと思います。

 私が住む市の人口は約160万人、仕事の管轄区の人口は約20万人、その中で障がいのある人は約9000人と言われています。人口の約4.5%、22人に1人が障がいがあるということ。この数字は障がい者手帳(精神・知的・身体)、自立支援医療証(精神科通院の医療助成)を持っている方の人数なので当然重複している方もいますし、逆に障がいや疾患があっても障がい者手帳を持っていなかったり、自立支援医療を使っていない方もいるので、数字に出てきていないけど困っている人はまだまだいるだろうというのが現状。

 そんな障がいのある方の総合相談窓口である基幹相談支援センターの役割のひとつとして「地域のネットワークづくり」があります。そのひとつとして、地域のサポーターである民生委員・児童委員との顔の見える関係づくりを大切にしています。方法としては定期的に校区民児協(校区ごとに開催される民生委員さんの会議)へ参加し、周知活動をしています。最初はただ挨拶に行くだけでしたが何かお土産を持っていきたいということで、障がい福祉に関するマメ知識(福祉サービス・災害時の配慮点等)、福祉のお店情報(カフェ等)、研修会開催報告などを分かりやすくまとめた「ちゅうちゅうネット通信」という手作りおたよりを作って配布。最初は正直、高齢者や児童に比べて人数が少なく、あまり関わる機会が少ないこともあるのかあまり興味を持たれていない(障がい分野は分からない?)印象はありました。地域包括支援センター(高齢者の相談窓口)や社会福祉協議会は校区民児協への参加が必須で、民生委員さんとも密に連携が取れている感じ。基幹相談支援センターは任意参加で関わりも少なかったので、なーーんかお客様感が寂しかったり。。なんとなく障がい分野ってやっぱり遅れているのかなーーなんでモヤモヤしながらも、だからこそ私たちから積極的に周知活動をしないといけないんだと思って活動を続けてきました。

 数年経った今、民生委員や自治会長さんから「〇〇地区の△△さんのことで相談したい」などと相談がきたり、「障がいについての勉強会をしてほしい」と出前講座の依頼が来るようになり、少しずつ顔を覚えてもらえるようになったのです。とても嬉しいことです。

 そして、先日、出前講座を担当してきました。今回の民生委員さんからのお題は「障がいのある方と関わり方について勉強したい」とのことで、

「障がいの理解~ICFの視点からその人全体を見た上で障がいの配慮点を理解する~」

 というテーマでお話してきました。障がいのある方との関わり方?の正解なんてありません。10人いたら10人の関わり方がある、というか障がいがあろうがなかろうが人と人との関わりって十人十色ということを大前提として、障がいのある方と関わる上での考え方について主に3つを伝えました。

・障がいは個人ではなく社会(環境)にある

 障がいってどうしてもマイナスイメージばかりを持たれてしまいますが、ICF(※国際生活機能分類)の視点から、その人の生活全体を見た時にできることもいっぱい見えてきます。逆にその中で、その人の障がいになっていることは何か?を知り、必要なサポートをしていくことが大切です。ハード面やソフト面の環境を変えたことで、その人にとっての障がいはなくなるかもしれません。

※ICF(国際生活機能分類)とは…障がいや疾病だけに着目するのではなく、健康状態・心身機能・活動・参加・個人因子・環境因子という6つの機能でその人の生活全体をみていくという考え方。

・多様性を理解し合うこと

 相手がどのような状態なのか想像力を膨らましてほしいです。一見おかしな行動・不思議な行動(例:パニックになり大声を出す、夏なのに毛糸の帽子をかぶりお風呂に入れない、等)に見えても、その人なりの行動の理由があり、本人も困っているかもしれないということ。障がい・年齢・国籍・性別・職業・家庭環境など様々ですが、まずは相手を受け入れ、自分も受け入れてもらうことが大切。友人に教えてもらった漫画「精神科ナースになったわけ」に出てくる「統合失調症で妄想症状のある細木さんのお話」を紹介しました。

・理解した上でさりげない配慮をすること

過干渉でもなく無関心でもなく、さりげない配慮をしてもらうこと。街中で困ってそうな方がいると何か手助けしないといけないと思ってしまいがちですが、サポートが必要かどうかまずは相手に聞くこと、そして相手が求めていることを手伝うことが大切です。手助けをしなくても理解して見守るだけでも、相手にとってはホッとしたりします。

 その他、ノーマライゼーションやユニバーサルデザイン、ヘルプマークや災害時の配慮点についてもお伝えしました。私自身、出前講座を担当するのは2回目でしたが、民生委員さんからの質問もいっぱいいただき、興味関心を持ってもらえていることがとてもうれしかったです。

 気付けば障がい福祉の仕事をして18年目になりますが、私は色々な形で地域への発信をずっと続けてきました。就労系の事業所では手作りお菓子のカタログを持って企業へ飛び込み営業をしたり、アンテナショップの手作りチラシを駅で配布したり、ブログでの発信、ラジオやTVでの紹介、通信の発行、出前講座などなど。

ケースへの支援×地域づくりは絶対切り離せないもので、地域づくりのひとつとして発信活動があると思います。今後もソーシャルワーカーとして支援をしながら地域への発信活動は何かしら続けていきたいです。

 専門的な支援ももちろん大事ですが、利用者さんが暮らす地域の中に、障がいについて「ちょっと知ってる」人が増えていくことで、誰もが住みやすい優しい社会になっていくのではないかと思っています。



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