深爪がやめられない
やめようと何度も試みた。
爪の隙間から菌が入って膿んだこともある。
皮膚科で取り出して見た膿はドロドロしていて、憎悪を形にしたような物体だった。
痛みを忘れるとまたむしる。
むしった爪を捨て忘れて家族に何度も嫌がられた。
「どうして?さっきまで私の体の一部だったのに。」
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爪をむしってしまうのはいつも決まったときだ。
悩みがあるとき。
嫌なことがあったとき。
不安なとき。
そんなとき、私の爪に白い部分はない。
最近、またむしってしまった。理由はわかっている。
不安なのだ。
だけれども、さやえんどうの筋を取るようにすぅーっときれいに爪がはがれると
あ、なんとかやれるかもしれないと思い直すのだ。
時には溢れてしまう血を抑えながら。
深爪は気持ちを上手く伝えられない代償だ。
むしった後の水仕事は沁みて痛いし、何より見た目も汚い。
ネイルなんか、奇跡的に伸びているときに数えるほどしかしたことがない。
不器用にもほどがある。
もう傷つけて気持ちをやり過ごすのは終わりにしたい。
同じ爪を扱うなら、磨く方にシフトしよう。
自分勝手な都合で本来の役割を奪ってしまっているのだから。
吐き出せることはゆっくり吐き出してもっと自分を大事にしよう。
書いているとエネルギーを使うのか、甘いものか揚げ物が欲しくなるんです。 健康を害さない程度につまみたいと思います。